- 2005-08-16 (火) 20:15
- 臨床心理学
以下のエントリのコメント欄を未読の方、まずはご覧下さい。各エントリの本文は諸事情により閲覧不可にしてあります。
臨床心理士資格試験対策の講座に関するエントリその1
臨床心理士資格試験対策の講座に関するエントリその2
臨床心理士資格試験対策の講座に関するエントリその3
臨床心理士資格試験対策の講座に関するエントリその4
臨床心理士資格試験対策の講座に関するエントリその5
※以下、結構な長文ですので、読まれる方は覚悟してお読み下さい
…
さて、私事になりますが、実習生としてうちの病院に来ていた元実習生の方達から頼まれて、去年辺りからロールシャッハの勉強会をやってます。私は「ロールシャッハテスト職人」ですので、ロールシャッハくらいしか教えることはできませんが(てかロールシャッハすらまだまだ勉強中ではありますが…)私自身にとっても勉強になるので、一緒にケース検討などをやっています。
その勉強会では最初に基本的なテキストを読んだ後、スコアリングの練習をしてもらいます。で、知り合い(出来ればあまり知らない人)を被検者にロールシャッハを実際にとってもらって、逐語でテープ起こししたものをスコアリングしてもらって、そのスコアリングと取り方の検討、そして解釈の検討と1人につき2回に渡って検討してます。
勉強会に参加している人たちのうちの何人かは今年度、臨床心理士資格試験を受験します。たぶん、このロールシャッハの勉強会はそのための受験勉強の一部を兼ねているのだと思います。私はそれはそれで良いと思ってますし、彼らが臨床心理士資格試験の過去問に関する質問を持ってきたら、(私が答えられる)アセスメントについては自信を持って答えようとかと思っています。この勉強会はロールシャッハ…というか心理アセスメントを「現場で使えるレベル」で使えることを目的としており、試験対策が第一の目的ではないからです。
で、臨床心理士資格試験のアセスメントに関する問題ですが、あれって実はロールシャッハやWAIS-R・WISC-IIIなどを施行して解釈できる能力がなくても十分対応できるのですよね。その証拠に私の知り合いで臨床心理士資格を持っている精神科医が何人かいますが、彼らのほとんどはロールシャッハを実際に自分でとってみたことはないはずです(被検者として受けたことはあるかもしれませんが)。いわゆる「受験勉強」とか「試験対策」で対応できてしまうのです。
これは試験自体の問題であるということは確かに言えると思います(ただ、もしその辺りを厳密に査定するための試験を行うとしたら大変な労力が必要になるでしょう)。で、私は各種予備校で行われている臨床心理士資格試験対策講座というのは、この試験の問題点を逆手にとった商売だと思うのですよ。
商売することは別にいいんです。この国は自由競争の社会ですし、結構的確にニーズを捉えた上手い商売だとも思います。どんどんお金を稼いでくれればいいと思います。ただし、私に迷惑がかからない範囲で。
はっきり言ってしまえば、
これ以上使えない臨床心理士を増やすのに荷担するのは止めていただきたいのです。
使えない臨床心理士が増えると、色んな人に迷惑がかかります。例えばの話ですが、現場で使えるレベルまでのトレーニングを含んだ講座が開講されているのであれば、非常に良いと思うのです。てか、むしろそんなのがあったら私が受講したいです。同じようなことはさいころじすと日記の8/13のエントリ、[心理学小話][時事問題]「臨床心理士資格試験対策の講座」について考えてみる。で、takashiさんも述べています。以下、takashiさんのところから抜粋。
私としては、「臨床心理士資格試験対策の講座」は「実習」とセットであるべきと考えています。試験対策講座もしつつ、実際の臨床心理面接や臨床心理査定のトレーニングも徹底して行うという感じで。
というのも、臨床心理士に求められている能力・資質は年々高くなっている・幅が広くなっているのにも関わらず、現行の指定校大学院がそうした状況に全て対応できているとは言えません。
大学院を修了したら現場が待っていますし、臨床心理士の資格をとっても仕事の保証がされるわけではないので、試験勉強をしつつも、とにかく実力をつけることが大事かと思います。
つまりは、開業心理臨床しているところが、若手育成のための講座としてトレーニング&試験対策講座をする—-1次試験(マークシート100問+論述)対策にしても2次試験(面接)しても、試験勉強と実習は相互に補完しあう関係ですし、臨床心理士資格取得後、順調に就職して勤務し認められていくためにも、こういった講座をしてくれるといいかと思います。
多少高いお金をとっても需要はあると思いますし—-そこまでやってくれるのであれば、私は「臨床心理士資格試験対策の講座」はありだと思います。
ああ…激しく胴衣でございます。
資格試験対策講座でその辺までやっているところがないかと、私なりに探してはみたものの、ネットで探した範囲ではそこまでやっているところは皆無でした。もしそうした講座が存在するのであれば是非ともお教えいただきたいと思うのですが、恐らくそこまでやっているところはないでしょう。
そういう商売で儲けようとする方もする方ですが、それを利用する側もどうかと思います。そうやって安直に試験に合格することは、自分のためにならないということに気づかないんですかね?大学院生のレベルであっても、自ら勉強しようと思えばいくらでも機会はあります。2年間という時間は短いとは思いますが、それでもあの程度の試験に合格する能力を身につけるには十分な時間のはずです(しかも高倍率(笑)の院試をくぐり抜けた人たちなんでしょ?)。
あの程度の試験を実力で乗り切ることが出来ない人達、こういう講座に頼らなきゃいけない人達って、いったい院生時代に何してたんですか?
あ、もちろん「試験対策」が必要な類の問題はあるでしょうし、悪問と呼ばれるような問題もまあいくつかは存在しているでしょう。ただ、現在の臨床心理士資格試験対策講座ってのはそうした範囲を超えているように思うのですよね(私が見た限りでは)。
以上の点につきましてご意見・反論や、あるいは「こういう講座もあるYo!」といったようなタレコミなどお待ちしております。なお、過去ログのコメント欄を未読の方は、お手数ですがそれらをお読みの上でコメントいただけたらと思います。未読のままコメントされても、既に同じような議論がなされている可能性は十分にあります。
長文失礼いたしました。
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コメント (Close):9
- H・Becker 05-08-17 (水) 0:57
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まあ、おおむねの内容には同意です。ただ自分もロールシャッハテストについてはエントリ本文中にある精神科医の皆さんと同じような感じなんで(院を出てからほぼ接触機会無し)、ロテさんにすれば「使えない心理士」になっちゃうのかもなあ、とも思いますが。。
まあ確かに自分は精神科領域では使えない人材でしょう、今のままでは。別にそれで構わないんですけどね、自分の勤務領域でプロとしての仕事が出来ればいいわけなので。
「現場で使える」と言っても、その現場の多様性を考えるとあまり一分野に突っ込んで
深い問題は作れないですし、まあそういう意味では、最低限の共有すべき能力を鑑別するところの試験問題としては、ロールシャッハに関する設問の難易度は「現行+α」ぐらいでいいと思いますよ。あとは業務でロールシャッハを日々使う方が研鑽していただければいいのであって。 - H・Becker 05-08-17 (水) 0:58
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自分個人としては、臨床心理士の主職域の一つであるSCとか、自分の属する産業・労働領域とかを視野に入れて、最低限の共有能力に「ソーシャルワーク能力」もある程度は養成課程で取り込み&試験でも出題してほしいなとおもうところ。何か個人臨床能力はそこそこあっても、こう「人と人とを繋ぐ」ってことに対し、ぶっちゃけ無知というか、ド素人同然の方が臨床心理士には多いように思われるところですよ。まあ、お偉い方々の中にも少しは自覚はされている方がいらっしゃるようですが。
- H・Becker 05-08-17 (水) 1:13
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>あの程度の試験を実力で乗り切ることが出来ない人達、こういう講座に頼ら
>なきゃいけない人達って、いったい院生時代に何してたんですか?
上の方の書き込みはちょっといちゃもんっぽくなりましたが、ここの部分につ
いては全く異論無しですよ。4ないし5の記述文や組み合わせ肢のうち、1つ
ぐらいちんぷんかんぷんでも、ほぼ正答が選べてしまうあの問題は、はっきり
いって大甘です。常識で消せてしまう選択肢も多数ありますし。
難しくなったって話がちらほら出てくるんで去年・一昨年の問題も見てみまし
たが、合格点が60点とか70点とかならばともかくも、4割ちょっとの得点でも
合格出来るわけですからねぇ。合格率がちょっと落ちてますが、母集団の質の
問題もありそうですな。受験者数が急激に増えているようなので。 - 紗更 05-08-17 (水) 23:58
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そうですよね。
ソーシャルワーク能力というかコーディネート能力が必要かと。
それがないとコンサルテーションもできないですし、
アドボケイト役割も必要とされていくと思います。 - シン@プータロー 05-08-18 (木) 4:18
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>試験自体の問題
私の友人の臨床心理士さんが「面接時間が5分だった」
って言ってたんですが本当のことなのですかね?
本当だったら問題かと思うのですが私が騙されてるだけなのでしょうか。
それと、ここでの議論を聞いている限りでは
臨床心理士試験はそれなりにきちんと勉強をしていれば
それほど難しい試験ではないと言ってるように感じます。
(というか簡単なのでは?とも思ってしまったり…)
そんな試験なのに、4割しか得点できない人たちが
合格するというのは試験の構造の問題ではないかと思います。
そして、そういう人たちが余剰人員(でしたっけ?)になり、
彼らの受け皿とかしているというSCに就職し、
日本の将来を担っていく子供を育てる教育分野に
けっこうな税金を投入し参入している現状もどうかと私は思います。
(ソーシャルワーク能力などが試験で問われてないならさらに) - ロテ職人 05-08-18 (木) 18:26
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>H・Beckerさん
> 自分の勤務領域でプロとしての仕事が出来ればいいわけなので。
いや、正にその通りであって、上で述べた精神科医の例でも彼らはロールシャッハを自分で施行する必要はないので、実際はまあ使えなくとも何の問題もないんですよね。
> 最低限の共有すべき能力を鑑別するところの試験問題としては、
> ロールシャッハに関する設問の難易度は「現行+α」ぐらいで
> いいと思いますよ。
私はロールシャッハに関しては、現行の問題でも「試験問題としては」かなり丁寧に扱っていると思います。ロールシャッハについてはとりあえず一つの例えとして…「現場で使える」の定義が問題にはなりますが、とりあえず「自分で施行して解釈できる」程度のレベルであれば、十分対応出来る問題であり、試験問題としてはその程度でもいいのかなと。 - ロテ職人 05-08-18 (木) 18:33
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>H・Beckerさん
> ソーシャルワーク能力
そーなんですよね。特にSCなんてそれは不可欠なはずなんですが…
でも、ペーパーテストでソーシャルワーク能力のアセスメントって可能なんでしょうか?本来であれば教育課程で丁寧に扱うべきだとは思いますが。
> 合格点が60点とか70点とかならばともかくも、4割ちょっとの
> 得点でも合格出来るわけですからねぇ。合格率がちょっと
> 落ちてますが、母集団の質の問題もありそうですな。
> 受験者数が急激に増えているようなので。
受験生の増加とともに、「指定大学院の修士課程修了者」が受験し始めているというのは大きいのではないかとも思います。 - ロテ職人 05-08-18 (木) 18:39
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>シン@プータローさん
> 私の友人の臨床心理士さんが「面接時間が5分だった」
> って言ってたんですが本当のことなのですかね?
本当ですよ。シンさんは騙されてないです(…あれ?正規の時間は10分でしたっけ?もう忘れてしまった)
まあ、マンパワーの問題は確かにあるし、5分が10分になったところで、その程度の面接で何がわかるのか?って話もなきにしもあらずなんですが…
> 臨床心理士試験はそれなりにきちんと勉強をしていれば
> それほど難しい試験ではないと言ってるように感じます。
実際、そんなに難しくはないですよ。少なくとも司法試験みたいな難しさでは絶対にないです。司法試験くらい難しければ予備校なんかがあるのも理解できるんですけどねぇ…
いや、ほんとに色々と構造的な問題大杉です。 - シン@プータロー 05-08-19 (金) 13:21
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>ロテ職人さん
お返事ありがとうございます。
冗談を言っている感じじゃなかったんで「まさか!?」って思ってたんですが本当だったんですか…
今時、コンビニのバイトでももう少し面接長いっていうのに…
マンパワーの問題は確かにあれかとも思いますが、資格を出すってことは非常に重要なことだと思いますのでもっと考えてほしいものです。
私個人としては、臨床心理学の実践は弁護士や医者以上に難しいことだと思ってますので資格化は本当に厳しくする必要があると思います。
>ほんとに色々と構造的な問題大杉です
この言葉に全てが収斂されているんじゃないでしょうか。














