- 2006-03-14 (火) 18:00
- 臨床心理学
06/02/09のエントリ、【いずれ】ロールシャッハテストはまちがっている【レビューをば】で予告した通り、この本のレビューをしようと思います。
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で、この本、実はすげー良書だと思います。なんでかと言うと、とにかく引用文献が多いのです。個人的には引用文献が多いだけで「良書のハードルその1」はクリアだと思っております。ま、もちろんあからさまに間違った引用の仕方をしている書籍というのは世の中にあったりもしますが、少なくともこの本はある程度妥当な引用の仕方をしています(ように思えます。今の段階では)。
で、歴史的に重要な位置づけにある文献をかなり網羅している上ロールシャッハの歴史を詳細に追っており、それだけでも読む価値はあります。
そんなわけでかなりお薦めです。ロールシャッハを実際に使っている人はマストバイだと思います。
当ブログでは1章毎にレビュー(てか反論)していく予定です。ですので、是非ともこのレビューを読まれる方にはご購入をお勧めします(はいはい。商売商売)。実際に本を読みながらレビューを読んでいただけると、理解も深まるというか面白いはずですし、私が変なことを言っているのであれば、是非とも再反論していただければと思うのです。
その上で一つ注意したいことがありますですよ。それは…
・ロールシャッハを勉強したことがない人は読まない方が良いです
それはこの本だけではなく、このレビューも、です。これはあくまでも私個人の意見ではありますが、ロールシャッハを用いている多くの方はそのように考えるはずです。
「ロールシャッハについて詳しく知られたら困るんでしょ?」と言われたら、「言ってみればそういうことです」と答えさせていただきます。ただそれは「反論されたら困る」ということではなく「テスティー(=受ける側の人)がロールシャッハについて知ってしまうことはテスター(とりあえずそう書きます)にとってもテスティーにとっても不利益をもたらす」という意味で困るのです。
正直、ここまで書いてしまっている時点で「どうなのかなぁ」と自ら思わないでもありません。ここまで読んで興味のある人…特にロールシャッハに対して懐疑的な人は「買いてぇ」「読みてぇ」と思われるかもしれません。でも「ロールシャッハは使える可能性があるのかも」と少しでも思ってらっしゃるのであれば我慢してください。
端的に言ってしまえば、こうした本を読んで知識を得ることで結果が歪んでしまう可能性が十分考えられるのです。
私は各種心理アセスメントを行う際に、それまでそうした心理検査などを受けたことがあるかどうかは必ず尋ねることにしています。で、もし受けたことがあるのであれば、それは解釈の際に当然考慮しますし、可能であればそのときのデータも取り寄せるよう努力します。
で、可能性が考えられる場合(例えば文学部心理学科在学中の人とか)には、心理検査について勉強したことがあるかどうかも尋ねることにしています。それについて学んだことがあるかどうかも結果に影響を与える可能性があるからです。
どうしてもこの本を読みたくて読んでしまった人。そういう人がこれからロールシャッハを受ける可能性は0ではないですよね。そういう意味では私だって、これから「患者」「クライエント」としてロールシャッハを受ける可能性は皆無ではありません。
読んでしまってある程度知識がある人がこれからロールシャッハを受ける機会があったら、それは是非とも「ある程度知識がある」旨をテスターにお伝えください。そうすることで、テスター・テスティーともに無駄な時間を過ごさなくて済むかもしれません(やる方もうける方も大変ですから)。
そして少しでも「ロールシャッハは使えるのかもしれない」と思うのであれば、(もしも受ける機会があった場合に)その恩恵を最大限に受けるためにも読まないでいただきたいのです。
あとこれからロールシャッハを勉強したいと思っている方へ。
そういう方も同じです。
これから勉強される方は、ロールシャッハについて知る前に(できれば図版さえも知らない状態で)是非とも自分がテスティーを体験していただきたいです。予備知識なくまっさらな状態で。それも可能であれば習熟した人にやってもらってください。学び始めの学生同士とかじゃなく。
そうすることで、かなり純粋な意味での被検者体験(とは言っても別にクライエントとして受けるわけではないので100%同じではないですが)ができます。それは今後の臨床実践の上でかなり貴重な体験になるはずです。
余談ですが、ロールシャッハについて何も知識がなく図版も見たことがないような、そしてこれから心理臨床の職に就くかどうかもわからない学生に対して、面白半分で図版を見せてしまうような教員は糞だと思います。個人的に。
ついでに学生同士でロールシャッハをとらせる教員もいかがなものかと思います。個人的に(ただこれは学生数が多いとどうしようもない面はあるとは思いますが…それでもなぁ…)。
てかぶっちゃけ、この本、ロールシャッハを知らない人が読んでも面白みは半減だと思うですよ。
せっかくの詳細なデータもそれが何を意味しているのかわからなければ、やはり面白くはないです。切り口は痛快なので、それはそれで面白いんですが。
………………………
そんなわけで不定期にはなると思いますが、この本、1章ずつ読んでいきます。第1章 心を映すエックス線:ロールシャッハテストの威力 は今週中にアップ予定(予定は予定で決定ではなかったり)。
レビューを読まれる方は是非ともご購入くださいませ(最後にもう一度貼っておこう)。
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コメント (Close):9
- Deco 06-03-14 (火) 22:21
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良書だからこそ,この邦題には異議あり,です。
『What’s wrong with Rorschach?』
は,そのまま
『ロールシャッハのどこが間違ってるの?』
とか,
『ロールシャッハのここが間違っている』
あたりにしとけば良かったのに。
かな~りニュアンスが違うと思うですよ。まぁセンセーショナルって意味で言うと,この邦題は機能するでしょうけども。
しかし,この著者達は,内容はともかく,『What’s right with Rorschach?』とかって論文も書いてたりするわけで。なんだかなぁって思います。 - 泡盛 06-03-14 (火) 23:26
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「心理テストはウソでした」は立ち読みしただけでやめましたが、これは面白かったですね。ロールシャッハからエクスナーまでの様々なエピソードも盛り込まれていて読み物としても楽しめました。著者たちは米国の臨床心理学者で、実証的な立場からロ・テストは心理測定法としては欠陥があり、臨床ツールとしては限定した用い方をするべきだと結論づけています。一方的な批判でなく、手堅い論証を積み上げているだけに説得力があります。
ロテさんの反論が楽しみです。 - aoi 06-03-15 (水) 10:42
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読まないほうがいい対象がいる以上、このブログ上ではなく、パスワード認証が必要なページなどロテさんが閲覧者を制限できるような設定を行った上で書いたほうがよいのではないでしょうか?
- ロテ職人 06-03-16 (木) 12:57
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>Decoさん
> この邦題には異議あり
あー確かに。センセーショナルであり、その意図が見え隠れしますな。
時にDecoさんはこの本読みましたか?是非とも読んでいただいてご意見をうかがいたいところ。
> しかし,この著者達は,内容はともかく,
> 『What’s right with Rorschach?』とかって
> 論文も書いてたりするわけで。
> なんだかなぁって思います。
まあ、最近は日本の心理学界でも『~は~か?』的な題名の学会発表なんかは結構ありますし、まあいいんではないかと。キャッチーだしね。 - Deco 06-03-16 (木) 13:48
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>この本読みましたか?是非とも読んでいただいてご意見をうかがいたいところ。
GarbとかWoodsの論文はいくらか読んだのですが,この本は以前出だしのあたりを原著で読んだぐらいですねぇ。これを機にしっかり読んでみます。
>『What’s right with Rorschach?』
なんつか,この著者達は著者達なりに,バランスを取った批判をしようとしてるわけですよね。ロールシャッハの~は駄目だけど,~は悪くない,って感じで。賛否はともかくとして,その姿勢は買えると思うんです。実際,いくらかの指標の心理測定的な妥当性は彼らも認めていますし。
とすると,この邦題はもう全否定ですから,彼らの学問的姿勢からもズレてる希ガス・・・って事でなんだかなぁと思うのです。 - へなちょこ心理士 06-03-17 (金) 11:58
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つか、日本国内での各派閥闘争に嫌気がさして、結局ロ・テストからは離れますた。
エクスナ(包括系)、片口・クロッパー系、その他諸派がお互いにパイを奪い合っているようで(しかも禿しく汚く)やっぱり好きにはなれんなぁ…
もちろん、現在もう一度チャレンジしていますがね。
派閥闘争に力が向かっている間は、結局有意義な議論ができないんじゃないかな、ととりあえず牽制するテスト - ロテ職人 06-03-17 (金) 18:02
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>泡盛さん
> これは面白かったですね。
ですね!
> 一方的な批判でなく、手堅い論証を積み上げているだけに
> 説得力があります。
果たして本当に「手堅い論証」と言えるのか…そこがこの本を読んでいくポイントなのではないかと思います。
ご期待に沿えるかどうかわかりませんが、まあ私なりにまったり書いていきたいと思います。
ご意見・ご批判等よろしくお願いします。 - ロテ職人 06-03-17 (金) 18:17
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>aoiさん
> 読まないほうがいい対象がいる以上、
> このブログ上ではなく、パスワード認証が必要なページなど
> ロテさんが閲覧者を制限できるような設定を行った上で
> 書いたほうがよいのではないでしょうか?
これは実はかなり悩んだところなのです。
でも結局、見てしまう人・見たいと思う人はここじゃなくても見ると思うんですよ。書店に行けばロールシャッハの入門書は簡単に手に入るし、ネットでもその手の情報に容易にアクセスできます。
ただ、それを知ることによって困る(可能性がある)のは自分だということは気づいて欲しいのです。
それに気づいていながら、それでも読みたいというのであれば、それは止めることはできません。
パスワード認証が必要なところでこの議論を展開するとしたら、それは「都合の悪いことは読まれたくないんだろ」という批判の対象になるかしれないですし。
そんなわけで、毎回警告文の後で「続きを読む」がクリックできるような形にはしたいと思います。
この点に関してはaoiさんや他の方のご意見をさらにいただきたいところでございます。 - ロテ職人 06-03-17 (金) 18:40
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>へなちょこ心理士さん
> つか、日本国内での各派閥闘争に嫌気がさして、
> 結局ロ・テストからは離れますた。
そんなに派閥闘争酷いですかね?
個人的な意見を言わせてもらえば「片口式だろうと名大式だろうと阪大式だろうと包括(的)システムだろうと、やってることは結局一緒」かと。
私は基本は片口ですが、包括(的)システムの様々な指標は参考にしますしね。
適切な施行法・スコアリング法・解釈法というのは当然身につけるべきものですが、それ以上に「なぜその解釈仮説が導きだされるのか」ということを意識していれば、それはどんな方法を使っていても対応可能だと思います。
最悪なのは「包括システムではこの指標はこういう解釈になるから」などと一対一対応でしか考えられない人。「お前はコンピューター解釈か?」って感じですよ。
「なぜその解釈仮説が導きだされるのか」を意識することは、心理面接の上で「なぜその場面でそのような介入・発言をしたのか」を意識するのとかなり似ていると思うです。
そう考えると、ロールシャッハを修得するということは、面接技法を修得するということにかなり近いのではないかと思いますよ。















