- 2006-03-25 (土) 0:30
- 心理・精神医学本
過去ログ
・『ロールシャッハテストはまちがっている』を読む-プロローグ(06/03/14)
・『ロールシャッハテストはまちがっている』を読む-第1章 心を映すエックス線:ロールシャッハテストの威力(06/03/17)
を未読の方はまずそちらからどーぞ。
この本のレビューの続き。
あまり反響のないこのシリーズですが、当ブログ経由でこの本を購入してくださった方が何人かいらっしゃるところをみると、興味がないわけではないのですよね…と信じたい今日この頃です。
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ロールシャッハについて学んだことのない方はこのエントリ及び上記書籍はお読みになられないことを強くお薦めいたします。
受ける前にロールシャッハについての知識を得てしまうことで、本来それによって得られるはずの利益が得られなくなる可能性があります。それは検査を受ける側にとっても行う側にとっても不幸な事態であると言えます。
それでもネット上で知識を得てしまうことはあります。もし、受ける前にそうした知識を得てしまった人がロールシャッハを受けることになった場合は、その旨をテスターにお伝え下さい。それなりの力量がある検査者であれば、適切な対処がなされるはずだと思います。
では、上記の注意事項を読まれた上で以下を読んでも良いと判断された方のみ続きをどうぞ。
第2章ではまず、ヘルマン・ロールシャッハ(Rorschach, H.)が彼のインクブロットテストを考案した初期の歴史について述べられてます。この辺、すっきり簡潔にまとまっておりわかりやすいです(ロールシャッハのイケメンフェイスを拝むこともできますヨ)。
ま、その歴史の部分はとりあえずおいといて…その後、ロールシャッハの業績の最も重要な部分である、主要なスコアに対する批判が展開されているわけですが…。
確かに「まちがいの源」の節(p.39-41)で述べられているように、当時の(そして現代でも)臨床心理学者・精神医学者が犯しやすい落とし穴に関する指摘は的確です。ヘルマン・ロールシャッハの研究におけるサンプル数の少なさ、ロールシャッハ以外の変数つまり外的基準がないこと、確証バイアスを避けるための手続きをとっていなかったことは、研究上、致命的なことであるのは間違いありません。
ただ、問題はその前の主要スコア・主要概念に対する批判の部分にあります。
各指標に関して、筆者らは一部その妥当性を認めながらも、大部分は仮説を否定していきます。で、その中には私も個人的に「それはどーよ?」と思うような研究もないわけではありません。しかし、ここで挙げられている研究の他にも基準関連妥当性の面から様々な研究がなされていますがそれらは無視されていますし、なによりも科学性云々言うのであれば追試して同じ結果がでないことをまず示してみる必要があるのではないかと思いますよ。手続き上の不備があるのであれば、その点を修正した上で追試が必要でしょうし。
結局、この人たち、文献レビューの結論を元に「○○の心理学的意味がわかったということはできないというのが本当のところである」と断じているのですよね。
それはお前、科学じゃないだろう、と。私はこう言いたいわけですよ。
あと、これは科学的視点からは離れてしまうかもしれませんが、この本の筆者らは現象学的視点からのロールシャッハ研究はどのように捉えているのでしょうかね?…てかこの人たち、シャハテルのロールシャッハの体験的基礎
解釈仮説への現象学的理解ってのはこの本を読むとわりとすんなり入ってくるんですけどねぇ…シャハテルの名前は一度しか出てきませんよ(それもあまり重要な部分じゃない)。
簡単にまとめると「言っていることに納得できる部分もまあありますが、反論の論拠が弱すぎる部分が目立つ」ってところでしょうか。流して読むと「ふーん。それは間違ってるんだー」で終わりかねないところが多々あるんですが、「何でそれは否定されるの?」って思う部分も多々ありますよ。
こんな感じでどうでしょ?異論・反論・オブジェクション持ってらっしゃる方は是非ともお聞かせくださいな。
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コメント (Close):6
- Deco 06-04-26 (水) 21:39
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ちょこちょこと読んでいます。
なんつーか,真実(とゆーか妥当な批判)がちょくちょく含まれてたりするのが,またやっかいですねぇ。
僕が一点完全にこの著者達に同意するとすれば,
包括的システムは実証性の看板を掲げているのにも拘わらず,最新の実証研究を解釈仮説の中に取り込まないし,実際研究で支持されていない指標の解釈をテキストに載せ続けている,
という批判ですね。
山のようにあるロールシャッハ法研究の知見を,隅から隅までレビューして,ってのは困難だとは思いますけど。
ただまぁ,
こちらとしてはロールシャッハ法研究でいくらでも結果出てるよ,って思うのに,
彼らがそう思わないのは,基本となるテキストの改訂が実証的に行われていない,って現状が引き起こしているような気がしたりして。
まあとにかくこの本はずるい本だと思います。
査読も付いていない学位論文を「優れた」なんて評する一方で,Exnerは「比較的無名」とか。おまいらバイアスの話で批判してたくせに,自分らもそういう手を使ってんじゃねーかと。
読者に,
ロールシャッハってだめなんだな(プゲラ
って思わせることが目的なんでしょうかね。 - ロテ職人 06-04-26 (水) 21:51
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>Decoさん
コメントどーもです。
> おまいらバイアスの話で批判してたくせに,
> 自分らもそういう手を使ってんじゃねーかと。
いや、ほんとまさにその通りで、その辺がかなり巧妙に仕組まれているというか何というか…
あれって訳がどうこうってレベルの話じゃないっすよね。
で、これを読んで(てか元々そう思っていたってのもあるんでしょうけれども)「(やはり)ロールシャッハテストは典型的な疑似科学」とか断言してしまっている方(確か心理系の大学教員)をネットでお見かけしましたが、やっぱ「うまく騙されてしまう」人もいるのよねぇ…って感じでございますな。
でもDecoさんの言うように
> 真実(とゆーか妥当な批判)がちょくちょく含まれてたりする
って中で、「ロールシャッハ法を知らない人」が妥当な批判とそうでない部分とを見分けるのはかなり難儀な作業かもしれないですな。
ロールシャッハ歴そこそこの私もじっくり読まないと見事に騙されそうで。
そんな読み方をしているので、未だにエクスナーが出てくるところまでいってません。 - Deco 06-04-27 (木) 22:40
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>確か心理系の大学教員
あー。もしかしたら同じ人のHP見たかもしれません。僕は大嫌いです。ああいうのは。
自分では何にも理解せず,何の意義ある議論もせず,外野から勝手な事を言うとか。あんたほんとに科学者か?って思いました。
>かなり巧妙に仕組まれているというか
ほんとそうですよねぇ。一応実証研究のレビューの形を取りながら,それをネガティブな方向に偏った論調で,しかもそれがさも「科学的」見解であるかのように見せる。弁護士でもやれば良いのに。
>ロールシャッハ歴そこそこの私もじっくり読まないと見事に騙されそうで。
僕なんか,読みながら納得しまくりんぐだったりしましたよorz
んでも,そういう論調のおかげで目が覚めるというかなんというか。
>未だにエクスナーが出てくるところまでいってません。
僕はエクスナー出てくるところから読み始めましたw - Kou 06-05-06 (土) 22:08
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一応最後まで読んでみました。一応,臨床心理士として,実施方法及び解釈については勉強しましたが,実際には使っていません。
そのため,私自身がこの本の内容について,判断できませんので,実際に使用されている方の意見は参考になります。3章以降の批評も楽しみにしています。
私の方は,海外の反応をインターネットで検索できる範囲で確認したいなと思っていますが,,,さて,どの程度できるか?
今,私が思っているのは,ロールシャッハそのものを中止する継続するという論点ではなく,ロールシャッハによる解釈がテストを受けた人の人生ににおおきな影響を与える可能性がある以上,疑わしい部分は極力明確にしていってほしいと願っています。 - ナラティブ・セラピーの実践 06-05-06 (土) 23:09
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「ロールシャッハテストはまちがっている」 – The New York Review of Books
The New York Review of Booksで「ロールシャッハテストはまちがっている―科学からの異議」の原著のReviewがありました。
… - Deco 06-05-15 (月) 1:42
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>包括的システムは実証性の看板を掲げているのにも拘わらず,最新の実証研究を解釈仮説の中に取り込まないし,実際研究で支持されていない指標の解釈をテキストに載せ続けている,
こないだ包括的システムの4th editionを購入しました。意外と新しい知見が足されてました。ちょっと軽率でした。
基準値も改訂されてました。反応スタイルごとの基準値が示されてたり,僕の注目してる「あの指標」の平均値が他の国の数値に近づいてたりと,そこだけ見ても結構面白かったです。
あとはロールシャッハ法に関する批判・議論に関する章が設けてあったり。僕辺りの思いつきそうな反論のほとんどが,とうにそこに書かれていました。
・・・エクスナー亡き後,5thは出ないんでしょうかね。















