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【心理療法は】素敵フレーズ み・つ・け・た【技術である】

公開日: : 臨床心理学

昨日、ちょっとこの本をパラパラと読んでいたら、こんな一節がありましたので、コピペしつつ感想など。

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この本、持ってらっしゃる方も多いかと思います。初心者にとっては重要なことがたくさん、具体的に書かれておりますよ。初学者には大変お薦めでございます。
“第四章心理学的処遇 第二節心理療法の準備 1心の準備 (4)その他の留意すべきこと”(p77-78)より

 心理面接を始める心理的準備として、その他、若干留意すべきことがある。

 まず、心理療法は技術であるということについて触れておきたい。これは、いくら強調してもしすぎるということはない。

当ブログでも散々述べてきたことですが、やはり心理療法は「技術」だと思います。心の底から同意です。
…とか言うと「そんな小手先のものではない!」という的はずれな批判が飛んでくる場合があったりするのですが…

ここで技術というのは、小手先のもの、理論的背景もなく勘や熟練によるもの、という意味ではない。ここでいう技術とは、一定の手順・手続きを踏んで訓練することにより獲得できるもの、それには理論的裏づけがあり、技術の体系は公共性を持つ、という意味である。

そう。「オーラが見える」とか言ってしまうのは、少なくとも「公共性」はありませんわな。…いや、オーラが見える人たちの間では公共性があるのかもしれませんが、なかなかオーラが見える臨床家はいないですよね。

これは、ちょうどピアノの演奏技術を学習する過程と同じようなものである。ピアノの演奏技術を学ぶのは、教則本の第一ページから順を追って進められる。教則本を一歩一歩学んだ結果として、例えば「乙女の祈り」とか「エリーゼのために」が弾けるようになるのである。ときどき「乙女の祈り」だけがうまく弾ける人がいる。このような人たちは、基礎的訓練の結果からその曲を弾けるようになったというわけではないから、その他の曲はまったく弾けない。このようなことは、心理療法の技術の訓練にも、そのまま当てはまることである。つまり、教則本によってピアノの練習をするように、心理療法も教則本によって体系的に練習しなければならないのである。

…と言うと今度は「テキストだけで技術が学べるのか!」というまたまた的はずれな批判が出てくるかもしれませんが、そういうことを言っているのではなく、順を追って、体系的に技術は学ばなければならないということを言っているのですな。基礎があってこそ、応用があるわけで。

 このように心理療法は技術なのであるから、面接者の情熱や努力だけでは心理療法はうまくいかない。技術を学ぶために情熱や努力が必要なのである。

そうなのですよね。どんなに熱意があってもそれだけじゃ効果が出るわけじゃないですな。「がんばってるんだから!」ってそれだけじゃ何も意味ないですよ。

 第一節で、心理臨床家にはそれぞれに個性があり、心理療法もそれぞれに個性的である、ということに触れた。これは、すぐれた二人の演奏家が同じ曲を演奏した場合、同じ曲でありながら演奏はそれぞれに個性があり、同じものではないということと似ている。ピアノの演奏の訓練では、定まったルールに従って演奏できない場合、それは<癖>とされ、矯正されなければならないものである。<癖>は決して個性的とは認められないし、肯定もされない。心理療法の技術の学習でも同じことであり、真の意味で個性的ということと自己流ということとはまったく異なったものなのである。

全くその通りでございます。
…で思い出したのが「心理療法・カウンセリングにおいて大事なのは、知識・技術なのか、人生経験なのか」って話ですよ。ぶっちゃけそりゃ社会常識ってのは当然必要なのですが、殊更に人生経験を強調するのは単に知識・技術がないことの言い訳にしか聞こえないわけで…
で、時に人生経験ってのは心理療法を行う上では<癖>にもなりうるのではないかとも思えたりするのです。それが「癖」になるのか、あるいは「個性」になるのかは、結局技術次第なのではないかと思うのです。

しかし、心理療法では両者がしばしば混同され、しかも、自己流ということが肯定的に捉えられている場合すらある。心理療法においても、癖を癖として捉え、矯正していく努力が必要であろう。

ネット上のコミュニティでも時に目にします。「自己流である」ことを誇っている自称カウンセラー・自称セラピストの類が。そういった方に是非とも読んでいただきたいこの一節でした。
初学者にとっては大変良い本なのでもう一度貼っておきますよ。

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2006/04/11 | 臨床心理学

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