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臨床経験長いけど業績ゼロってヤバくね?

公開日: : 臨床心理学

心理関係のある集まりでのこと。
たぶん臨床経験20~25年くらいの、まあベテランの人と話をしておりました。
で、私が「研究やりたいんですよね」って話をしたら、そのお方は話題をそらすかのように「僕は泥臭い臨床やるだけだから」とおっしゃっておりました。
で、そのお方、私の知る限りでは研究はされてません。業績(=学会誌への投稿とか著作とか)ゼロだと思います。
別に「泥臭い臨床」は好きにやってもらっていいと思います。クライエントに迷惑かけなければ。
でも、タイトルにも書きましたが、臨床経験長いけど業績ゼロってのはどうかと思うのですよね


臨床経験が長くて、その上である程度のレベルの臨床実践ができていることが前提となりますが、そういう人たちは自分のやってきた臨床を、自分の身につけた知識・技術を次世代に伝えていくことも大事な仕事なのではないでしょうか。
現在、臨床経験20年以上の人であれば、研究に関する教育は受けてきていないかもしれません。でも、豊富な臨床経験に基づいて事例研究をすることは可能なのではないでしょうか。
自分のやってきた臨床をまとめることのできない人は、自分の仕事を客観的に見ることができない人だと私は思います(もちろんそれだけではないと思いますが、確実に一つの要因にはなっているかと)。
それくらいの経験年数であれば、そろそろスーパーヴァイジーなんかを受け入れても良い頃のはずでしょうが、その段階で自分の仕事もまとめられないような人にはスーパーヴァイズ受けたくないです。少なくとも私は。
研究能力が即臨床能力に繋がるとは私も考えていません。でも、ある程度の臨床実践ができる人であれば、研究もできるはずだと思います(その辺は研究と臨床カテゴリの過去ログを古い順にお読みいただけたらわかるかと)。
現在、臨床心理士の資格更新の要件は以下のようになっております。

具体的には、それぞれの5年を経過するまでに、下記の(1)~(6)の研修等のうち(1)(2)のいずれかを含めた3項目以上にわたって参加(発表)し、計15ポイント以上を取得していなければなりません。



(1)本協会が主催する「臨床心理士のための研修会」「心の健康会議」等への参加

(2)日本臨床心理士会が主催する「全国大会」および地区または都道府県単位の当該臨床心理士会が主催して行う「研修会」等への参加

(3)本協会が認める関連学会での諸活動への参加

(4)本協会が認める臨床心理学に関するワークショップまたは研修会への参加

(5)本協会が認めるスーパーヴァイジー経験

(6)本協会が認める臨床心理学関係の研究論文の公刊及び著書の出版

臨床心理士資格認定協会 「臨床心理士」資格更新制度について より)
これだと(6)はなくても資格更新できてしまうのですよね。でも個人的には(6)は必須にすべきなのではないかと思いますよ。
皆様はどう思われますかね。

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2006/08/16 | 臨床心理学

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コメント/トラックバック (9件)

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  1. 臨床をしてます。長くはないですが、実際は現場に出るとこの療法が一番ってないと思います。テロ職人さんはどのような方ですか?よかったら、お書き名なった論文を読ませていただきたいです

  2. >wakabaさん
    臨床に出ていると、「どうしてこの方は、このような症状をもたざるを得なかったんだろう」「あれ?この環境の人で、こういうふうな考え方で身を守っているという印象を受ける方が、同じ症状の方で何人もいるなあ。どうしてだろう」と、疑問を感じてくるようになりませんか?
    そうすると、クライエントに対してもっと深く援助できるように、あるいは他の潜在的なクライエント達に対して症状が出るのを予防できるような啓蒙を、例えば会社や家庭に対してできるんじゃないかとか、そういう願いも産まれてきます。
    だからこそ、基礎的研究・実証的研究であるとか、本当の意味での「事例研究」(事例検討ではなく)ということを行うのが、心理臨床家として臨床にも社会にも役立てることなのではないでしょうか?
    大学の研究者ではなく臨床家こそが、そういう研究をしていかなくてはならないと思っています。それに、実際に研究をしていると、クライエントの姿がより深く見えるようになりますよ。
    ちなみに私もブログを書いていますが、自分の研究をそこで公開するようなことはしていません。そうするとブログの匿名性が失われることになりますし、名前からクライエントが検索してブログを目にした場合、実際に臨床場面のことを書いていなくても、「いつか自分のことを書かれるのではないか」と必要以上に心配させてしまうかもしれないからです。そんな心配をクライエントにさせたくないですよね。逆に研究の方は実名なので、いつでもクライエントに見てもらえますよね。むしろ、クライエントともにあるテーマについて研究できたらいいなあと思うときもあります。

  3.  横レス失礼いたします。プライベートではラーメンスープを研究したいと思っているダノンです。
    >wakabaさん
    >実際は現場に出るとこの療法が一番ってないと思います。
     「この療法が一番」=「研究を行える」
     というわけではないと思うのです。必ずしも自分の一番と考えるオリエンテーションを持った方でないと研究が出来ないかといったらそうではないと思うのです。
     逆に、さまざまなオリエンテーションを長い臨床経験の中で用いた場合だって研究にできないかといえばそんなこともないと思います。
     あるいはセラピーではなく、心理検査でも蓄積したものはあるはずですよね。そんでもって、SSTなどの集団療法だってそう。
     一言に「事例研究」といっても、様々なものがありますから、臨床を行う中で自分が実践していることすべてが実は研究の対象になりえるのかななんて思います。
     ロテ職人さんは、長い臨床経験の中で必ずや研究になりうるものはあるだろうに、それをまとめないのはなんで?という意味で書かれたのではないかと私は推察しました。
     カクユウ私もまだまだですので、自戒と確認を込めて書かせていただきました。

  4. 臨床心理士として働くということとは

    臨床心理士として勤務してはいても、臨床をさせてもらえないことさえあります。つまりは、泥臭い臨床さえできない可能性さえあります。もちろん、研究などどこへやら…

  5. >wakabaさん
    私が言いたいようなことはほとんどteto2005さんやダノンさんがおっしゃってくださいました。しかも優しく。
    私だったらもっとキツイ言い方になったところです。ありがとうございました>teto2005さん&ダノンさん
    > テロ職人さんはどのような方ですか?
    若手の心理臨床家ですが、それが何か?
    > よかったら、お書き名なった論文を
    > 読ませていただきたいです
    それは無理です。ここは私の研究発表の場ではありませんから。ちゃんとした研究発表は学会などで行いたいと思っております。
    私もまだまだ大したものは書けませんが、それでも件のベテランと同じような年齢になった頃にはある程度の業績があるのだろうなぁと思っています。てか、ないと困ります。

  6.  臨床家にとって事例をまとめることが、臨床家としての力量をアップさせることに役立つのか、ということに関しては明らかに役だつ思うんですよ。自分の事例を客観的に振り返ったり、論文をまとめる上で過去の理論に接したり(つまり、過去の臨床家と対話したり)、ということで、初めて見えてくることもあると思いますし。
     しかし、(6)を必須の条件にすることについては反対で、論文を書くという方法も力量を上げる方法のひとつで、「論文を書けない人は資格は持てない」というほどの条件ではないのではないでしょうか。
     もちろん、論文を書けないということは(論文を書ける人と比較すると)、一面では劣っているということは否めないとは思いますが、それぞれ、得意な面と不得意な面を抱えつつ臨床をやっているわけですし…。
     それから、「僕は泥臭い臨床やるだけだから」という発言については、表面的には自己卑下をしているようで、根底では「臨床だけやることこそ王道だ」みたいなニュアンスを感じますし、もしもそうだとしたら、そういう考えはやはりどうかな…と思います。
     だいたい、臨床も泥臭い作業ですが、事例論文を書くことだって、それに負けず劣らす泥臭い作業ですしね(さらに、自己愛も傷つきます)。
     

  7. アナタさぞ優秀なカウンセラーなんでしょうね。。。ワタシも診てもらいたいわ。
    (強いコトバは身を滅ぼすかもよ。)

  8. >Y..さん
    一年以上の超遅レスで失礼します。
    > (6)を必須の条件にすることについては反対で、
    > 論文を書くという方法も力量を上げる方法のひとつで、
    > 「論文を書けない人は資格は持てない」
    > というほどの条件ではないのではないでしょうか。
    確かにそういう意見は一理あるかもです。ただ、このエントリは「臨床経験長いけど…」という条件についてなので、例えば更新2回につき最低論文1本の条件とかならいいかも。更新に関する規定がめんどうくさいことになるので現実的ではないですけど、それくらいは何とかできないと駄目なんじゃね?とは思います。

  9. >ha?さん
    私の書いた文を読んで書いてある内容を理解したのであれば、なぜ
    > アナタさぞ優秀なカウンセラーなんでしょうね。。。
    とおっしゃるのかよくわからないのですが…。


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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【ご恵贈】ハーグリーブス&ヴァーケヴカー 編・松木邦裕 監訳『心的変化を求めて: ベティ・ジョセフ精神分析ワークショップの軌跡』【感謝!】

ちょっと更新サボっておりましたが、ぼちぼち行きたいと思います。

プレイボール2
あのちばあきおの『プレイボール』の続編が出てるの知らなかった

本当にもう、最近の漫画には疎くてですね、これ、出てるの知らなか

スープカレー lavi
学会2日目終わって疲れたので北海道で食べた美味しかったものの写真を貼るよ

こちらは新千歳空港内「スープカレーlavi」の“チキンto野菜

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