Home > 食育 > 食育が気になる その8-「三角食べ」の真実-

食育が気になる その8-「三角食べ」の真実-

  • 2006-09-05 (火) 12:40
  • 食育

偏食とか栄養学とか食育とか、何だか食べることばっかり書いている当ブログ、いっそタイトルも『ロテ職人の食育ブログ』にしようかと思ったりはしません。なんかうさんくさい言葉だし。食育って。
いや、食育自体は良いことだと思います。自分が食べているのはどんな物なのかを知り、作ってくれた人達に敬意を表して食べることは大事なことだし、私は自分の子どもにはそういう教育をしたいと思っています。
ただ、食育が変な思想というか考え方と繋がってしまうと、本来の意味合いは失われるのではないかと危惧しているのですよね。
そんなわけで過去ログはこちら。未読の方はまずどーぞ。
「食育」が気になる(05/10/13)
「食育」が気になる その2(05/10/14)
離乳食の頃(05/10/14)
抑うつ傾向および学校不適応と食行動の関連?(05/10/17)
「食育」が気になる その3(06/07/07)
「食育」が気になる その4-朝ごはん実行委員会って何?-(06/07/12)
「食育」が気になる その5-朝ごはん実行委員会へのツッコミ-(06/07/13)
「食育」が気になる その6-描画の解釈について思う-(06/07/20)
「食育」が気になる その7-朝日新聞にも朝ごはん実行委員会の調査結果が-(06/08/23)
で、今回は「三角食べ」についてです。
皆さん、三角食べって知ってますか?

日本人は、従来「三角食べ」をしてきました。三角食べとは、例えばごはん→おかず→おみそ汁→ごはんと、繰り返しで、全体をまんべんなく、均等に食べていく食べ方のこと。このように、ごはんとおかずを口の中で混ぜながら食べることを「口中調味」と言います。おかずと一緒に食べるごはんの量を減らせば、味は濃くなりますし、逆にごはんの量を増やせば味を薄くすることができます。つまり、ごはんを間にはさんで、自分で口の中で味付けをしているわけです。私達はこういった食べ方をすることで、知らないうちに味の深みや幅を広げているのです。

日本の食文化の危機?! ばっかり食べ ~健康の診断サイト カラダカラ
…だそうです。


私と同じくらいの世代の方々だと、小学生の頃、給食の時間に「三角食べをしなさい」と教わった方も多いのではないでしょうか?
でも…個人的に給食で三角食べは辛いものがあるんじゃないかと思うのですよね。だって牛乳があるじゃないですか。
私は基本的に好き嫌いは何もないのですが、牛乳嫌いな人は多いんではないかと。そういう方でなくとも、そもそもご飯食に牛乳ってどうよ?と思ったりもするわけで…「ご飯と牛乳を口内調味」って気持ち悪くないですか?
で、「三角食べ」と「食育」って結構結びついているんですよね。実際、「三角食べ 食育」でGoogle検索してみると多くのサイトが出てきます。
その中の一つでは、よくテレビの料理番組などにも出てくる学校法人服部学園理事長・服部栄養専門学校校長で医学博士の服部幸應氏がこう述べております。

また、「ばっかり食」というのもあるんですね。トレイにハンバーグがあって、スープ(あるいは味噌汁)、お新香、ご飯があったとすると、ハンバーグばっかり食べ、それが終わらないと次にいかない。私は76か国を回って食文化を調べていますが、皆で同じ物を食べるのが家庭料理で、フランスもいろいろな家庭に行きましたが、家庭でコースを食べているかと言うと、スープくらいはコースの中に入りますが、後はあれ食べたりこれ食べたりの「三角食べ」なんです。



これは「口中調味」といって、例えば、甘い、酸っぱい、しょっぱい、苦い、辛いおかずがあったとして、しょっぱいものを口に入れたら、パンをつまんだりご飯を口に入れ、味を中和して塩梅を整えるわけなんです。それが、今のお子さんの中には、辛かろうが甘かろうがそればっかり食べてしまう子がいます。そうすると、人間関係が、相手の気持ちを考えない人になるんです。食というものを通してしつけ易く、こんないい時期はないんです。だから、家族そろって躾です。まさに「食育」なんです。

えーと…なんか食べ物の話がダイレクトに人間関係の話につながってしまうのはどうかと思いますよ。「ばっかり食べの子」=「相手の気持ちを考えない人になる」ってどこにそんな根拠があるんだよって感じでございます。
「口内調味は日本だけのもの」「三角食べが廃れるのは日本文化の破壊である」なんてことを言ってるサイトも見つけてしまいましたが、この服部氏のおっしゃっていることを見れば必ずしもそういうわけでないとわかりますよね。
だいたい、韓国にはビビンパがありますし、アメリカにはハンバーガーやホットドッグがあります。あれは口内調味ではないというのでしょうか?
…話がそれました。
そもそもこの「三角食べ」ってのはどこから来てるのか、ホントに「口内調味」ってことと繋がっているのか、そして現在の幼児教育・学校教育の中では「三角食べ」に関する教育がなされているのか、ずっと気になっていたのですね。
で、見つけましたよ。
06/08/31のエントリ、栄養的に極端な偏りがなければ偏食してても問題ないでご紹介したこちらの本に三角食べについての記述がありました。

子どもの食生活と保育―小児栄養子どもの食生活と保育―小児栄養
赤石 元子 上田 玲子

樹村房 2003-04
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
引用します。

交互食べと三角食べ



 交互食べは米飯が主なエネルギー源であったころの食べ方である。そのころの副食は主食のお米を食べるためのものであり、塩分が高濃度でたんぱく質源は少なかった。このため少量の副食を口に入れれば米飯をたくさん食べられるほど塩分が強かったのである。

 一方、現在の副食は低塩分となり、たんぱく質源食品も多用されているためおいしく、主食がなくても十分食べられるようになった。このため交互食べの必要はなくなった。

 三角食べも副食に副菜、副々菜など質、量とも違うものがある場合には実践しにくい。さらに汁物をたびたび口に入れることは、食物を流しこむ習慣をつけやすいので控えたい。したがって、現在では交互食べや三角食べにこだわらず、4~5歳になってからまんべんなく食べられるよう、食事時に助言する方法が多く採用されている。

だそうです。
確かに「口内調味」ってことはあるのかもしれませんが、交互食べ、そしてその発展型である三角食べはお米をたくさん食べるためのものであり、現在の食生活の変化にはマッチしていないということなのではないでしょうか。
もちろん「この本に書いてあることが全て正しい」というつもりはありません。ただ、何の根拠もなく、あるいは怪しげな根拠で三角食べを奨励しているよりは、妥当だと思われる根拠が示されているだけマシかな、と思うわけです。
なんか長くなってしまいましたが、三角食べについてはまだまだ続きます。

1日1回クリックしていただけるとうれしかったり学問・科学ランキング

ランキング参加中!クリックお願いします→人気ブログランキングへ にほんブログ村 科学ブログ 人文・社会科学へ

コメント (Close):8

油小路ニュー中猫屋 06-09-05 (火) 15:04

三角食べ日本文化説はあやしい

 三角食べは、日本食の「口中調味」という特殊な調味の仕方と関係があるという意見がある。確かに、日本食に多い「お膳」形式は、少しずついろいろな皿から食べて口…

中猫 06-09-05 (火) 15:08

だいぶ前に書いたやつですが、トラックバックさせていただきます。
三角については私も追及(追究)したいところなのです。

浅木 06-09-05 (火) 19:36

三角食べってそんな、理論があったんですね。初めて知りました。面白い。

TAKESAN 06-09-05 (火) 22:21

今晩は。
服部氏の発言は凄いですね。「なるんです。」って言い切られても…。
私は、三角食べの洗礼を受けた世代ですので、一品ずつ片付ける、という食べ方はしませんが、別に、ばっかり食べでも良いじゃないか、と思いますけどねえ。あ、でも、ばっかり食べをする人、見た事無いですね。
口中調味を行わないと、日本人の繊細な味覚が失われる、という意見もあるみたいで。良く解りませんね…。

ミラノ 06-09-06 (水) 0:49

「三角食べ」にしても「偏食をしないこと」や「家族でご飯を食べること」にしても本来は美味しくご飯を食べたり健康に過ごしたりするための「ちょっとした知恵」なんですよね。それが教育現場などでこれらの行為を守らせること自体が目的となってしまい、本来の目的(美味しくご飯を食べたり健康にすごしたりすること)を見失ってしまうことが問題なんでしょうなあ、というのがとりあえずの感想というか妄想。
あと「三角食べ」とか「口中調味」とかって微妙にエロい響きだな、と感じるのは僕だけですか、そうですか。

ロテ職人 06-09-07 (木) 7:47

>中猫さん
TBありがとうございます。以前から「三角食べ」関連の記事は読ませていただいておりました(で、TB忘れてたのは中猫さんが書いていたのをしっかり忘れていたからです)。
すいません。
中猫さんの「三角食べ」に関する記事も楽しみに待っておりますので、よろしくお願いしますです。

ロテ職人 06-09-07 (木) 7:57

>浅木さん
> 三角食べってそんな、理論があったんですね。
そうなんですよ。一応「マナー」にもなっているようです。
社会的なコンセンサスがどの程度あるのかはよく分からないのですが…
>TAKESANさん
> 服部氏の発言は凄いですね。
> 「なるんです。」って言い切られても…。
確かに。完全に言い切ってますねw
> 口中調味を行わないと、
> 日本人の繊細な味覚が失われる、
> という意見もあるみたいで。
これは違うんじゃねーか?と思いますけどね。

ロテ職人 06-09-07 (木) 8:02

>ミラノさん
> 「三角食べ」にしても「偏食をしないこと」や
> 「家族でご飯を食べること」にしても本来は
> 美味しくご飯を食べたり健康に過ごしたりするための
> 「ちょっとした知恵」なんですよね。
そうそうそうそう!とモニタの前で力強くうなづいてしまいました。
そうなんですよね。
で、それこそ本来の食育の目的のはずなんですよ。それが歪んでしまっているのですよね。
> あと「三角食べ」とか「口中調味」とかって
> 微妙にエロい響きだな、と感じるのは僕だけですか、そうですか。
言われてみると確かにエロスw

Home > 食育 > 食育が気になる その8-「三角食べ」の真実-

ブログ内検索
RSS 臨床心理学ニュース
2011年売れ筋ランキング
Amazon.co.jp 経由で購入可能です

第 1 位

精神科臨床における心理アセスメント入門

津川 律子

精神科臨床における心理アセスメント入門

昨年に引き続き第1位獲得。単なる所見の書き方とは一線を画したアセスメントがらみの本。精神科臨床に携わる人だけではなく、どんな分野においても言える内容が盛りだくさんな一冊かと。筆者の豊富な臨床実践に根ざした良書という感じ。

第 2 位

発達障害とパーソナリティ障害―新たなる邂逅 (現代のエスプリ no. 527)

石川 元 (編集)

やっぱり発達障害関連本は強い。こちらは特に精神病理学の観点から語られており、興味深いです。Amazon.co.jpではプレミア価格がついてしまっているのが残念。

第 3 位

日本版WAIS‐3の解釈事例と臨床研究

藤田 和弘 (編集), 大六 一志 (編集), 山中 克夫 (編集), 前川 久男 (編集)

WAISを使う全ての人に

第 4 位

心理学の「現在」がわかるブックガイド

越智啓太(著) 徳田英次(著) 荷方邦夫(著) 望月聡(著) 服部環(著・監修)

個人的には学部生、特に1・2年の時に読んでおいて欲しい本。この中から将来に繋がる分野が見つかったりすることもあるんじゃないかと思います。もちろん一般の方や大学院生にもお勧めです

第 5 位

面接法

熊倉 伸宏

面接法

面接法の基礎が書かれている本。精神科の研修医も必携の本だったりします。非常に基礎的かつ実践的な内容でお薦めです。

第 6 位

こころの治療薬ハンドブック 第7版

山口登 (編集), 酒井隆 (編集), 宮本聖也 (編集), 吉尾隆 (編集), 諸川由美代 (編集)

こころの治療薬ハンドブック 第7版

何度でも言いますが薬の知識は必要です。てか、学校臨床専門の人も必須だと思います。院生も実習の段階で持っていた方が良い本。

第 7 位

エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方

Elizabeth O. Lichtenberger

エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方

需要の高いアセスメントがらみの一冊。訳本ではありますが、所見の書き方の実例が載ってて参考になること間違いなし。

第 8 位

女子アナ・吏良の海上自衛隊メンタルヘルス奮闘記

山下 吏良

女子アナ・吏良の海上自衛隊メンタルヘルス奮闘記

少なくとも臨床心理職の職域が拡大されつつあり、それと同時にそれなりに認められつつあるのだろうなぁと思わされる一冊。未読なので感想は言えませんが、読んでみたいとは思っておりますです。

第 9 位

子どもの心と学校臨床(第2号)特集:学校の中の発達障害の子ども:クラスに発達障害のある子もいるというあたりまえの現実の中で

辻井 正次(著・編集)

昨年もお世話になりました、遠見書房さんの雑誌。小学生の子どもを持つ親として個人的にも読みたい一冊。

第 9 位

新・臨床心理士になるために[平成23年版]

(財)日本臨床心理士資格認定協会 (監修, 編集)

資格試験を受ける人には必須の一冊。来年度受験者用も出るかと思いますが早めに準備をしておきたいという方は是非どうぞ
ブログステータス


RSSリーダーで購読する

Google Readerへ追加

Subscribe with livedoor Reader
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 科学ブログ 人文・社会科学へ
にほんブログ村



あわせて読みたいブログパーツ
フィードメーター - ロテ職人の臨床心理学的Blog

スカウター : ロテ職人の臨床心理学的Blog



ケータイ閲覧用

Return to page top