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「自殺予防学」を秋田大が開講

公開日: : 臨床心理学

こんな記事を見つけましたよ。
国内初、「自殺予防学」を秋田大が来年度に開講へ : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
以下、抜粋コピペ。

全国で年間3万人を超える自殺の予防に取り組むスペシャリストを育成するため、秋田大が来年度、国内初の「自殺予防学」を大学院で開講する方針を固めた。



医学だけでなく社会学的な視点も踏まえて体系的に学ぶ内容で、修士の学位が授与される正式な課程への移行を目指す。政府の自殺総合対策も人材養成を課題としており、自殺対策の基礎づくりへの新たな取り組みとなる。

「医学だけでなく」ってことはつまり、これ医学部で開講するってことなんですかね?んで「社会学的な視点も踏まえて」とありますが…心理学は?
秋田大学のサイトを見てみると、教員養成課程の中で心理系のコースがあるっぽいです。
秋田大学教育文化学部:課程(選修)紹介 学校教育課程
…あれ?鶴先生の所属って秋田大学じゃなかったでしたっけ?今年から変わった?…
…ってのはまあおいといて、この辺は連携するんですかね?連携しないとしたらもったいないなぁって感じですよ。実際のところ、教育系の学部と医学部の連携ってのは基本的に難しいわけですけども。
んで探してみたら、この自殺予防プロジェクトのページがありました。
秋田大学 自殺予防プロジェクト
プロジェクトメンバーのところを見てみると、心理系の教員もメンバーには入っているみたいです(教育文化学部助教授・教育実践講座 八巻 秀 氏)。ただ、自殺予防プロジェクトの中で心理職がどのような働きをするのかは少なくともネット上ではよくわかりません。
…んー…。

昨年の人口動態統計(概数)によると、秋田県の自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)は42・7と12年連続で全国ワースト1を記録している。県は2000年から相談体制の充実などの自殺予防事業を開始し、同大医学部の研究チームも自治体などと協力してうつ病に対する意識調査やシンポジウムを行ってきた。



こうした活動を通じて浮かび上がってきたのが、対策を主導する自治体側の人材不足。自殺予防には、うつ病に関する医学的な知識に加え、カウンセリングなどの心理学や高齢化、地域づくりなど社会福祉学的な知識も必要になるが、相談などに携わる自治体の担当職員らは、こうした知識を体系的に学んでいないのが実情だった。

「相談などに携わる自治体の担当職員」ってのは心理職も含むのでしょうか?
最近、しばしば取り上げている鳥取大学の件にも関係してきますが、基本的に地方って臨床心理士資格保持者の絶対数が少ないこともあり、この手の心理的サポートってのは手薄になりがちなんですよね。スクールカウンセラーなんかでもえらい遠い距離を通わなきゃいけないって話を聞いたりしますし。
ってことを踏まえるとこの「担当職員」は心理職じゃない可能性が高いように思われます。んでもしそうなら、なおさら(とりあえず)公務員心理職を増やすなりする必要があるんじゃないかと思うのですが…それもまた別のお話?ではないですよね。

このため、秋田大は自殺予防学の創設を計画。自殺予防に対する活動が今年度から3年間、文部科学省の補助対象事業に指定されたのを機に、事業の一環として講義を開設することにした。対象者は、大学院生のほか、自治体関係者、自殺予防にかかわる民間団体のメンバーを想定している。同大医学部研究チームの本橋豊教授は「全国に研究拠点が広がる先駆けとしたい」と話している。

なんかこういう動きを「地方における専門家不足」の解消につなげられないのでしょうかねぇ…。こういうところこそ「心理職に対するニーズの高さ」をアピールする絶好の場面なんじゃないかとも思うわけで。
・・・・・・・・・・
…とまあ、やたらと心理職に絡めて語ってみたわけですが、もちろん記事にあるように自治体関係者や民間団体との連携は重要です。
それはわかっているのですが、少なくともこうしたネット上の情報を見る限りでは「医学系と心理系の連携があんまりうまくいってないのかなぁ」と思ってしまうわけです。もしそうだとしたらもったいないですよね。
いずれにしても重要な動きではありますので、これからもこの話題には注目していきたいと思います。

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2007/06/26 | 臨床心理学

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コメント/トラックバック (4件)

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  1.  自殺防止のための緊急介入のノウハウって,心理学の世界ではどの程度蓄積されているのでしょう。
     個人的な話ですけど,「自分は相談に来る生徒に対してだけ責任を持ちます。相談に来ない生徒が自殺しても私の責任ではありません」と言い切っているSCも知ってます。こういう人を見ていると,自殺防止に関しては,心理職はいても役に立たないから呼ばれないだけじゃないの?とも思います(藁)
     まあ,そんな心理職ばかりではないのはもちろん知っていますし,ノウハウがないんだったら,これからノウハウを学んで蓄積して行かなくてはならないので,連携は必要ですね。
     

  2. 自殺防止の緊急介入のノウハウは,臨床心理の世界でもそこそこあるはずです。
    ストレスマネジメントなんてまさにそうです。また,自殺予防がメインではありませんが,学校やコミュニティへの緊急援助という形での活動も展開されています。各県の臨士会には,マニュアル的なものが用意されていることが多いです。金剛出版さんからは福岡県臨床心理士会の作った「学校コミュニティのため緊急支援の手引き」も出ています。
    なので,今ちゃんとやっているSCだったら,「相談に来ない生徒が自殺しても私の責任ではありません」なんて言わないはず…と願いたいところですが。とはいえ,予算の都合上,週1でしか行けない学校で,見ず知らずの生徒が自殺したという話を聞いて,SCが「私の責任です」なんて言うとしたら,そら,誇大妄想というか,何というか。もちろん,「私の責任ではない」なんて公衆の面前で言い切っちゃうそのSCは社会性がないというか,アホですけれどね。
    閑話休題。
    どちらかというと,臨床心理学では,目の前にいるうつ患者を相手にするのではなく,事前の自殺予防教育や,あるいは事後の「後追い自殺」を食い止めようという方向性が強い気がします。
    自殺企図バリバリのあまりにも重いうつの患者さんは,精神科医にリファーした方がいいでしょうし。臨床心理士には,入院させる権限なんてないですし。そういう意味では臨床心理士の自殺企図者への介入は,限定されます。なので,自殺予防の方に力を入れているのではないかと思いますし,それは建設的な方向でしょう。
    また,自殺予防の一環として始まった「いのちの電話」も,一応,臨床心理学の流れを汲んでいます。方法論は,ロジャーズからきていますし。ボランティアですが,臨床心理士の方もおられると聞いています。
    電話相談の本が何冊か出てますが,臨床心理学の方が書いている本が多い気がします。個人的には,村瀬嘉代子先生と津川律子先生の本がグッドです。
    精神医学の世界でも,臨床心理学の世界でも,自殺がさほど注目を浴びているとは,残念ながら思えません。精神医学の世界ですと,高橋祥友先生の一連の本がベストでしょう。というか,高橋先生以外いない感じさえします。
    このあたりは文化的な規範かもしれません。要するに,自殺のことを語りたくないという…
    >ロテ職人様へ
    ちなみに,鶴先生は退官され,跡見学園女子大学に移られました。
    ちなみに,秋田大の八巻さんは臨床心理士です。開業もされているはずです。
    長文,失礼しました。

  3.  現に精神病水準の問題を抱えている方への対応は,もちろん医師主導でしょう。
     ただし,有名人が自殺した後の「後追い自殺」防止なんかは,思春期の子どもたちを相手にしているSCの活躍の余地は大きいと思います。もちろん,常日頃からの予防教育が下地になりますが。そういう意味では,教師と連携して,学校でそういうことをやるのもよろしいのではないかと思いますね。
     よく言われることですけど,日本には自殺に対して同情的というか,「自分で自分の命を絶つことはよくない」という考え方は余り強くない風土がありますね。国政レベルの政治家でも,「死んでお詫び」すればもう叩かないのが「武士の情け」という風潮はあります。
     なんつうか,社会的リセットの手段を自殺以外に用意することが必要だと思うんですね。
     学校生活が辛い子どもたちだったら不登校でいったんリセットする。社会生活に行き詰まった大人であれば出家でリセットする(笑)
     いや冗談ではなくて,日本でも平安時代には、出家はそういう意味合いをもっていたそうです。

  4. 有名人の後追い自殺は確かにありますが,マスコミの報道しすぎが大きな原因のような肝。
    しかし,有名人に限らず,一人の人間が自殺すると,周りにいる3人は自殺予備軍になる的なことはよく言われています。
    だから,ま,学校内で自殺が発生したときに,緊急支援として自殺予防教育をすることは,よくやられています。すべての学校でやっているわけではないでしょうが,かなり多くの学校でやるようになったんじゃないかと思います。もちろん,SCが活躍していますし,当然,学校の教員との協働作業です。
    確かに自殺には文化的な規範もあります。一番大きいのは自殺のタブー化でしょう。自殺予防週間(というのがあるらしいのですが)のポスターを駅などに貼れなかった,なんて話もあります。
    ですが,今の自殺はニュースになることが多いのは少年たちの自殺ですが,自殺群の多くは中年以降です。その原因の多くは平たく言えば「不況」です。実際,バブルの前後の辺りまで,日本の自殺は諸外国に比べてさほど多いわけではありませんでした。そういう意味では,「自殺ウェルカム」な風土というわけではなさそうです。
    自殺大国を見ると,やはりあまり景気がよさそうではない国,それから酒好きそうな国が多いです。ロシアとかハンガリーとかノルウェーとか。日本でも都心部の自殺よりも,裏日本(秋田はトップクラスですが)や高知,沖縄など,景気の快復が遅れていて,なおかつ,酒が好きそうな地域が自殺率が高い。社会からのリセットの方法を模索するより,景気対策の問題やら,政府のミスリードを何とかした方がよさそうです。あと,アルコール問題の対策とサラ金とパチンコの対策とか…。
    私なら借金苦で自殺するかってときに,出家はないと……だってたいていの自殺者は生命保険のために自殺をするわけですから。
    それから1930年代前半生まれの世代で自殺が多いことはよく指摘されています。それ以外の世代だと特異に多いということはありません。戦争の影響でしょうね。
    ハラキリ文化を異常に強要された世代です。死への観念がちょっと違うんじゃないかと思います。
    それ以外の世代――あるいは維新前後の時代を除く,日本人のほとんどは,自殺をさほど賛美していたとは思えません。自殺=ハラキリ=武士なんでしょうが,私たちのほとんどは百姓だったわけですし。悲惨だけど,もっとおおらかな文化だったと個人的には思います。
    社会生活に行き詰った大人が出家ですか…。坊さんの世界だって実社会と同じようにヒエラルキーもあるし,階級差もありますよ。修行は厳しいでしょうし。そもそも出家するようなエネルギーがあるなら,仕事休んで,2週間くらい旅行でも行けばいいんじゃないでしょうかね…。出家する必要なんかさほど無い肝。先立つものが必要ですけれどね。


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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