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大学院生の実習で心理検査の陪席させる?

公開日: : 臨床心理学

先日のエントリ
大学院の学外実習でケース持たせるのってどうなの?(08/06/09)
大学院の学外実習でケース持たせるのってどうなの?その2(08/06/11)
に関連するかもしれない話題。
某大学院博士課程で心理学の研究をしているグッちょんさんのブログ、ズボラ生活の本日のエントリ、半ば強制的に実習担当で、タイトル通り半ば強制的に週一回勤務している病院で修士課程の学生の実習を受け入れることになったということが書かれています。
一応魚拓も。
(cache) ズボラ生活 半ば強制的に実習担当
私自身も実習生の受け入れをすることがありますし大学院教育にも興味がある(というかこれは現場の人間が色々考えなきゃいけないことだと思っております)ので、非常に興味深く読ませていただきましたが、その中に気になるフレーズが。

僕の勤務している病院は大学病院なので、入院設備も整っているし、専門外来も沢山あり、しかも修士学生らは一人一週間の実習期間が設けられているのである。僕も修士の頃はこういう実習先があったら良かったのにと心から思うのである。

だけども、勤務先に実習生として後輩が来るのはなんとも嫌な気分である。おそらく僕の心理検査の実施も見学される事だろうし。しかもここの病院が心理の実習生を受け入れるのは初めてなのでなおさらプレッシャーだ。
彼らがもし変な事でもしでかしたら、先輩であり、講座との橋渡しをした僕の評価も当然危うくなるのである。

病院側がどのように考えた上で実習生を受け入れるのかはわかりませんが、とりあえず病院側で何かメニューを提示したりもするのでしょう。あるいはグッちょんさんが何か案を出すのかもしれません。その辺は物理的というか環境的な要因で色々あるでしょうからまあいいとして。
気になったのは「おそらく僕の心理検査の実施も見学される事だろうし」というところ。
患者さん相手の心理検査の陪席、実習生にさせますか?


過去ログで述べたようなケースを持たせるなんてことに関しては言語同断だと思います。「受け入れる側は何考えてんの?」とか「何かあった時、どう責任とるの?」と思うのですが、心理検査の陪席ってひょっとして微妙なところなのかな?
いや、自分だったらさせないですよ。
患者の立場になって考えてみましょう。病院で検査なんつったら、そらどんな検査だって嫌ですよ。自分だったら。嫌だと思う人は多いんじゃないかと思います。
心理検査ならそれはなおさらかと。ロールシャッハや描画みたいな投影法なんて使った日には「何を調べられてるんだろう?」って思いますよね。それだけでも負荷が高いのに、検査者以外のよくわからん人間が同じ部屋にいるってのは…そうとう圧迫感があるんじゃないでしょうか。そうしたプレッシャーが検査結果に影響を与える可能性は少なからず考えられるわけですよ。
「じゃあ知能検査とか記憶検査ならいいの?」って言われると、それまたどうかと思うのです。その辺の検査は試されているというのがあからさまにわかるわけじゃないですか。それだって必要のない人間に見られるのは嫌だろうし、課題遂行のパフォーマンスに影響を与えるの可能性はやっぱりありますよね。
仮に当の患者が陪席に対して「別にいいですよ」と言ったとして。それを言ったから影響が何もないかと言うと、そりゃあこの仕事やってる人間だったらやっぱり何か影響があるかもしれないというのはわかるでしょ?
こんな感じで考えていくと、やっぱり実習生を陪席させるのは難しい…ってことになります。
んじゃあどうしましょ?
・・・・・・・・・・
私だったら時間をやりくりして、患者相手にやるのと出来るだけ同じフォーマットで実習生を被検者にして心理検査やりますけどね。
いや、実習生も既に被検者体験はあるかもしれませんが、実際の診察室なり面接室なりで、実際に現場で働いている心理職に検査をとってもらうというのがどんなことなのかを体験してもらうことの方が、不要なリスクを負って患者の心理検査の陪席をするよりも得るものは大きいんじゃないかと思います。
それとともに、例え検査であっても陪席している人間がいることがどんな影響を患者に与えるのかといったようなことに対する感受性と言いますか、気配り?何か言葉が違うような気もしますが、そういったところを実習生に伝えていく必要はあるんじゃないでしょうかね。
実際私もやる気のある医師から「心理検査をやるところを見学させてもらえないか」と頼まれることはありますが、それだったらということで私はその医師に心理検査の被検者体験をしてもらうことにしています。もちろん、時間はかかりますが結果のフィードバックもある程度します。
同僚である医師に検査の実際を知ってもらうというのは、結果的に私が働きやすくなることに繋がりますし、不要な検査で患者に負担を与えないようになるかもしれないという利点もあったりなかったり。
・・・・・・・・・・
…と私は考えるんですが、何か違う意見を持っている方もいらっしゃるかもしれません。異論・反論・オブジェクション等ありましたら、是非ともコメント欄までお寄せ下さいませ。

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2008/06/26 | 臨床心理学

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コメント/トラックバック (6件)

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  1. 私は知能検査に同席させてもらいました。
    その時は、被験者の許可をもらい、
    席の配置を被験者から見えない位置にしました。
    誰かが同席することによって心理検査への影響は
    あると思いますが。
    検査者と被験者の関係がしっかりとれていて
    しっかり説明をし、席の位置や
    検査のどの部分を見学するかなど
    考慮することで影響を
    少なくすることは出来ると思います。
    その経験は一度だけでしたが、
    実際の検査の空気感を感じることで
    自分の検査技術向上に
    非常に役立ったのは確かです。
    むつかしい問題だとは思いますが、
    私が将来教える立場になったとき、
    同じ事を出来たらなあと思います。

  2. 私も検査陪席させていただいた経験のある1人です。
    たしかに陪席者がいることによる患者さんの負担・影響はあるとは思いますが
    どの患者さんにするか、座る位置は、どう説明するか、治療者との関係は、などで影響を最小限に抑える工夫をしていらっしゃいました。
    ロテ職人さんの患者さんを大切にする姿勢は素晴らしいと思います。
    しかし、第三者として実際の面接室での検査を見たり、
    関わり方を学んだりすることは非常に勉強になりましたし、
    そういう現場を見れることが実習の一番の意義ではないでしょうか。
    また、そうした現場を学び、心理士の質が上がれば、
    いつか患者さんに還元できるのでは、と考えています。
    そして、陪席させていただいた病院では、
    若手の心理士に陪席者をつけて
    「見られる」ことによるトレーニングをしているとおっしゃっていました。
    私は陪席させていただいた先生にも患者さんにも感謝しているし、
    育てていただいたと感じています。

  3. >kindさん
    実体験に基づくコメント、ありがとうございます。
    > その時は、被験者の許可をもらい、
    > 席の配置を被験者から見えない位置にしました。
    > 検査者と被験者の関係がしっかりとれていて
    > しっかり説明をし、席の位置や
    > 検査のどの部分を見学するかなど
    > 考慮することで影響を
    > 少なくすることは出来ると思います。
    実は私も、何度か陪席者を入れて検査をしたことがあります。その際は当然、kindさんがおっしゃっているような点には配慮しました。
    ただ考えてみたら、検査の陪席をさせるのであれば、別に実際の患者を対象にした場面じゃなくともいいんじゃないかと後で思うようになったのですよね。
    私はただでさえ自分の力量が低いというのはそれなりに自覚はしているので、その中でできるだけ被検者に悪影響を与えないということを考えると、やはり出来る限り排除できる要因は排除した方がいいんじゃないかと思うのです。
    貴重な体験だし、それが能力向上に繋がるというのもわかりますが、患者第一に考えるとなぁ…って感じです。
    ただ、そういうことを言っていると実習なんて受け入れられなくなってしまうというのもまた事実だったりするのですが。
    ホント難しいところです。

  4. >mon-mamaさん
    コメントありがとうございます。
    > しかし、第三者として実際の面接室での検査を見たり、
    > 関わり方を学んだりすることは非常に勉強になりましたし、
    > そういう現場を見れることが実習の一番の意義ではないでしょうか。
    実習の意義という辺りについては色々と書きたいところもありますし、実は既に書いていたりする部分もあったりしますのでここでは省略。すみません。
    > また、そうした現場を学び、心理士の質が上がれば、
    > いつか患者さんに還元できるのでは、と考えています。
    心理士の質の向上というのは(自分の質も含めて)願ってやまないところではありますが、私の力量では「いつか」還元するよりも「今、目の前にいる患者」に還元することの方が大事なんじゃないかなあと思うのです。
    > 陪席させていただいた病院では、
    > 若手の心理士に陪席者をつけて
    > 「見られる」ことによるトレーニングをしているとおっしゃっていました。
    それだって、スーパーヴァイザーが陪席すればいいだけの話だし、上記のような影響を考えるのなら被検者は必ずしも患者じゃなくてもいいように思ったりします。
    …なんて書くと、自分のところで実習生を受け入れる場合には全く患者と接触させないのかというとそういうわけでもなく、例えば集団を対象にした治療(色々ありますわな)とか、あるいは慣れた段階で予診を取ってもらったりなんてこともあったりするので、それなりに現場でどんなことが起こっているのか、そんな場面での雰囲気を感じてもらうことは十分にできるんじゃないでしょうか。
    もうちょっと考えてみます。
    そして引き続き皆様からのコメント、お待ちしております。

  5. はじめまして。ネタ元のグッちょんです。前にコメントしたつもりだったのですが、うまくいかなかったみたいなので、再度コメントさせていただきます。
    こんなにも大きく取り上げられるとは思っていなかったので、正直ちょっとびっくりしてしまいました。
    実習の陪席等に関して、ロテ職人さんのおっしゃることで頷ける所は沢山ありました。
    確かに、患者さんには負担をかけないというのが基本だと思います。もちろん、実習生にケースを担当させることはできないし、私の検査に陪席するにしても、人格検査の陪席は禁止しています。
    ロテ職人さんのおっしゃる通り、だったら知能検査なら良いのかというと、そうでもないでしょうが・・・。
    ちなみに、私は実習計画には関与していません。
    こちらとしても患者さんの負担にならないよう最大限の配慮は行いますが、これもまたおっしゃる通り、負担や不安感はゼロにはならないでしょう。そうするには、これもまたまたおっしゃる通り、病院での実習を受け入れないという形になるのでしょうね。なので、実習生の受け入れの問題について、何をどこまでさせるのかということはとても難しい問題だと私も思います。
    私の個人的な体験としては、検査に陪席することで、手引書には載っていないような微妙なコツや検査態度と検査結果の違いなどをナマな感じで実感できたことはとても勉強になったと思っています。ロテ職人さんはいかがでしたか?検査の陪席にも批判的な立場であればあまり得るものはなかったか、得るものよりも患者さんの負担の方が大きく感じたということでしょうか。
    また、私は医師の診察の陪席も体験しましたが、これも非常に勉強になりました。ロテ職人さんの意見に沿うならば、医師の診察もまた避けるべきでしょうか?それとも、陪席する前にまずは医師の診察を受けるべきでしょうか?それはそれで教育分析風で面白そうですが。
    やはり、実習生の扱いは難しいところですね。倫理を追究すれば実習にならないし、技術向上などを求めると倫理に触れそうだし・・・。どのあたりで折り合いをつけるのか、ある程度のコンセンサスのようなモノが今後は必要になってくるのでしょうが(というかすでに必要?臨士会はどういう立場をとっているんでしょうね?)。
    ロテ職人さんのお考えとても参考になりました。ありがとうございます。

  6. >グッちょんさん
    コメントありがとうございます。
    一応、私のスタンスとしましては、私が担当する患者に関しては実習生が陪席することによる負担はかけたくないと思うし、何か代替手段があるのであれば別の方法で勉強してもらえないかどうか考えたいと思っております。
    医師の診察への陪席に関しては、その医師の考え方次第でしょう。その医師が認めるのであれば、別にいいんじゃないかと思いますし、私がその辺どうこう言うことではないとも思います。
    グッちょんさんのエントリに関しては同業者として「私はそうはしない」と思ったのでこのエントリをアップさせていただいた次第です。
    近々、もう少し詳しく実習に関しての私の考え方はまとめてみたいと思います。その時にはまたご意見いただけるとありがたいです。


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