Psychologists&Students
Psychiatrists
Others

施行法

公開日: : 臨床心理学

最近、若手の人々とロールシャッハの勉強会をやっていて思うのですが…って私も十分ペーペーであり、気持ちだけは永遠の若手だったりするわけなのですが、まあその辺はおいといて。既に臨床現場に出てから数年経っていて、けっこうな件数のロールシャッハをやってたりする人であっても、スコアリングや解釈以前の質問の仕方とか施行法について「それってどうよ?」と思ったりすることが少なくないのですよね。
そして、Decoさんのブログ、DECOllated by statisticsの08/06/19のエントリ、今日も他にやる事があるわけですけどを読んで「そうだよなあ」と思わずうなづいてしまいました。そんなわけでちょこっと引用。

Adriana, L, et al. 2007 The Impact of Administration and Inquiry on Rorschach Comprehensive System Protocols in a National Reference Sample. Journal of Personality Assessment, Vol 89, pp193-200.



実施の習熟度はCSの結果にどう影響するか。調査を2度実施して,1回目:SVerの指導を受けつつ調査,2回目:1回目以降に実施の訓練を積んでから調査を実施。2度の調査結果を比較すると,どちらもreliableではあるけど,2度目(つまり訓練後)の方が豊かで複雑な情報を得ることができていた。ロールシャッハの実施法は,得られるプロトコルに対してドラマティックな程のインパクトを持っている。CS実施に関する標準化された訓練プログラムが必要だろう,という結論。

CSはComprehensive System=包括システム、Exner, J. E.によるロールシャッハ法のシステムです。
私もアブストラクトしか読んでないんでアレなんですが、まあ当然の結果という感じですよね。
ロールシャッハ法の施行は検査者-被検者間(と言ってしまうと「やっぱ検査じゃん」って話になってしまうので、その辺もまあおいといて)のやりとりの中での出来事なわけで、様々な要因によって出てくるデータも違ってくるわけですよ。んで、検査者というか実施者の側のスキルによって変わってくる面も当然あるわけですよ。
と考えた時に、果たして現場でロールシャッハをとってる人のどこまでがちゃんと実施できるのか?ってことが問題になってくるわけですね。
少なくとも現時点で多くの大学院で検査法みたいなのが必修になっており、ロールシャッハに関してもそれなりの時間がかけられているのだと思います。大学院生のやってるブログなんか見ててもたまに「ロールシャッハうぜえ」まで直接的に言ったりはしませんが、「大変なのね」と思わせられるようなことが書かれてたりするわけです。
で、学生の人数も少なくないわけで、そうなってくると一人一人のとったプロトコルの問題点を丁寧に指摘しつつ指導…なんてことは難しいですよね。本当は学生のうちに何度かちゃんと録音をして、それをテープ起こししたものについて見てもらうってな体験が必要だと思うのですが、そこまで丁寧にやってられないというのが実情だと思うのです。つか、スコアリングと解釈に関してやったらもう時間がないって感じなんじゃないでしょうか。
そしてそのまま現場に出ると、もう録音するとかテープ起こしをして…みたいなステップを踏んだ上での指導ってのはなかなか受けられないわけです。もちろん、そういうことをやってる勉強会なんかがあるのも私は知ってます。ただ、ロールシャッハを実践で使っている人の多くはそういった指導を受けたことあんまりないんじゃないでしょうか。
…と考えていくと、症例検討なんかでロールシャッハのプロトコルが出て来たときに「果たしてこの結果ってどこまで妥当なものなのだろう?」なんてことも思ってしまうわけです。そしてロールシャッハを使った大規模な調査研究なんかが行われた時に「このデータはどこまで妥当なのだろう」とも思ったりするわけです…てか、ぶっちゃけて言えば、エクスナーが生前集めていたデータの妥当性は…みたいなことも考えたりするわけです。
そういう話はこの↓本で取り上げられている内容と関連しているかもです。てか、いいかげんこの本のレビューを再開したいと思う今日この頃なのです。

ロールシャッハテストはまちがっている―科学からの異議 ロールシャッハテストはまちがっている―科学からの異議
James M. Wood Scott O. Lilienfeld M.Teresa Nezworski

北大路書房 2006-02
売り上げランキング : 170945
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

・・・・・・・・・・
まあ、エクスナーのデータの妥当性の話はともかく、とりあえず自分の足下から着実にやっていかねばと思うわけです。私自身のスキルも含めてですが、自分が指導する立場になった時になんか貢献できることはないかなあと思ったりもするのです。
という話をしていくと、先日のエントリ、大学院生の実習で心理検査の陪席させる?で取り上げた問題に繋がっていくわけなのですが、長くなりそうなのでまた続く…かな。

そして1日1回ポチっとクリックして順位確認後戻ってきていただけると感謝感激でございます学問・科学ランキング

2008/07/04 | 臨床心理学

関連記事

黒子がPCを再起動

再起動します

みなさまお久しぶりでございます。 わたくし、なんとか生きております。 しかし何な

記事を読む

Reme クラウドファンディング

“心の専門家を身近にするQ&Aサービス”Reme(リミー)さんのパトロンになってみた

Remeさんがクラウドファンディングを開始! 2015年10月にβ版サイトをオープンし

記事を読む

Reme 第1回 臨床心理士向け研修会

【催眠】Remeさんの第1回臨床心理士向けワークショップに参加した!その2【臨床動作法】

さてさて昨日のエントリ、【長谷川明弘】Remeさんの第1回臨床心理士向けワークショップに参加

記事を読む

Reme 第1回 臨床心理士向け研修会

【長谷川明弘】Remeさんの第1回臨床心理士向けワークショップに参加した!その1【杉山崇】

Remeさん主催の初めての研修会! 去る4月24日の日曜日。東京都のど真ん中、千代田区

記事を読む

ノリで採用を決める人事担当者

心理臨床家の能力をアセスメントするのって難しいよねという話

タイトル書いてから思ったんですが、この話題って、論文検索すれば関連するテーマでいくつもヒットしそうな

記事を読む

新着記事

疑問

ん?

超久しぶりの投稿です。 明日から継続して投稿できるかなあ...

記事を読む

黒子がPCを再起動

再起動します

みなさまお久しぶりでございます。 わたくし、なんとか生き...

記事を読む

いつも怒っている父さん

「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(後編)

このシリーズもついに完結…するのかどうか実は微妙です。書いてみ...

記事を読む

不満爆発父さん

「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(中編)

さてさて、昨日のエントリ、「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移...

記事を読む

激おこ父さん

「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(前編)

またまたお久しぶりの更新になってしまいました。前回の更新が5月...

記事を読む

コメント/トラックバック

現在、この投稿へのコメント/トラックバックは受け付けていません。


follow us in feedly
  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
疑問
ん?

超久しぶりの投稿です。 明日から継続して投稿できるかなあ

黒子がPCを再起動
再起動します

みなさまお久しぶりでございます。 わたくし、なんとか生き

いつも怒っている父さん
「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(後編)

このシリーズもついに完結…するのかどうか実は微妙です。書いてみ

不満爆発父さん
「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(中編)

さてさて、昨日のエントリ、「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移

激おこ父さん
「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(前編)

またまたお久しぶりの更新になってしまいました。前回の更新が5月

→もっと見る

PAGE TOP ↑