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現代のエスプリ別冊『投影法の現在』

先日の日心臨の年次大会、ワタクシは結構忙しくて実はゆっくり書籍コーナーを見る時間が取れなかったのが非常に残念でありまして。それでも気になる本をチェックしてはいましたが、やっぱりもう少しゆっくり見たかったなあというのが本音でございます。
そしてここ最近は貧乏をこじらせているという事情もあり、当日購入できた本は実はこの一冊だけでございました。

投影法の現在投影法の現在

至文堂 2008-09-06
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これ、エントリのタイトルにもあるように、現代のエスプリ別冊です…が、至文堂のページにはまだ紹介が掲載されておりません。
てか、編集の小川俊樹氏は今回の学会大会の大会長(運営委員長?)…って辺りから考えると、学会に間に合うよう急いで出された本なんじゃねーかと勘ぐってしまいたくなるわけでございます。そりゃあ、学会会場にあるのとないのじゃ、最終的な売れ行きにも影響あるでしょうから。
なーんて裏の事情に対する外野の勘ぐりは置いといて、個人的には非常に興味深い本でございましたよ。ってのはまあ、ワタクシが「ロールシャッハ」「テスト」職人を名乗るくらい投影法に興味があるからかもしれませんが。


全体の構成は編者の小川氏による「概説 今日の投影法をめぐって」で始まり、「I部 心理学と投影法」では計量心理学(心理測定論)、発達心理学、認知心理学、社会心理学、自我心理学、分析心理学、家族心理学、神経心理学のそれぞれの立場から投影法について論じられております。
ワタクシ的には結構豪華なメンバーが執筆しているのではないかと思います。そして、認知心理学、社会心理学辺りとの関連については言及されることが多くないと思いますので内容的に新鮮でしたよ。
「II部 各種投影技法の現在」ではロールシャッハ法、TAT、SCT、バウムテスト、風景構成法、描画法、P-Fスタディに関してその特徴や使用の現状、それらの技法が抱える問題などについて書かれております。
ちなみに概説(そしてII部のロールシャッハ法の項でも)では、この本
ロールシャッハテストはまちがっている―科学からの異議ロールシャッハテストはまちがっている―科学からの異議
James M. Wood Scott O. Lilienfeld M.Teresa Nezworski

北大路書房 2006-02
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What's Wrong With the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot TestWhat’s Wrong With the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot Test
Jim Wood

Jossey-Bass Inc Pub 2003-03-07
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の名前を具体的に挙げ、近年の投影法批判に関しても言及されておりますよ。それに関連して興味深いと思った部分をちょこっと引用。

ピオトロフスキー(Piotrowski, 1993)は、米国で一九八四年に調査を行った際、四六%が衰退予測を立てているにも関わらず、ほぼ十年後の一九九三年の調査でも投影法の使用頻度に大きな変化はなく、なおかつ一九九三年の衰退予測は四五%であることを指摘し、どうも投影法に関する反応には論理的実証的というよりも感情的な側面があるのではないかと指摘している。

へー。
もちろんこの調査研究だけで「感情的な側面が」的なことは言えないとは思いますし、それから10年以上が経過して実際に使用頻度が減少しているという事実もあるのですよね(その辺はII部のロールシャッハ法の項で触れられております)。
現場で投影法を使用する人々にとってもこの辺は無視することができない問題だと思いますし、興味がある方…というか現場で使用する人は一読をオススメいたしますよ。
で、「III部 心理臨床と投影法」では精神科、児童精神科、心療内科、児童相談所、犯罪・矯正分野などの現場における投影法の使用に関して、そしてスポーツ臨床、ジェンダー問題、芸術療法、心理療法全般と投影法の関連について論じられております。
一応ワタクシも精神科臨床に携わっておりますので「精神科臨床と投影法」については特に興味深く読ませていただきましたが、教科書的すぎる感じでちょっとつまんないというのが正直なところです。事例とか挙げて書けば、もう少し読みやすいのではないかと思いました。ただ、「精神科臨床における投影法の今後の展望」というところで、自閉症スペクトラムと投影法(特にロールシャッハ法)との関連や、各種画像診断と投影法を組み合わせた研究の必要性についてちょこっと言及している辺りは納得しましたよ。そして全般的な内容は妥当だとも思います。
・・・・・・・・・・
そんな感じで興味がある方…というか現場で投影法を使う人、そして勉強中の学生さんなんかには超おすすめです。ついでに投影法に批判的な人もどうぞ。

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