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SCとSSWの専門性

公開日: : スクールカウンセラー

兵庫教育大学の冨永良喜氏のブログ、ストレスマネジメントとトラウマの昨日のエントリ
臨床心理士資格をもつ教師の活躍
にこんなことが書かれておりました。
…の前にまずは関連過去ログをどうぞ。
ついに来ましたよスクールソーシャルワーカーが(08/01/09)
コメントにレスしつつスクールソーシャルワーカーについてもう少し考えてみる その1(08/02/26)
これを「危機かもしれない」と感じることが出来るのは素晴らしいこと(08/02/26)
コメントにレスしつつスクールソーシャルワーカーについてもう少し考えてみる その2(08/02/27)
コメントにレスしつつスクールソーシャルワーカーについてもう少し考えてみる その3(08/03/19)
新聞記事からSSWとSCの違いについて考えてみる…が結局わからない の巻(08/03/26)
心理学・精神医学ニュース@080509(08/05/09)
SC予算ガッツリ削られて大変っぽい(08/05/14)
SSW導入後のフォローアップ記事発見 そしてやっぱりSCとSSWの違いがわからない(08/08/19)
えーと…関連過去ログ、どんだけ多いんだ?って話ですが、それだけスクールカウンセラー(以下SC)やスクールソーシャルワーカー(以下SSW)関連のニュースが多く、私自身それらに興味があるということであり。
そしてようやく冨永氏の記事を引用していきますよ。

私は、日本のスクールカウンセリング事業は、大きな転換点を迎えていると思う。週5~6時間というきわめて短い時間の勤務体制とともに、当初週8時間ではじまった事業がいつのまにか短縮されているという現実をどう考えるのか。本年度、予定されていた50億円の事業予定が、15億円削減され、それとほぼ同等額がスクールソーシャルワーク事業にあてられた。スクールカウンセラーは、家庭訪問をしない、虐待対応ができていない、と文部科学省も財務省も考えているという結果との推測をせざるえない予算措置である。

心を大切にする、といいながら、全校配置をすすめるといいながら、スクールカウンセラー事業が実質後退していることを、もっと声をあげなければならないと思っている。

もちろん、うまく機能できていないスクールカウンセラーもいるだろう。もう来年は、このカウンセラーには来てほしくない、ということもあるだろう。それは、きちんとした評価システムを作り、子どもたちの利益になるように仕組みを整えていかなければならない。

主題であるところの「教師で臨床心理士を取得している者で、専従の教育相談についている人」に関してはこれまた興味深い問題であるので、いつか言及させていただきたいと思いますが、とりあえずは上記引用部分に関してですよ。
今現在、私はSCとSSWの違いがやっぱりわかっていません…というか、実態としてはほぼ同じものなのではないかと思っています。単に名前が違うだけで。過去ログで取り上げたいくつかの新聞記事にもあるように、下手すると臨床心理士資格保持者がSSWをやっているという地方も存在するのです。
その上でぶっちゃけて言ってしまえば、子どもの利益になるのなら(そしてやっていることがほとんど同じならば)SCでもSSWでもどっちでもいいんじゃないですか?と思ってしまうのです。
そして、少なくともSCとSSWの専門性の違いを明らかにした上で双方の必要性を論じるのでなければ、スクールカウンセラー事業が国家資格化のための政治的な道具になってしまいかねないのではないでしょうか。
冨永氏は

党派を超えて、子どもの心の教育の充実施策を展開してほしい。

とおっしゃっていますが、「SSWの制度で子どもの心の教育の充実施策の展開はできないのですか?」ってことですよ。
一応、まがりなりにも心理臨床業務に関わっている私が未だにSCとSSWの違いが理解できないのです。いや、単に私の能力が低いだけかもしれませんが…。

スクールカウンセラーは、家庭訪問もすれば、虐待対応もやっている。

とおっしゃるのならば、なおさらです。
もしそれらが異なるものなのであれば、SCとSSW、その専門性の違いを明確にしていただきたいと思います。それができないのであれば、SCの予算が削減されてSSWにその分の予算が回されたとしても、子どもの利益は変わらないでしょうし、別にそれで何の問題もないでしょう。
当然のことながら、冨永氏がおっしゃるように、SCの機能とその実態に関する全国調査はしなければならないでしょう(…って今までしてなかったんですか?何で?)。SCの評価システムの確立も必要だと思います(色んな意味でそれは難しいとも思いますが)。
その上でようやく

安定したスクールカウンセリング事業を展開するためにも、臨床心理士の国家資格化は急務だと考える。

という結論を導きだすことができるのだと思います。
繰り返しになりますが、今のままの冨永氏の主張ではSC制度が国家資格化のための政治的な道具になってしまいかねません。
ということで皆さんの意見をお待ちしております。

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コメント/トラックバック (4件)

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  1. SCであれSSWであれ,あるいは他職であれ,まずは「(個々の)学校の児童・生徒でどのような問題があり,それを解決するための人的リソースとしてどういった人材が必要なのか」という議論が最初だと思うんですよね。この点に関してはロテさんも書かれていますが,「どっちでもいいんじゃない?」と私も思います。
    SCがいいんだ,とかSSWがいいんだ,という「職名ありき」の議論じゃなくて,どういうリソースを投入(?)するか,という「求める人材」有木の議論が先だと思うんです。
    SCもSSWもそれぞれ専門性があるわけですが,「家庭訪問する・しない」ってのは専門性云々じゃなくて,その仕事に従事している人間の「おいらの仕事はこういうこと!」という一種の仕事観の問題なんじゃないか,と思うのです。虐待はちょっと専門性が関わってくると思いますが,SCだって虐待対応できるSCはいるでしょうし,SSWでも虐待対応が×なSSWもいるでしょう。
    SC・SSWだからできる・できない,というのは一種のステレオタイプだと思うんです。「SCは家庭訪問しない」とか「SSWなら虐待の対応をしてくれる」というのは過剰な一般化でしょう。
    ただ,SC制度自体の問題はあると思っています。立ち上がった時には虐待とか保護者対応とかは想定してなかったと思うんです。想定していなかったことに対して「なんで対応できないんだよ!」というのはちょっと違うでしょう,と。
    ただ,「学校で生じている問題にすべて対応できる(教員以外の)専門家」なんていませんよ(言いすぎ?)。「専門」家なんですから,対応できる領域は限定されてしかるべきでしょう。「専門家」の度合いを高めればその分,対応可能な領域は狭くなっていきます。どうしても。
    とはいうものの,行政からみると「高度に専門化」した人材はコストパフォーマンスが悪いから「そこそこに幅広く対応できる」専門家が欲しいでしょうね。が,じゃあSSWならそれができるのか,SCではできないのか,というのは別の話だと思います。他の支援リソースというか社会資本というか,そういったものも絡んでくる話ですし。
    いっそ,両者を統合したというか,「教員以外の専門家」という位置づけにして,学校によって必要な人材を配置するようにすればいいんじゃないですかね。
    子ども(必要な場合には保護者も)とのカウンセリングでほぼ対応可能なケースが多いのであればSCを雇えばいいし,家庭の経済的な問題とかにも踏み込む必要があるケースが多いのであればSSWを雇えばいい。人事管理の基本に立ちましょうよってことで。

  2. >RAさん
    コメントありがとうございます。
    RAさんの意見には私も概ね同意します。
    ただ、
    > SCもSSWもそれぞれ専門性があるわけですが,
    > 「家庭訪問する・しない」ってのは専門性云々じゃなくて,
    > その仕事に従事している人間の
    > 「おいらの仕事はこういうこと!」という
    > 一種の仕事観の問題なんじゃないか,と思うのです。
    私はその辺の「仕事観」も含めて「専門性」ってことだと思うのです。
    その職種なり、その人なりが出来ることは何か。それは他の職種なり他の人なりでもできることかもしれないけれど、「何ができて何ができないのかを明らかにすること」がつまり「専門性を明らかにすること」なのではないかと私は考えるのです。
    で、その辺も明らかになっていない中で(というかもう個々の臨床家の問題のような気もするし、一般化はできないような気もしますが)、SCを国家資格化という政治的な問題に絡めてくると、話がややこしくなるというか、下手すると反対派とか対抗勢力みたいな人たちにとって格好のツッコミどころになってしまうのではないかと。
    あんまりまとまってなくてすみません。

  3. ロテ様
    >> SCもSSWもそれぞれ専門性があるわけですが,
    >> 「家庭訪問する・しない」ってのは専門性云々じゃなくて,
    >> その仕事に従事している人間の
    >> 「おいらの仕事はこういうこと!」という
    >> 一種の仕事観の問題なんじゃないか,と思うのです。
    >
    >私はその辺の「仕事観」も含めて「専門性」ってことだと思うのです。
    その主張はわかります。そういう考えもあると思います。
    個々の臨床心理士の考えを尊重するのであればロテさんの通りだと思います。が,最大公約数というか,マクロなレベルで「臨床心理士の専門性」を考えた場合には専門性というよりも個々の臨床心理士が自分の職務をどうとらえているか,というレベルなのではないかと思う次第です。

  4. >RAさん
    コメントありがとうございます。
    臨床心理士資格保持者もソーシャルワーカー(社会福祉士や精神保健福祉士資格保持者)も既に職域が細分化しており、マクロなレベルでの専門性という話にまとめるのは難しいのかもしれないですよね。
    > 最大公約数というか,マクロなレベルで
    > 「臨床心理士の専門性」を考えた場合には
    > 専門性というよりも個々の臨床心理士が
    > 自分の職務をどうとらえているか,という
    > レベルなのではないかと思う次第です。
    とおっしゃるように、マクロなレベルでの専門性を考えると、結局個々の職業観、職務観にいきついてしまうという。
    むー。


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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