Home > 心理・精神医学本 > 【ようやく】馬場禮子著『精神分析的人格理論の基礎』【手に入れた】

【ようやく】馬場禮子著『精神分析的人格理論の基礎』【手に入れた】

先日の日本心理臨床学会の年次大会の際、書籍売り場はほんとにチラっとしかのぞけなかったんですが、やっぱりこの本売れてたみたいです。私の知り合いでも何人か買っていた人いましたし。
学会前から注目していただけに、やはり予想通りという感じのこの本。ようやく手に入れましたですよ。

精神分析的人格理論の基礎―心理療法を始める前に精神分析的人格理論の基礎―心理療法を始める前に
馬場 禮子

岩崎学術出版社 2008-07
売り上げランキング : 67964

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
当ブログ的ベストセラーのこちら
精神分析的心理療法の実践―クライエントに出会う前に精神分析的心理療法の実践―クライエントに出会う前に
馬場 礼子

岩崎学術出版社 1999-09
売り上げランキング : 32274
おすすめ平均
Amazonで詳しく見る
by G-Tools
これのシリーズに当たる本ですかね。
まだ全部読み込んだわけではありませんが、改めましてちょこっと感想など。


前作同様、大学院での講義が基になっているそうで。平易な語り口で、そして非常に理解しやすいところはやはり「さすが」といったところです(←我ながら偉そうな発言だなぁ)。
「はじめに」では

精神分析理論は、身についた、自分の実感で理解できるものでないと使いものになりません。私はこの理論を学習し始めた初期の頃から、常に自分に引きつけて考え、理解しようとしてきました。自分の体験として理解できない理論は、理解できるまで受け入れない、あらゆる工夫をして自分の生活体験や臨床体験に結びつける、ということを繰り返しながら、本書に記すような理解をして、理論を自分の言葉にしてきました。

とあります。
そうした言葉の通り、実感として理解できるというのはすごいと思います。特にまだ臨床実践の経験が浅い、あるいはまだ臨床経験が全くない人でも理解できるレベルまで概念を落とし込んでいるという点では凄みを感じます。
精神分析学の初学者なんかは「言葉遊び」というか、なんか(臨床実践に携わっていながら)臨床から離れて概念をもてあそんでいるだけ…なんて人がいなくもないような気がするわけなんですが、やはりそういう輩とは一線を画しております(なんて比較するのも失礼だったりしますが)。
広く浅く、そして自我心理学寄りの精神分析理論であることを理解しつつ読む分には非常に良い本だと思います。この本で知った概念を詳しく知りたいと思ったら、参考文献に挙げられているようなものを読んでいく…という使い方が適している本かと。

本書は、たくさんの用語の解説を中心に、“本を読むための基礎知識”をお伝えすることを目指しています。つまり、ごく初歩の、基本のキと言える知識です。

ってのはその辺を指しているわけですよね。そういう意味では、教える側の人にとっても「どのように教えるとより理解してもらえるのか」って辺りを考える上で良い本であると言えるでしょう。
・・・・・・・・・・
…で、ここから相当ぶっちゃけますよ。
前作『精神分析的心理療法の実践』が刊行されたのは1999年。都立大(現首都大)の大学院での講義を基に作成された本でした。当時、馬場氏に師事した方々というのは、現在結構なベテランになっている方々であり、しかもそれはある程度長い間腰を据えて、臨床家あるいは研究者養成をされていた中での講義内容だったわけなのですよね。
それに対してこちらの本は「はじめに」にもあるように

これまでに数ヵ所の大学院で講義しながら改訂してきた原稿を基に作成しました。

というものであり、実際、その後の馬場氏のキャリアを考えるとそれほど腰を据えて…ということができなかった時代なのではないかと思うわけです(実情は詳しくないので違ってたらご指摘くださいませ)。…と考えると、やはりそれなりの内容、ホントに「基本のキ」でしかないのですよね。
いや、基本はそれは大事なんですけどね。うん。すごく大事です。
ただ、ある程度キャリアのある方にとっては、若干物足りない内容であるかもしれません…私ですか?私みたいなボンヤリな感じで勉強してきてる人間にとってはちょうどいい感じです。
・・・・・・・・・・
ということで、初学者の皆様、経験はそれなりにあるけど改めて知識を整理してみたい方、精神分析学を初学者に教えるのにどう教えるのがわかりやすいか考えている方、れーこタソ大好きっ子さんな方などには激レコメンな一冊でございます。
興味のある方はどぞー。

そして1日1回クリックして、順位確認後戻ってきていただけると大変うれしゅうございます学問・科学ランキング

ランキング参加中!クリックお願いします→人気ブログランキングへ にほんブログ村 科学ブログ 人文・社会科学へ

コメント (Close):2

asad 08-09-20 (土) 14:02

 突然のコメント失礼致します。以前から時々,貴ブログを拝見しておりました。とてもUp-To-Dateな内容かつ専門家のご意見には,考えさせられるところが多く,とても勉強になります。
 さて,『精神分析的心理療法の実践―クライエントに出会う前に』は以前,本当に臨床を始めたばかりの頃買って,読みやすい割りに中身が濃くて買って「良かった!」と思った一冊でした。その続編?の『精神分析的人格理論の基礎―心理療法を始める前に』が出版されたことをロテさんのブログを拝見するまで知らなかったので,早速買ってみようかなと思っています。私の臨床現場では,精神分析とはちょっと違うタイプなのですが,前書は臨床すべてに通じる基本姿勢といった内容だったので,今回も期待大であります。
 情報と書評,参考になりました。ありがとうございます。

ロテ職人 08-09-22 (月) 20:05

>asadさん
コメントありがとうございます。
> Up-To-Dateな内容かつ専門家のご意見には,
> 考えさせられるところが多く,とても勉強になります。
Up-To-Dateな内容かどうかは微妙ですが、何か参考になれば幸いと思い拙い文章を書き続けている次第であります。
> 『精神分析的人格理論の基礎―心理療法を始める前に』
今回も内容は濃いと思いますよ。精神分析の大まかな概念整理にはかなり役立つかと思います。臨床実践にも繋がるでしょうし。
そんなわけでまた感想などいただけるとうれしいかもしれません。
あと、asadさんのブログ、左サイドバーのリンクリストに追加させていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。

Home > 心理・精神医学本 > 【ようやく】馬場禮子著『精神分析的人格理論の基礎』【手に入れた】

ブログ内検索
RSS 臨床心理学ニュース
2011年売れ筋ランキング
Amazon.co.jp 経由で購入可能です

第 1 位

精神科臨床における心理アセスメント入門

津川 律子

精神科臨床における心理アセスメント入門

昨年に引き続き第1位獲得。単なる所見の書き方とは一線を画したアセスメントがらみの本。精神科臨床に携わる人だけではなく、どんな分野においても言える内容が盛りだくさんな一冊かと。筆者の豊富な臨床実践に根ざした良書という感じ。

第 2 位

発達障害とパーソナリティ障害―新たなる邂逅 (現代のエスプリ no. 527)

石川 元 (編集)

やっぱり発達障害関連本は強い。こちらは特に精神病理学の観点から語られており、興味深いです。Amazon.co.jpではプレミア価格がついてしまっているのが残念。

第 3 位

日本版WAIS‐3の解釈事例と臨床研究

藤田 和弘 (編集), 大六 一志 (編集), 山中 克夫 (編集), 前川 久男 (編集)

WAISを使う全ての人に

第 4 位

心理学の「現在」がわかるブックガイド

越智啓太(著) 徳田英次(著) 荷方邦夫(著) 望月聡(著) 服部環(著・監修)

個人的には学部生、特に1・2年の時に読んでおいて欲しい本。この中から将来に繋がる分野が見つかったりすることもあるんじゃないかと思います。もちろん一般の方や大学院生にもお勧めです

第 5 位

面接法

熊倉 伸宏

面接法

面接法の基礎が書かれている本。精神科の研修医も必携の本だったりします。非常に基礎的かつ実践的な内容でお薦めです。

第 6 位

こころの治療薬ハンドブック 第7版

山口登 (編集), 酒井隆 (編集), 宮本聖也 (編集), 吉尾隆 (編集), 諸川由美代 (編集)

こころの治療薬ハンドブック 第7版

何度でも言いますが薬の知識は必要です。てか、学校臨床専門の人も必須だと思います。院生も実習の段階で持っていた方が良い本。

第 7 位

エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方

Elizabeth O. Lichtenberger

エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方

需要の高いアセスメントがらみの一冊。訳本ではありますが、所見の書き方の実例が載ってて参考になること間違いなし。

第 8 位

女子アナ・吏良の海上自衛隊メンタルヘルス奮闘記

山下 吏良

女子アナ・吏良の海上自衛隊メンタルヘルス奮闘記

少なくとも臨床心理職の職域が拡大されつつあり、それと同時にそれなりに認められつつあるのだろうなぁと思わされる一冊。未読なので感想は言えませんが、読んでみたいとは思っておりますです。

第 9 位

子どもの心と学校臨床(第2号)特集:学校の中の発達障害の子ども:クラスに発達障害のある子もいるというあたりまえの現実の中で

辻井 正次(著・編集)

昨年もお世話になりました、遠見書房さんの雑誌。小学生の子どもを持つ親として個人的にも読みたい一冊。

第 9 位

新・臨床心理士になるために[平成23年版]

(財)日本臨床心理士資格認定協会 (監修, 編集)

資格試験を受ける人には必須の一冊。来年度受験者用も出るかと思いますが早めに準備をしておきたいという方は是非どうぞ
ブログステータス


RSSリーダーで購読する

Google Readerへ追加

Subscribe with livedoor Reader
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 科学ブログ 人文・社会科学へ
にほんブログ村



あわせて読みたいブログパーツ
フィードメーター - ロテ職人の臨床心理学的Blog

スカウター : ロテ職人の臨床心理学的Blog



ケータイ閲覧用

Return to page top