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【ようやく】馬場禮子著『精神分析的人格理論の基礎』【手に入れた】

公開日: : 心理・精神医学本

先日の日本心理臨床学会の年次大会の際、書籍売り場はほんとにチラっとしかのぞけなかったんですが、やっぱりこの本売れてたみたいです。私の知り合いでも何人か買っていた人いましたし。
学会前から注目していただけに、やはり予想通りという感じのこの本。ようやく手に入れましたですよ。

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これのシリーズに当たる本ですかね。
まだ全部読み込んだわけではありませんが、改めましてちょこっと感想など。


前作同様、大学院での講義が基になっているそうで。平易な語り口で、そして非常に理解しやすいところはやはり「さすが」といったところです(←我ながら偉そうな発言だなぁ)。
「はじめに」では

精神分析理論は、身についた、自分の実感で理解できるものでないと使いものになりません。私はこの理論を学習し始めた初期の頃から、常に自分に引きつけて考え、理解しようとしてきました。自分の体験として理解できない理論は、理解できるまで受け入れない、あらゆる工夫をして自分の生活体験や臨床体験に結びつける、ということを繰り返しながら、本書に記すような理解をして、理論を自分の言葉にしてきました。

とあります。
そうした言葉の通り、実感として理解できるというのはすごいと思います。特にまだ臨床実践の経験が浅い、あるいはまだ臨床経験が全くない人でも理解できるレベルまで概念を落とし込んでいるという点では凄みを感じます。
精神分析学の初学者なんかは「言葉遊び」というか、なんか(臨床実践に携わっていながら)臨床から離れて概念をもてあそんでいるだけ…なんて人がいなくもないような気がするわけなんですが、やはりそういう輩とは一線を画しております(なんて比較するのも失礼だったりしますが)。
広く浅く、そして自我心理学寄りの精神分析理論であることを理解しつつ読む分には非常に良い本だと思います。この本で知った概念を詳しく知りたいと思ったら、参考文献に挙げられているようなものを読んでいく…という使い方が適している本かと。

本書は、たくさんの用語の解説を中心に、“本を読むための基礎知識”をお伝えすることを目指しています。つまり、ごく初歩の、基本のキと言える知識です。

ってのはその辺を指しているわけですよね。そういう意味では、教える側の人にとっても「どのように教えるとより理解してもらえるのか」って辺りを考える上で良い本であると言えるでしょう。
・・・・・・・・・・
…で、ここから相当ぶっちゃけますよ。
前作『精神分析的心理療法の実践』が刊行されたのは1999年。都立大(現首都大)の大学院での講義を基に作成された本でした。当時、馬場氏に師事した方々というのは、現在結構なベテランになっている方々であり、しかもそれはある程度長い間腰を据えて、臨床家あるいは研究者養成をされていた中での講義内容だったわけなのですよね。
それに対してこちらの本は「はじめに」にもあるように

これまでに数ヵ所の大学院で講義しながら改訂してきた原稿を基に作成しました。

というものであり、実際、その後の馬場氏のキャリアを考えるとそれほど腰を据えて…ということができなかった時代なのではないかと思うわけです(実情は詳しくないので違ってたらご指摘くださいませ)。…と考えると、やはりそれなりの内容、ホントに「基本のキ」でしかないのですよね。
いや、基本はそれは大事なんですけどね。うん。すごく大事です。
ただ、ある程度キャリアのある方にとっては、若干物足りない内容であるかもしれません…私ですか?私みたいなボンヤリな感じで勉強してきてる人間にとってはちょうどいい感じです。
・・・・・・・・・・
ということで、初学者の皆様、経験はそれなりにあるけど改めて知識を整理してみたい方、精神分析学を初学者に教えるのにどう教えるのがわかりやすいか考えている方、れーこタソ大好きっ子さんな方などには激レコメンな一冊でございます。
興味のある方はどぞー。

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コメント/トラックバック (2件)

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  1.  突然のコメント失礼致します。以前から時々,貴ブログを拝見しておりました。とてもUp-To-Dateな内容かつ専門家のご意見には,考えさせられるところが多く,とても勉強になります。
     さて,『精神分析的心理療法の実践―クライエントに出会う前に』は以前,本当に臨床を始めたばかりの頃買って,読みやすい割りに中身が濃くて買って「良かった!」と思った一冊でした。その続編?の『精神分析的人格理論の基礎―心理療法を始める前に』が出版されたことをロテさんのブログを拝見するまで知らなかったので,早速買ってみようかなと思っています。私の臨床現場では,精神分析とはちょっと違うタイプなのですが,前書は臨床すべてに通じる基本姿勢といった内容だったので,今回も期待大であります。
     情報と書評,参考になりました。ありがとうございます。

  2. >asadさん
    コメントありがとうございます。
    > Up-To-Dateな内容かつ専門家のご意見には,
    > 考えさせられるところが多く,とても勉強になります。
    Up-To-Dateな内容かどうかは微妙ですが、何か参考になれば幸いと思い拙い文章を書き続けている次第であります。
    > 『精神分析的人格理論の基礎―心理療法を始める前に』
    今回も内容は濃いと思いますよ。精神分析の大まかな概念整理にはかなり役立つかと思います。臨床実践にも繋がるでしょうし。
    そんなわけでまた感想などいただけるとうれしいかもしれません。
    あと、asadさんのブログ、左サイドバーのリンクリストに追加させていただきました。
    今後ともよろしくお願いいたします。


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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