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【ちょっと気になる】大野裕著『認知療法の技法と実践―精神療法の接点を探って』【この一冊】

まだ買ってませんが、ちょっと気になっている本がこちら。

認知療法の技法と実践―精神療法の接点を探って認知療法の技法と実践―精神療法の接点を探って
大野 裕

金剛出版 2008-11
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著者は,今や効果的な心理療法として専門職の関心を集める認知療法・認知行動療法をわが国に導入したパイオニアの一人であり,CBTについての30年に及ぶ臨床経験を持つ。



本書は,精神分析的治療から統合的治療の中における認知療法へと到達した著者の精神療法経験を集大成したものである。第I部で,認知療法・認知行動療法の理論的基礎を解説し,第II部では,うつ病,パニック,強迫性障害,パーソナリティ障害,社会不安障害,身体表現性障害,対象喪失への臨床的応用の実際について述べている。



科学的根拠に基づく精神療法を学ぶことの必要性を理解し,クライエントとの安定した治療関係を形成するための精神療法技法を身につける優れた臨床書と言えよう。



論文集です。
心理職というよりは、どちらかというと精神科医向けかもしれません。それも若い研修医向け…というか前書きにそういう意図が書かれてたような気がします。
んで個人的に興味深いのは、やはり精神分析への言及ですね。上記の著者紹介にもあるように、大野氏と言えば今や我が国における認知療法のパイオニア的存在ではありますが、慶応で小此木敬吾氏の指導を受けた経験もあり、元々は分析寄りの人なのですよね。
その辺のことは出版社のページでも一部読むことができるあとがきにも書かれております。
ちょこっと引用。

そう言われてみると,たしかに認知療法のアプローチは精神分析に似ている。最初にフィッシュマン先生のスーパービジョンを受けて認知療法を始めた時の私の印象は,日本でそれまでしていた精神分析とほとんど違わないというものだった。日本では,週1回対面法で精神分析をしていたが,そのような治療形態で無意識の欲動を扱うことはきわめて難しい。従って,どうしても前意識を扱うことになり,認知療法で自動思考を話題にするのと基本的には変わらない。



そもそも,本書に収録した論文「精神療法の接点を探って―精神分析の臨床的発展―」で論じたように,フロイドの治療論は柔軟であり,多面的である。精神分析はもちろんのこと,認知療法や行動療法,対人関係療法など,治療効果があるというエビデンスを出している精神療法の基本的な治療概念は,すでにフロイトの治療論の中に含まれていたのである。



そうしたフロイトの治療論の柔軟性と発展性を私が教わったのが,小此木啓吾先生だった。小此木先生からは,私が医学部を卒業したばかりの研修医1年目のときからアメリカに留学するまで,ずっと精神分析のスーパービジョンを受けていた。逐語的に書いた面接ノートをいつも持ち歩いて時間がある時に見返すと新しい発見があるということなど,小此木先生から教わった臨床の知恵は数限りない。

原理主義的な行動論者の方からするととんでもない話かもしれませんが(というか、そもそもそういう人はCBTですら認めないのかもしれませんが)、ワタクシ的にはこの辺の感覚は非常にすんなりと入ってくる部分がありますですよ。
てなわけで、第I部「精神分析から認知療法へ」は、大野氏が分析的立場から次第に認知行動療法・認知療法へと傾倒(というほどずっぽりというわけでもないのかもですが)していく過程が見てとれるかもしれません。
精神分析的心理療法を中心に心理臨床実践に携わっている人であっても、現実的にはそれのみで乗り切るのはなかなか難しいのではないかと思います。ただ、必要に応じて様々な技法を使っていく中で、それまで中心として使っていた技法に関して無駄になるってことはないんじゃないかとも思うのですよね。
そんなわけで、認知行動療法・認知療法へのとっかかりとしては非常に面白げな本なのでないかと。あと実践的な内容が多いので、病院臨床に携わっている方には全般的にお勧めでございます。

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