【感想】『エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方』その2【書くよ】

公開日: : 心理・精神医学本

昨日のエントリ、【ようやく】『エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方』【読んだ】の続き。今度はちゃんと感想までたどり着く…予定。
この本です。

エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方 エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方
Elizabeth O. Lichtenberger Alan S. Kaufman Nadeen L. Kaufman

日本文化科学社 2008-10
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あ、ちなみにこの本、基本的にはかなりお勧めです。特にこれから学外実習に行く予定のある大学院生、実際に実習行ってる院生、そして就職を控えた人たち、仕事には就いてるけどまだまだこれからな感じの人たちに特にお勧め。理由は後述。
それなりにキャリアはあるけど、自分の書いてるレポートに対してあんまりしっくり来てない人なんかもどぞー。


さて、こんだけお勧めするからにはワタクシ的にはかなり良い本だと思います。
何が良いって、「第2章 レポートを書く技術」のところで心理アセスメントレポート用の文章の書き方から説明してるのが非常に良いです。元々米国で出た本なので、当然原文は英語であり、そういう意味で「時制(現在形とか過去形)」みたいなところから書くのは必然的なのだとは思いますが、日本語で書く場合にこそこういう辺りは気をつけるべきだよなあと思ったりもします。
そして「第4章 行動観察」ではそのタイトル通り、丸々行動観察の重要性について論じているのがまたグッジョブ。当たり前っちゃあ当たり前のことではあり分かってる人には「何をいまさら」な話かもしれませんが、巷の心理アセスメントレポートを見てるとやたらと数値データに引きずられて、肝心の被検者=患者・クライエント本人が見えてないってケースが結構あったりするのです。
そんな感じで大変グッジョブ。
んで、元々これは教科書的な本なので本文中に「早見表」とか「忘れないこと!」とか「注意!」みたいな感じで要点がまとめられており、章の最後に「理解度チェック」という小テストみたいなのがついてる辺りも丁寧です。
…って、これと同じ形式の本読んだことあるよなー…と思って考えてみたら、これですた。

基本からのロールシャッハ法 基本からのロールシャッハ法
タラ ローズ マイケル・P. マロニー ナンシー・ケイザー・ボイド

金子書房 2005-10
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元々“Essentials of Psychological Assessment”という同じシリーズのものみたいです。日本語版の出版社は違うんで気づかなかった。
まあ、そんな感じで教科書的な本なので使い勝手もよいです。
という感じで、さらっと「出版社は違うんで」みたいなことを言いましたが、この本、何で日本文化科学社から出てんのかなって辺り、実は気になっていたです。もちろん書籍も出している会社ではありますが、検査用具を売ってる会社ってイメージが強かったので。
んで、出てる書籍ってのも特別支援教育だったり、発達障害がらみのものが多い…あー、だから監訳が上野氏なのですね。
というわけで、ピュアリーさんがおっしゃっているこの辺

ただ、本書で取り上げられている心理検査は、子どもの知能検査や発達検査に限定されており、人格検査などについてはほとんど触れられていないのが少し物足りないところかもしれない。

これに関しては「まあ、元々そういうコンセプトの本なんだから仕方ないじゃん」って感じでございますよ。
ただ、その辺りの内容に関しては、確かに知能検査・発達検査に焦点を絞って書かれておりますが、人格検査(投影法を含む…「投影」とか言っちゃうとまた物議をかもしそうなのでその辺はスルー推奨)なんかも原則は一緒なのだと思いますですよ。
本書の「第1章 はじめに」ではこのように書かれておりますよ。

あらゆるアセスメントレポートの最大の共通点はその内容にある。つまり、書き手は受検者と、その人が抱える問題に最も注目しなくてはならない。そして、どのレポートも受検者の予後を改善する助けとなることを一番の目的としている。また、全てのレポートのもう1つの大きな共通点はそのスタイルにある。レポートはいくつかの項目に分かれているが、それでいて全体としてはまとまっていなくてはならない。

(p.5-6)
そう。どの分野でも、どんな種類のアセスメント手法を用いていたとしてもそうなのですよね。
さらに、それに関連して、ピュアリーさんの書かれているこちら。

日本では使われていない心理検査などが取り上げられているので、結果やレポートのところどころで分からないところもあった。

わかんなかったですか?取り上げられている中では私も知らない検査がいくつかありましたが、少なくともレポートに関してはそれなりにわかったつもりなんですけどね
…というか、レポートは心理や教育の専門家のみが読むわけではなく、保護者や学校の教師などが読む可能性も考慮されているものなのですよね。で、その辺を考慮して書かれているということは、どんな検査なのかを知らなくともそのレポートで言っていることはわかる…という形になってないと困るはずだと思うのです。
もしピュアリーさんがそのレポートで言いたいことがわからなかったというのであれば、それはレポートとしては良くない見本でしょうし、レポートを読んでそれで伝えたいことがわかったのならば、個々の検査に関して詳しくわからないって辺りはそんなに問題にならないんじゃないですか?別に「テストに出るから覚えておかなきゃいけない」って類のものでもないと思うのですが…どうでしょ?
・・・・・・・・・・
てな感じで、また長くなったのでもう一回続き書きます。ワタクシ的にブログであんまり長文読みたい感じではないですし。
もう一、二点ほどのピュアリーさんへのツッコミも含めてデスね。多分明日書くのでよろしく。明日アップされなかったら「あー、忙しいんだな」とでも思ってやってくださいませ。
※17:30訂正
× 上里氏
○ 上野氏
でした
この本とか

軽度発達障害の心理アセスメント―WISC‐3の上手な利用と事例 軽度発達障害の心理アセスメント―WISC‐3の上手な利用と事例
上野 一彦 服部 美佳子 海津 亜希子

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この本とか

WISC‐3アセスメント事例集―理論と実際 WISC‐3アセスメント事例集―理論と実際
藤田 和弘

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書いてる人です。
失礼いたしました。

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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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