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臨床心理士の年収についてざっくりと色々考えてみるよ

本日、手元に日本臨床心理士会雑誌第17巻4号が届きまして。その中に「第5回『臨床心理士の動向ならびに意識調査』報告書」というものが同封されておりました。
「1.はじめに」より抜粋引用。

 日本臨床心理士会は、会に所属する臨床心理士の実態・意識を把握することを目的として、3 年に 1 度、「臨床心理士の動向ならびに意識調査」を行っている。2007年度には第 5 回目の調査が行われた。

臨床心理士会という職能団体の実態・意識を定期的に把握することは、



 1 臨床心理士の活動について、社会的な説明責任を果たす

 2 臨床心理士が社会的に認知されるためのデータを提供する

 3 臨床心理士会という職能団体の、今後のあり方を検討する



ために、必要不可欠である。

 本書では、第5回調査の結果について報告する。

てなわけで、色んな興味深いデータ満載であり、心理士ブロガー的にはネタの宝庫だったりします。
今回は特に「年収」にスポットを当てて、ざっくり色んなことを考えてみたいと思いますので要チェケラです。
あ、こういう形での引用は多分問題ないと思いますが、何か問題ありましたらご指摘ください>皆様
さてさて…

 調査対象は、2007年 7 月 1 日の時点で日本臨床心理士会に会員登録していた臨床心理士14,661人であった。なお、当該年月の臨床心理士数は 15,938 人(日本臨床心理士資格認定協会よりデータ提供)であり、日本臨床心理士会の組織率は 92.0%であった。

 2007 年 10 月末までに、発送した 14,661 人中 10,157 人から調査票が回収された。回収率は 69.3%であった。

途中割愛。

(3) 就業形態



1 現在の就業形態



「常勤」には休職中を含む。

また、「勤務していない」には退職を含む。



 常勤勤務者の率は、常勤のみが 31.8%、常勤+非常勤が 15.8%の計 47.5%であった。非常勤のみは 46.1%で、常勤勤務者と非常勤勤務者はほぼ同数であった。

掲載されていた円グラフをざっくり再現?してみました。
kinmukeitai07.jpg
これに関しての考察が

前回調査時とほぼ同様の傾向であったが、「非常勤のみ」はわずかに上昇、「現在は勤務していない」もやや上昇した。これらの結果は、若年会員の増加と、20-30 歳代女性会員の出産・育児、前回調査時から 3 年の経過によって会員年齢の最大値が上がったことなどが関連していると考えられる。

とのことですが…どうなんすかね?それだけで済む数値なのでしょうか?
「単純に全体の雇用状況が悪化した」みたいな考察も…できるんじゃないかと思ったりするわけですが…。
あと、「出産・育児」にも触れられておりますが、「常勤」には休職中も含むそうで…出産・育児休暇を取ってる人はどんくらいいるんでしょうかね?非常勤のみの女性が出産・育児休暇に入るってことは、つまり「現在は勤務していない」に入るんでしょうけれども、その辺の割合も知りたいところです。
・・・・・・・・・・
そしてここからが本題(ようやく)。

2 年収



開業の場合の必要経費は除く。



 2007年度の見込み年収(税込み)は、300万円台が 19.8%と最も多く、続いて 200 万円台 17.0% 、400万円台 14.1%と、この3段階で回答者の約半数を占めた。

ってことで、こんな円グラフ。
income2007.JPG
さらにわかりやすくするために、無回答の人は省いてみますかね。10,157人中、前項目で「現在は勤務していない」が630人、「無回答」が20人。合計すると650人。年収の項目での無回答が10,157人中686人で、まあ36人くらいは誤差ってこって。
こんな感じ。
income2007R.JPG
これに対する考察が

前回調査時とほぼ同様の傾向であったが、全体的にわずかに所得が低い方にシフトした。これは、非常勤の若年会員の増加が影響していると考えられる。

だそうで。
えーと…全体的にみて単純に「臨床心理士の年収は減っている」みたいな考察は成り立たないんでしょうか?
…っても、このデータだけじゃわからんですよね。就業形態×年収とか年代×年収とかのクロス集計があればもう少し色々分かると思うんですが、なぜかそれがないのですよ
なんで?
この後「主たる勤務機関の月収」とか「主たる勤務機関の時間給」なんて項目はあって、「主たる勤務領域別・性別に見た月収」「主たる勤務領域別・性別に見た時間給」「主たる勤務領域別・年齢階級別に見た月収」「主たる勤務領域別・年齢階級別に見た時間給」なんて項目はあるんですが、「性別×年収」「年齢階級×年収」のクロス集計はないんです
なんで?
・・・・・・・・・・
質問項目を増やすと回収率が下がる可能性があるので、色々難しいんだと思うんですが、年収に関するクロス集計は既にデータがあるんだから出すのは簡単ですよね?
臨床心理士の経済状況が「いかに厳しいのか」あるいは「意外に厳しくないのか」、年収が一番わかりやすい指標でしょう。
「1. はじめに」には

実際、これまで得られたデータから、資格問題の検討等で必要とされるデータが提供され、会員個々人が職場での雇用条件を交渉する際の参考資料が得られ、臨床心理士会が行う新しい活動が誕生してきた。

とありますが、偉い人は「雇用条件を交渉する際の参考資料」は「主たる勤務機関の月収」「主たる勤務機関の時間給」で十分だとお考えなのでしょうか?
「主たる勤務機関の時間給」については

給与形態が時間給であるのは 4,561 人( 44.9%)、うち、1,000 円以上 2,000円未満の13.6%(時間給者の 30.3%)と 5,000 円以上 6,000 円未満 12.3%(時間給者の 27.3%)の率が高い 2峰性の分布となった。

2峰性の分布となったのは、回答者の 12.3% が主たる勤務機関として挙げた「自治体派遣(スクールカウンセラーなど)」の時給が 5,000円台であることを反映していると考えられる。

だそうで。
まあ「時給5,000円」ったら、普通のバイトを考えれば破格ですわな。この金額は「雇用条件を交渉する際の参考資料」としてはあんま役に立たんと思うんですがね。
ちなみに「自治体派遣(スクールカウンセラーなど)」が主たる勤務機関なのって、全体の 12.3%なんですね。1,246人ですよ。
思ったより人数少ないんだなあ。
足並みそろえて要望出すには少ないんじゃないかなあ。
この辺の方々は色々動こうとしているみたいですが…
国会議員の事務所に行く著作・学術・教育・臨床活動とそれ以外
行政による委嘱契約という名の心理士の使い捨て雇用を改善しよう(1)─労働組合に行って来たさいころじすと日記
「どの辺のデータを元に」「どういう形で」「団体交渉を」進めていかれるのでしょうか?とりあえず個別の事例だけじゃ弱いですよね。
行政に働きかけるとしても、多分「もっと困っている人はいる」「先に援助されるべき人はいる」って話になりそうな気がしないでもない今日この頃ですよ。その辺を説得するために、どう論理展開されるのか非常に興味深いとこrです。
個人的には応援してるんですけどね。
・・・・・・・・・・
とりあえず年収に関するクロス集計のデータでも出てこないと、ちょっとこれ以上のことは何も言えないでございますよ。
皆さんのご意見はいかがでしょ?

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