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日本心理臨床学会の倫理綱領とか倫理基準とかから査定技法に関して考えてみる

公開日: : 臨床心理学

心理検査(査定)とか受けたことない人が、興味本位で心理検査受けたり、あるいは心理検査に関する情報を集めたところであんまり良いことないですよ…「あんまり」てか「全く」いいことないと思いますよ
大事なことなので最初に言ってみた。
これ、まだ心理検査を受けたことがないクライエントに関してもそうだし、学生に関しても当てはまると思います。
本格的に勉強する、あるいは必要があって検査を受ける前に中途半端な知識(解釈とかあるいは検査に用いられる刺激素材)を得たところで、そうした知識は初めて検査を受ける際に正しい解釈を阻害する要因にしかならないです。
大事なことなので最初に言ってみた。
ということで、ここから本題。


最近、日本心理臨床学会が一般社団法人化したというか、正確には2009年4月1日に法務局に「一般社団法人 日本心理臨床学会」の設立登記を行い、日本心理臨床学会を基盤とした「一般社団法人 日本心理臨床学会」という団体が設立したとのこと…
…あれ?心理臨床学会のウェブサイトにはその旨は記述されていないのですが、ひょっとしてこれは部外秘の情報だったりするのでしょうか?
まあいいや。何か問題がありましたらご指摘ください。
で、それに伴ってその「ご報告」のお手紙が届きまして、ついでに関連資料として「一般社団法人 日本心理臨床学会 規定集」が同封されておりました。
これに関しては、最近改訂バージョンがネットでも閲覧可能です。
日本心理臨床学会 > 日本心理臨床学会について > 会則
この会則の「倫理綱領」より

(査定技法)



(中略)


2 会員は、査定技法の開発、出版又は利用に際し、その用具や説明書等をみだりに頒布することを慎まなければならない。また、心理検査や査定に関する不適切な出版物や情報によって、査定技法やその結果が誤用・悪用されることがないよう注意しなければならない。

同じく会員のための倫理基準より(ちなみにページタイトルが「日本心理臨床学会倫理綱領」になっているので、titleタグの修正をした方がいいと思います>担当者様)

(査定技法)



(中略)


4 会員は、臨床査定に用いられる心理検査の普及又は出版に際しては、その検査を適切に活用できるための基礎並びに専門的知識及び技能を有しない者が入手、又は実施することのないよう、その頒布の方法については十分に慎重でなければならない。(第7条第3項参照)

(公 開)



(中略)


3 会員は、心理学の一般的知識を教授するために使われる入門レベルの教科書若しくは解説書又は一般図書等において、心理検査に用いられる刺激素材の複製又はその一部をそのまま提示し、又は回答・反応に関する示唆に類するものを公開して、現存する心理学的査定技法の価値を損じないよう注意しなければなら
ない。(第3条第4項参照)

最初引用がやたらと長かったので結構削っちゃいました。わけわからない感じになってたらごめん>皆様
できれば(中略)が入らない引用元をまず読んでください。
さて、この「みだりに頒布」とか「不適切な出版物や情報」とか「誤用・悪用」とか「十分に慎重でなければならない」とか「価値を損じないよう注意」とかって具体的にどんなことを言うのでしょうかね?
…とか、わざとらしく疑問形にしてみましたが、とりあえず自分の中での回答は出てます。というかネット上での公開等に関してはまあほとんどアウトってことでいいんじゃないかと思います。
「じゃあ、専門書ならいいのか?」ってことになると、それはいいんじゃないでしょうか…というか仕方ないんじゃないでしょうか。
「(公開)」のところに書かれている

心理学の一般的知識を教授するために使われる入門レベルの教科書若しくは解説書又は一般図書等

での公開はまずいわけですよね。
結局、問題になるのは「アクセスの容易さ」ってことなんじゃないかと思うです。
「アクセスの容易さ」は
ネット > 一般図書 > 入門レベルの教科書 > 専門書
みたいな感じですね。
情報の公開によって「現存する心理学的査定技法の価値を損じる」可能性が考えられるって前提があって、んでもって専門書はある程度仕方がないけど、アクセスしやすいものに関しては安易な情報公開は慎まなければならない、と。
もちろん、興味がある人は自分で色々調べちゃうと思うんですが、そういうケースでもその行為がプラスにならない(可能性が高い)のだということは知らせていく必要があるかと思います。一般の人に対しても。そして情報の公開によって心理学的査定技法の価値が損じる可能性に関しては、専門家による学術的な検討が重ねられる必要があるとも思います。
とりあえず、少なくともその「可能性」がある程度否定されないうちは簡単に情報公開するべきではないと思うわけです。
そういう意味で、学部生に対して心理査定技法に関する詳しい解説をするのは正直いかがなものかと思うし、大学院入試でその辺の細かい問題を出すのもどうかなと個人的には思うのですがねえ。その辺はどうざんしょ?>皆様
一応今のところのワタクシの考えとしてはこんな感じです。将来的には色々変わってくる可能性はありますが…多分そんなに大きくは変わらないと思います。
ご意見ありましたらどーぞです。
関連エントリ
学会の公式見解を読んで思ったこと(06/07/24)

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2009/05/07 | 臨床心理学

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コメント/トラックバック (1件)

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  1. ※ロテ職人注
    rhox2001さんからメールフォームにてコメントいただきましたので、ロテ職人が代理投稿しております。
    ・・・・・・・・・・コメントここから・・・・・・・・・・
    心理検査を学部生のうちに教えるということについては,自分も多少懐疑的ではあります.ただ講義にそれが組み込まれていたり,卒論で検査が用いられていたりするのをみると,それほど深刻ではないという印象を受けます.そんな流れの中にあって,自分もいくらか楽観視しているところがあります.
    心理検査を学部生に教える・経験させるという場合に問題となるのは以下のような点でしょうか.
    (1)学部生の段階で教えることで,将来専門家にはならない人にまで検査内容が伝わり,そこから検査内容が漏れていく恐れがある.
    (2)教えられると言っても,検査内容は学部生に対し本格的にはなされないため,中途半端な知識が出来上がる.それが他者に歪んだ形で伝えられたり,心理検査に対し何らかの態度を築かせてしまう恐れがある.
    (3)心理検査を経験した(教わった)学部生自身が,将来心療内科などで査定を受ける際に,本来得られるべき検査結果が得られない恐れがある.
    (4)学部生が心理検査を経験するとして,もし講義の一環として行われる場合には,施行はほぼ強制となるが,非構造的な心理検査を用いることには危険があるのではないか.
    (5)心理検査を経験したとして,それに適切なフィードバックが付随せずやりっぱなしになる場合には,学生にとって負担になるのではないか.
    思いつくのはこのぐらいですが,実際,どのぐらい影響があるのでしょう.わりとその辺は楽観視されている現状を踏まえると,「確かに悪影響がある」という結果が示されないと,変わらないかもしれません.
    でもそれを示すのは,なかなか難しい気がします…むしろ,何も知らない状態で検査を受けることの良い影響を示す方がやりやすい気はします.相対的に良いというかたち.
    ・・・・・・・・・・コメントここまで・・・・・・・・・・


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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