●裁判員制度とか守秘義務とか
先日、同僚医師と何かの雑談の流れで裁判員制度の話をしまして。んで結論として、「裁判員制度ってケースカンファレンスに素人が参加するようなもんだよね」ってことになりました。
まあそうですわな。
裁判員制度の主たる目的ってのは「一般の市民の感覚を裁判に反映させること」だそうですが(裁判員制度について - 検察庁)、本来司法のプロによってなされる判断に、なぜ一般の市民の感覚を反映させる必要があるのかわかりません。イミフです。
プロによってなされるはずの医療における判断に、一般市民の感覚を反映させるなんてあり得ないですよね。それと同じ感じで。
そんなこんなで、裁判員制度に反対する人は多分少なからずいるかと思うのですが、そんな中こんなブログ記事が。
ちょっと引用してみますよ。
21日から始まる判員制度では、その裁判員は、その事件の当事者とは無関係でなくてはならない。
「無関係でなくてはならないがために、当然、その事件の当事者が誰であるか知らなくてはならない」というために、この選任手続きにおいて、性暴力事件被害者の氏名が裁判員候補者に開示されてしまうことが明らかになったのだ。
しかも、裁判員に守秘義務はあるが、候補者に守秘義務はない。
すでに裁判を控えている、被害者女性たちはパニックに陥っているという。
あたりまえだ。
それに、こんなことが明らかになれば、レイプ被害を訴えることなどできなくなってしまうだろう。いったい、どんな国だ。
これはひどい。
…てか、やっぱりここでひっかかるのは「守秘義務」の問題。
関連してこんな記事も発見。
【裁判員制度 直前講習】あと2日 「守秘義務」ってなに?(MSN産経ニュース)
裁判員の守秘義務違反の罰則などについては当該記事を読んでいただけたらと思いますが、問題は守秘義務の範囲。
裁判員が話せるのは公開で行われる法廷での審理についてや、裁判の感想などまで。関係者のプライバシー保護や裁判の公正さの確保、裁判員等の保護などが理由です。
審理の内容については話せるの?確かに審理は公開されているので、話すこと自体は問題ない…んですよね。
法務省のページにも記載があった。
例えば,公判審理で行われた証人尋問は,普通は,誰でも傍聴できる公開の法廷で行われますので「秘密」ではありません。ですから,こうした内容については,たとえ,他人に話したとしても,守秘義務違反には当たりません。
また,評議の秘密や他人のプライバシーなどを漏らさないように注意してもらえれば,裁判員の職務や実際の裁判制度についての感想を述べることも自由にできるのです。
どうなんすか、これは?
審理の内容は公開されているとは言え、例えば個人がブログなんかでそれこそ面白おかしく書いた場合、これまでと比較して、圧倒的にその情報にアクセスしやすくなる…ってのは問題なんじゃないですかね?
例え個人情報がふせられていたとしても、自分が当事者として関わっている裁判の記録が、公的な書類以外で公表されるってのは単純に嫌じゃないですか?
・・・・・・・・・・
それに加え、これくらいのゆるいー感じの「守秘義務」を、元々素人である裁判員経験者がどの程度守れるもんなんでしょ?
これは心理職も含む話ではありますが、守秘義務を負った専門職であるはずの医療従事者が、個人情報をふせているとは言え(っても、この辺すら限りなくアウトに近い人達もいたりします)、自分のブログで「今日、こんな患者がいたお」とか書いちゃってるわけじゃないですか。
明後日21日から裁判員制度開始です。実際始まったら、どうなるんでしょう?特にネット界隈の動きには注目です。
個人的には、「犯罪自慢」のメッカであるところのmixiなんかは要チェックや!って感じがします。
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コメント
ちょっと話題はずれますが、裁判員制度によって精神鑑定の資料も簡略化され、裁判員にも分かりやすいものになります。
これって鑑定にかかわる臨床心理士にも無縁なことではなくて、心神喪失、あるいは心神耗弱かどうかの難しい判断を迫られるようなケースでさえも簡略化されることで非常に簡単なストーリーに当てはめられてしまう可能性があります。
特に重大犯罪における心神喪失・心神耗弱については市民感情として理解しにくいのは必死で、今後の精神鑑定についても考えなくてはいけない事態になるのではないかなと思います。
Posted by: ダノン | 2009年05月20日 07:15