事例検討なんかで資料回収必須なのはどうなの?

公開日: : 臨床心理学

昨日は日本心理臨床学会第28回大会(春季大会)だったのですよね。
日本心理臨床学会【大会案内】
ワタクシは所用で今回の参加は見送ったわけなのですが、参加された方はいかがでしたでしょうか?
っても今回はほとんどワークショップのみ(社団法人化記念式典もあったみたいですが)であり、「それって単に学会主催のワークショップってだけじゃね?」と思ったり思わなかったり。
で、それに関連してタイトルそのまんま。この手の大規模ワークショップでもそうですし、こじんまりとした事例検討会でもそうだったりすることが多かったりしますが、資料が回収必須ってのはどうなんでしょう?


いや、もちろんクライエントの個人情報満載の資料が外部に出てしまうのは当然大問題ですよ。でも、基本的に皆さん守秘義務を負っている人であり、資料の取り扱いに関してはちゃんと教育を受けているはずじゃないですか。わざわざナンバリングした上で資料回収しなくとも「厳重保管」でいいんじゃないですか?
「いやいや万が一ってこともあるし…」「人間には絶対はないわけだし…」みたいな意見が出てくるのもわからないでもないのですが、そもそも守秘義務を破って資料流出させてしまうってとんでもないことじゃないですか?法的に罰せられてもおかしくないくらいの話であり、あってはならないことですよね。
資料は厳重保管。流出させてしまった場合に、させた本人に対する罰則を規定しておく。厳重保管の自信のない人は返却でもオッケー…って感じじゃダメなのかな?
…ってここまで書いておいて何なんですが、多分ダメなんだろうなあ。少なくとも心理臨床学会に関しては。
これは学会批判ではないです。会員の一部に対する批判なんですが、前に書いたように学会会場周辺のゴミ箱に論文集が捨てられるようなことがなくならない限り、「厳重保管でオッケー」みたいなことにはならんのでしょうなあ。
臨床系の学会の発表論文集を無造作に捨てちゃう人(07/10/12)
それと同時に、資料は回収つってんのに持ってっちゃう人ってのも何なのでしょう?いや、私は遭遇したことがないのですが、そういう人いるらしいんですよ。そういう人って他人の話聞けないの?それとも理解する能力がないの?
もし信念があって資料持っていくっていうなら、その旨を発表者なり主催者なりに伝えりゃいいじゃないですか。それをしないで黙って持っていくのは、ぶっちゃけ泥棒でしょ?私も「心理臨床家は優れた人格の持ち主であるべき」なんてことは言いませんが、それ以前の問題じゃないですか。
…なんてこと「資料は回収でーす」って言われる度に思う私がおかしいのでしょうか?前々から気になっていて書こう書こうと思っていたネタなんですが、ようやく書けた。
ご意見ある方はプリーズ。お返事は遅くなる可能性大ですが。

そして順位確認後戻ってきていただけるとマジうれしっす学問・科学ランキング

2009/06/01 | 臨床心理学

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コメント/トラックバック (9件)

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  1. 資料を持ち帰ると、例えば欠席した専門家仲間との勉強会の資料に化けるかもしれません。
    一人で読み込むネタになるかもしれません。
    守秘義務が守れるメンバーだったとしても、
    一人一人の今後の臨床に役立ったとしても
    事例提供を承諾してくださったご本人の利益にはつながりません。
    出版物に載せて良いという許可ならともかく
    相談の情報を外に出すのは、ご本人の利益になりうる場合に限るものと思います。
    検討会において資料が配布されるのは、ご本人の利益になり得ますが
    (継続中なら今後の面接の質向上、終了ケースなら担当者への感謝の気持ちの表現など)
    お持ち帰りいただいてもご本人に何のメリットもない以上、
    お持ちいただく理由がありません。
    私は回収が特殊な事態なのではなく
    お持ちいただくのが特殊な事態と考えます。
    もちろん発表者と相談者だけのための検討会ではありませんが
    その検討会から得たものは各自メモを取れば良いことです。
    そして得たヒントは、すでにそのケース独自の事情からは離れたものになっていると思います。
    であれば、参加者にしてもわざわざ持ち帰る理由もないでしょう。
    こういったことから、配られた資料については「記憶は残っても記録は残さない」のが良いと思っておりますがいかがでしょう。
    私は回収といいつつ番号をふって管理するなどしない場合が多い方にモヤモヤしてます。
    持ち帰る人いてもわからなさそう。

  2. >千尋さん
    コメントありがとうございます。
    一瞬、大きく頷きつつ納得しかけたのですが…
    > 一人一人の今後の臨床に役立ったとしても
    > 事例提供を承諾してくださったご本人の利益には
    > つながりません。
    患者・クライエント本人の利益に繋がるか否かというのは非常に大事な視点…というか、それが第一だとは思います。
    ただ、終結したケースを扱ったワークショップ、事例検討なんかもあるわけで、少なくともその場合は患者・クライエント本人の利益にはならないですよね。
    > 資料を持ち帰ると、例えば欠席した専門家仲間との
    > 勉強会の資料に化けるかもしれません。
    この辺りは資料を持ち帰った専門家の倫理観の問題になってくるかと思います。「厳重保管」というころであれば、同業者であっても簡単に見せるべきではないと(とりあえず今のところは)思います。
    …とここまで書いたところで、千尋さんが終結ケースについても書かれていたことにようやく気づきました(ちゃんと読めという話ですね)。
    > 検討会において資料が配布されるのは、
    > ご本人の利益になり得ますが
    > (継続中なら今後の面接の質向上、
    > 終了ケースなら担当者への感謝の気持ちの表現など)
    …そうか。感謝の気持ちの表現…。うーん。でも回収しないこと=感謝の気持ちが損なわれるわけでもないですよね。もちろん、患者・クライエント本人の了承を得た上でのこととなりますが。
    > 私は回収が特殊な事態なのではなく
    > お持ちいただくのが特殊な事態と考えます。
    私はどちらも「特殊な事態」とは思ってないです。単に参加者全員が守秘義務を守るという基本的なことが出来ていさえすれば、資料の回収も必要なくなるのではないかと思っただけで。
    私の立場は「患者・クライエントが不利益を被らないのであればそれで良し(その上で参加者全員の利益が増すのであればなお良し)」、千尋さんの立場は「患者・クライエントの利益に繋がらないことはすべきではない」であるということが意見の相違に繋がっているということでいいでしょうか。
    ちなみに私は最近はメモを取ることよりも、むしろ聴くことの方に集中しているような感じです。そんなわけで個人的には資料を持ち帰ることに必然性は感じていません。
    ただ、すごく上手にケースをまとめてある場合には参考にしたいと思うことはあるかもしれません(そしてそういうケースというのは大体「いい」ケースだったりもするように思います)。

  3. > お持ち帰りいただいてもご本人に何のメリットもない以上、お持ちいただく理由がありません。
    はぁ?同様の問題を抱えている他の人々への利益になるってことは考えないんでしょうか?
    こうした意見が出てくるのは、日本の臨床心理学が科学でなく、「お話」に過ぎないってことを示していますね。

  4. >はぁ?同様の問題を抱えている他の人々への利益になるってことは考えないんでしょうか?
    横レス失礼します。
    うーん。しかし、同様の問題を抱えている他の人への利益になるなら、その個人のデメリットになりうるかもしれない個人情報を持ち帰らせても良いという発想になってしまうと、個を大切にする臨床心理としては、ちょっと個人への配慮が欠けてしまう気がします。

  5. もったいつけるようなケースなのか?
    あるいは
    もったいつけるような介入なのか?
    そこが問題だw

  6. >OneWord様
    まじめな意見ではなく煽ってみてるだけなのかしらんと思いつつ。
    同様の問題を抱えている方への利益を考えるからこそ、事例発表などの機会があるかと思います。
    必要なのはその機会であって、資料そのものではありません。
    であれば事例発表の資料を持ち帰る必要はないでしょう。
    その場で真剣に読み込み、考え、自分の臨床に反映させられそうなエッセンスは各自ノートにとるだけのこと。
    どのみちケースの個別の事情は、今後の臨床には応用もできませんし、
    なぜ持ち帰る必然性があるのかわかりません。
    持ち帰らせればコピーもできます。
    情報が発信元の心理士や事例のご本人のコントロールを離れたところまで拡散してしまうことで
    ご本人の不利益となる可能性もあります。
    正直OneWord様のおっしゃる主張(個別の事情満載の資料を持ち帰らせなければ科学ではない?)の意味がよくわかりませんので、
    的をはずれているとお感じになるかもしれませんが、
    私もOneWord様のおっしゃる主張は的が外れていると感じておりますので
    お互い様ということでご了承いただけると幸いです。

  7. 個別の事情を理解・分析せずに臨床活動を行うことが科学だとは思えませんが。
    それともその場で全て理解できるほど皆さん天才ばかりなのでしょうか?

  8.  そもそも持ち帰られるとまずいような資料を出さねば事例検討にならないというのが、わからないですね。クライアントの承諾を得られないのなら、そもそも事例として持ってくるべきでない。
     持ち帰られるのが嫌ならば資料配布など最初からすべきではない(その場での理解のためにどうしても必要だというのなら、口答かパワポで示せばよいだけのこと)。わざわざ資料を配布してから回収するという行為には「中途半端」な印象しか受けません。

  9. 資料の回収に関しては倫理的な配慮があって然るべきだとは思います。資料を1.「持ち帰る/持ち帰らない」という議論と、2.「持ち出されて困るような資料を配布しない」という議論、そしてロテ職人さんがご指摘している千尋さんの3.「患者・クライエントの利益に繋がらないことはすべきではない」という議論は、それぞれ問題の別の面を捉えているように思えます。
    1は臨床心理士の守秘義務、2は資料配布の方法論、3は事例検討の在り方全般(?)のことについて述べているように感じます。
    その上で、OneWordさんが仰るような、2の部分の、外部に持ち出されたくない情報は資料として配布せずに、
    >その場での理解のためにどうしても必要だというのなら、口答かパワポで示せばよい
    のではないかとは思います。持ち出されることへの懸念を表明していても、持ち出されるような事があるなら、そもそも資料として配布しない工夫も必要だと思います。
    でもこの議論は、上記の1あるいは3の議論とは、少し違った話しになってくると思います。


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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