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本城秀次監修『子どもの発達と情緒の障害 事例からみる児童精神医学の臨床』

10/01/19のエントリ、日本臨床心理学会編『地域臨床心理学』に引き続き、昨年末ご恵送賜りました書籍紹介第2弾。こちら。

子どもの発達と情緒の障害―事例からみる児童精神医学の臨床子どもの発達と情緒の障害―事例からみる児童精神医学の臨床
野邑 健二

岩崎学術出版社 2009-12
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ケースを中心にすえ,子どものこころの理解と支援を考える



ということで目次は出版社のページからどぞ。
岩崎学術出版社: 子どもの発達と情緒の障害
「第Ⅰ部 発達障害をめぐる問題」「第Ⅱ部 親と子どもの育ちへの支援」「第Ⅲ部 子どもの情緒的問題へのアプローチ」の三部構成で、各章でケースを提示しつつ児童精神医学臨床の実際に触れられております。
個人的には第Ⅰ部がもうちょっとボリューム欲しかった。
というか、個人的には第Ⅰ部が面白かった…というのも、「発達障害」という今日的問題をメインで扱っているということ。そして、第Ⅱ部の子育て支援はぶっちゃけ仕事の上ではそんなに興味がないということ。さらに第Ⅲ部は何となく知ってる内容が多い風味?って感じです。
そのへんは私の好みですので、これから児童精神医学の分野について学ぶ人にとっては全て必須の領域ですし、何より名古屋大学の児童精神医学分野の臨床実践の実際が垣間見ることができるというのは非常に貴重なのではないのかと思います。
そして、以下はまえがきからの引用になります。

 私は常々発達障害の成人例の診断はきわめて難しいと感じている。そのため,そういった症例の診断をするさいにはかなり慎重になり,十分な時間をかけるようにしている。それでも自信をもった診断ができないことが多い。厚生労働省は,子どものこころの問題も扱える小児科医を養成するために,研修会等を催しているが,それに加えて,あるいはそれ以上に,児童精神医学を専門とする医師の養成が必須のものと考えられる。

 少し話が医療サイドに偏ってしまったが,心理臨床家に関しても多くの困難が存在している。

 児童精神医学の臨床において,心理臨床家は医師の必須のパートナーである。心理臨床家の働きなくして,遊戯療法など非言語的な心理療法や心理検査は実施し得ない。そのように重要な存在である心理臨床家にとって医療現場における立場は曖昧なものであり,待遇もきわめて悪い。今後子どものこころの問題にともに立ち向かうパートナーとして,適切な処遇がなされることが必要不可欠である。

伝え聞いた話では、名古屋大学の児童精神医学分野の教室(医局?)では、若手の精神科医と若手の心理臨床家が机を並べてともに臨床実践のトレーニングに励んでいる(いた?)という教育的な伝統があるそうで、それを踏まえた上での「心理臨床家は医師の必須のパートナーである」「今後子どものこころの問題にともに立ち向かうパートナーとして,適切な処遇がなされることが必要不可欠である」だと思うのですよね。
これからの世代はそういう形で教育を受けた医師・心理臨床家が増えてくるでしょうし、そういうことが心理職の処遇改善だったり、ひいては国家資格化だったりにも繋がったりするんじゃないかと思うわけです。
実際、この本の分担執筆者には心理職(ってもアカポスな人が多いですが)も含まれており、心理臨床家が実際の現場でどういう形で必要とされているのか、つまりどのように児童精神医学の分野で機能できるのかって辺りを垣間見ることもできます。
そんな感じで個人的には「買い」な一冊だと思います。特に子どもに関わる人は読んでおいた方がよいと思う一冊でございます。
参考になれば幸いです。

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