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日本精神神経学会の緊急声明を読んで思ったこと

公開日: : 研究と臨床, 臨床心理学 , , ,

4月20日に出された文章ですので、既にご存じの方も多いかと思います。

こちら。

東日本大震災被災地における調査・研究に関する緊急声明文(pdf)

一部引用。

「心の状態に関する調査・研究」といった形で、精神的に傷つき、心身ともに疲弊しておられる被災者の方々を対象として、配慮を欠いた面談やアンケートによる「心の状態に関する調査・研究」が行われている実態があります。

ところが、被災地で行われているこのような調査・研究の中には、この様な倫理的配慮がなされておらず、また、調査対象となった各被災者の方々に援助も提供しないものがあります。

というわけで、そういった調査に対して「強く抗議の意を表明」し、「即刻の中止を求め」るといった内容のものです。

ちなみに日本心理臨床学会も東北地方太平洋沖地震と心のケアというページを震災後の比較的早い段階に立ち上げており、その中で支援活動委員会の委員長である冨永良喜氏が災害後の心理援助三原則(冨永三原則)を提唱しております。

その一つが

3,アフターフォローのないアンケートは禁止

トラウマのアンケート(IES-R やPTSR-edなど)をアンケートのみ実施することは、被災者に二次被害を与えます。必ず、継続して関与できる人が、トラウマと喪失の心理教育を同時に実施してください。

というもので、やはり調査のみ実施することを禁じる内容となっております。

その他、多くの心理学系、精神医学系の学会で同様の提言や注意喚起がなされております。

…と、これらを読んで私が思ったのは「被災地」ってどこまでが被災地?ってことでした。

例えば、この調査を東京都内でやったらどうなのか?

確かに都内では東北地方の太平洋岸のほど大きな被害はありませんでした。DSM-IV-TRにおけるPTSD(外傷後ストレス障害)の診断基準

A.その人は、以下の2つがともに認められる外傷的な出来事に暴露されたことがある。

(1)実際にまたは危うく死ぬまたは重症を負うような出来事を、1度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し、目撃し、または直面した。

(2)その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。

この(1)にそもそも当てはまらないわけで…

じゃあ、関連した研究を都内ならやってもいいのかというと、そういうことではないですよね。

特に昨今では心理学的調査研究において倫理的観点からの慎重な配慮が必要とされるようになっている中で、いくら被害が少なかったとは言え、例えばアフターフォローのない大規模調査なんかやるべきではないでしょうし、やるとしたら「トラウマと喪失」に限らず臨床的な介入を前提とするものではる必要があると思われます。

…ってなことを考えたのも、「被災地」じゃない場所でこうした研究をやるってのがいかにもありそうだったからであり…。

そんなこんなで皆様のご意見をおうかがいしたいところでありますです。はい。

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