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カウンセラーの聞き取り転用 「他者に開示してはならない」…って当たり前じゃん?

公開日: : 最終更新日:2011/10/16 スクールカウンセラー, 心理学・精神医学ニュース, 臨床心理学

こんなニュースがありました。

カウンセラーの聞き取り転用 「他者に開示してはならない」 : 秋田 : 地域YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ガッツリ引用。

県子どもの権利擁護委員会は報告書で、男子生徒の自殺後にカウンセラーが複数の生徒から聞いた内容を、大館市教委が両親へのいじめ調査の回答に転用したことについて、「カウンセラーに対する信頼を失わせる行為」と指弾。「カウンセラーの聴取事項を事実の調査に流用することがあってはならない」と答申した。

同市立第一中には、自殺翌日から5日間で、県から計11人のスクールカウンセラーが派遣されたが、同市教委は生徒の同意を得ないまま、カウンセラーに面談内容の開示を求めていた。

日本臨床心理士会が定める倫理綱領では、カウンセリングで知り得た個人情報や相談内容について「守秘義務を第一とする」「対象者の同意無しで他者に開示してはならない」と明記されており、違反した場合は退会や会員活動停止などの処分が下ることがある。

一方、同市教委の高橋善之教育長は「第三者であるカウンセラーが情報収集することで客観性と公正さが確保できる。現在でも極めて有効かつ妥当な調査方法と考えている」と調査の正当性を主張。両親への回答に転用したことについても「両親が知りたい情報を早期に伝えられた。守秘義務違反という認識は全くない」と述べた。

弘前大大学院教育学研究科の豊嶋秋彦教授(臨床社会心理学)は「カウンセラーが学校や市教委へ面談内容を伝える際には、事前に生徒の了承を取るべき。まして、遺族であっても第三者に情報を開示するのはありえない」と指摘。「発言が筒抜けになると思えばカウンセラーへの信頼感は失われる。学校や市教委は過敏なくらいにカウンセリング内容の守秘義務を意識すべき」と警鐘を鳴らしている。

(2011年10月15日 読売新聞)

このニュース、問題の主体が教育委員会なのか、スクールカウンセラーなのか、わかりにくくないですか?

同市教委は生徒の同意を得ないまま、カウンセラーに面談内容の開示を求めていた。

とのことですが、ここでスクールカウンセラー(以下SC)が情報開示を拒否することは出来たわけですよね。

もし情報開示を拒否したらSCの職を解かれるとか、あるいは来年度以降の雇用に影響するようなことを教育委員会側がほのめかしたりてたりしたら、むしろそのことが大きな問題になりますわな。

で、そういうことがなかったとしてSCが情報開示に同意したのであれば、SC側の責任もかなり大きいと思うわけで。そもそも本文にあるように倫理綱領への違反なわけで、何らかの処分がくだったりということはないのでしょうか?

「第三者であるカウンセラーが情報収集することで客観性と公正さが確保できる。現在でも極めて有効かつ妥当な調査方法と考えている」

「両親が知りたい情報を早期に伝えられた。守秘義務違反という認識は全くない」

という、同市教育長の認識もものすごくアレな感じですが、もしSCの認識がこの教育長と同等のものであれば、臨床心理士資格剥奪レベルの話じゃないかと思うわけですよ。

「弘前大大学院教育学研究科の豊嶋秋彦教授」のコメントも

「発言が筒抜けになると思えばカウンセラーへの信頼感は失われる。学校や市教委は過敏なくらいにカウンセリング内容の守秘義務を意識すべき」

と、「学校や市教委」に対するもの…ですよね?やっぱり学校や教育委員会から何らかの圧力があったという前提の話なのかなあ…。

色々とわからないことが多いので何とも言えないところではあるんですが、この件で臨床心理士会も何か調査みたいなことをすべきじゃないかと思うんですがどうでしょ?

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  1. そもそも面接の目的はどのように子どもに伝えられていたのでしょうね。その説明の仕方によっては心理職が事実関係の調査を分担して、組織内で情報を共有することはあってもよいような気はします。それも許されないとなると、結局子どもは他の職員(教員?)から同じ事をもう一度聴かれることになるわけですし。

    そもそも教育委員会に所属するカウンセラーが、教育委員会と情報を共有する場合も「他者」への開示になるのでしょうか。そのあたりがちょっと疑問です。医療機関ではそのような情報の共有は日常的に(明示された)同意なしに行われているような気がします。

    そこで得られた情報を組織の外に開示する場合には、組織としての守秘義務の話になるので、臨床心理士の倫理綱領とは直接関係ないレベルの問題になりそうな気がします。

    これとは別に面接の目的が介入や治療であるということであれば、組織内での情報共有でさえ妨げになるということは十分あり得ると思いますので、そこは専門職の治療技法の一部としての守秘(の約束)ということになりますよね。

    実際には調査と介入は明確にわけにくいということも想像できますが、そこは区別する努力をしておいても損はないような気がします。イメージとしては虐待の事例などで司法面接を心理士が担当するというのに近いものになるでしょうか。もし治療が必要ということであれば、担当者は交代する方がよいようにも思いますし。

    スクールカウンセラーの周辺に、ずっと以前からあるテーマの変奏という感じはしますが、そのあたり組織に所属する心理士の守秘義務というのはどのような整理がなされているのでしょうね。自分もよくわかりませんが、医療機関内での守秘義務とも関連して興味深いところです。


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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