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『投映法研究の基礎講座』の感想を書いてみる

先日お送りいただきましたこちら。

臨床に生きる──だからこそできる研究がある

大学や大学院を出たばかりの臨床家だけでなく,臨床は十分にやってきたけれど,研究に関しては,いまひとつ自信がもてないというベテランの臨床家にとっても,本書のどの章のどの部分であれ,投映法研究の入門書として役立つことを祈っている。

臨床実践に裏打ちされた投映法研究論文が,1つでも多く生まれ,それが他の臨床現場に還元されることで,臨床心理学に基づいた心理支援がますます質的に向上するよう,未来にこの本を託したい。(編者「はじめに」より)

この本は,投映法研究の質をあげるために編まれた「座右の書」です。研究計画の立て方や統計処理のコツ,代表的投映法検査法であるロールシャッハ,描画法,TAT,P-Fスタディ,SCTの各研究のの歴史・現状・知見をまとめており,計画から執筆までのよきガイドとなるよう企画されました。すべての章がわが国を代表する研究者によって書かれ,多くの心理学を学ぶ学生,研鑽を積む臨床家にとって必読のものになりました。

【ご恵送】津川律子編著『投映法研究の基礎講座』【ありがとうございます】(12/07/18)

最近ちょっとテンパっておりましてなかなか読む時間がなかったのですが、とりあえず某学会の抄録用原稿も送り終えたことだし、感想など書いてみますよ。

ただ、まだ全部は読めていないのであくまでも「さらっと」感想ということで。それでも皆様のご参考になりましたら幸いでございます。

ちなみに遠見書房さんのサイトの紹介ページでは、「目次」と「はじめに」が読めますよ。

『投映法研究の基礎講座』 – 遠見書房

さて…

読み物として本書を見た際に(そういった見方が正しいかどうかはおいといて)、ワタクシ的に興味深かったというか読んでて面白かったのが「第1部 序論」のコラム「具体的な研究計画の立て方──架空研究例を用いて」と、「第3部 論文執筆のための基本」の中のこれまたコラム「練習のための架空臨床研究──調査研究の超初心者のために」でした。

それぞれ架空の臨床研究を想定して、前者は「研究計画を立てること」、後者は「心理統計処理の手法」に焦点を当てて、若干のストーリー仕立てっぽい感じで実際の研究の流れに沿って解説が加えられていきます。

これ、私が将来偉くなった時に「マンガでわかる臨床研究」みたいな感じでやろうとしてたのとまさに合致してしまっているわけで「先を越されたー!」感がハンパないです。

そもそも「心理学的研究法」を取り上げた本はこれまで山のようにありましたが、「臨床心理学的研究法」でその中でも特に投映法に焦点を当てた本なんてこれまで全くなかったと思うのですよね。

ただ、ニーズはあると思うんですよ。現場にいながら「研究したいなあ…」とか「研究しなきゃなあ…」なんて思ってる臨床家の人って少なくないと思いますし、実際、そういう人たちこそ研究すべきだと私は思うのです。

その辺に関してはこのブログを立ち上げて割とすぐの頃にガッツリ書いてたりもするんですが…

【研究】臨床心理士が研究するということ(1)【臨床】(05/01/25)
【科学的】臨床心理士が研究するということ(2)【思考】(05/01/26)
【再現性】臨床心理士が研究するということ(3)【論理性】(05/01/31)
【これまでの】臨床心理士が研究するということ(4)【まとめとか】(05/02/04)
【色んな】臨床心理士が研究するということ(5)【実例とか】(05/02/07)
【科学者】臨床心理士が研究するということ(6)【実践家】(05/02/10)

えーと、とにかく臨床家というかこそ研究すべきだと思うのです。だって、一番貴重なデータを大量に持っているのは現場にいる臨床家なのですから。

そんな人たちのためにこの本、特にこのコラムは入り口として実にわかりやすいと思った次第であります。

その他の部分…なんてまとめてしまうのも何ですが、とにかく全体にしっかりまとまったいい本だと思います。各章の著者の人選もさすが編者のセンスを感じますよ(って何この上から目線)。学部レベルだと難しいかもしれませんが、大学院の教科書としてもいい感じなんじゃないでしょうか。

…とここまで書いて思うのは、やはり大学院レベルでもう少しガッツリとこういった研究法に関しての教育をやっておいてもらいたいということでして。そういったことがなされていないために、多くのデータが研究目的という視点に立って考えれば「死にデータ」として埋もれていってしまうというのは、ある意味で大きな損失なのではないかと思うのです。

もちろん臨床的には全く「死にデータ」なんてことはないのですが、それをさらに一歩進めて研究データとして使うことができれば、その臨床家個人のレベルアップのみならず、我が国における臨床心理学全体のレベルアップに繋がると言えるでしょう。

そんなわけで

すべての章がわが国を代表する研究者によって書かれ、多くの心理学を学ぶ学生、研鑽を積む臨床家にとって必読のものになりました。

ということで、ホントその通りだと思います。

本当に多くの人に読んでいただきたい一冊です。お勧めです。私のこんな駄文を読まれる前に、まずは読んでいただければと思う次第であります。

よろしければポチっとどぞー。

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コメント/トラックバック (2件)

現在、この投稿へのコメント/トラックバックは受け付けていません。

  1. 感想楽しみにしていました。
    ありがとうございます!

  2. >ネピリムさん

    コメントありがとうございます。
    そして、いつものことではありますが、こんなクオリティの感想で申し訳ないっす…。


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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