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来年の日本心理臨床学会第32回秋季大会では口頭発表が廃止される件 その2

昨日の続きです。未読の方はまずはそちらから。

来年の日本心理臨床学会第32回秋季大会では口頭発表が廃止される件(12/11/13)

さて、昨日も申し上げましたがTwitter上ではこの件について色んな意見(といってもほとんど否定的な内容ですけど)が出ておりまして。そうした一連のツイートをピュアリーさん(@purely1939)がTogetterでまとめてくださっておりますよ。

日本心理臨床学会第32会秋季大会において事例研究(口頭)が無くなることへの様々な意見 – Togetter

これみて思ったことは…やっぱり事例「検討」とか事例「報告」を事例「研究」と一緒にしている人が多いなあということでした。

確かに、特に地方在住の方なんかだと近隣で研修会等が開かれることが少なかったりして、そういう意味では事例「検討」の場として使うってこともあったのかもしれませんが、でも今はそれこそ心理臨床学会主催の全国研修会とか年に数回開催されたりするわけですよね。実際のところ、そういう場で事例を出すって人がそんなにたくさんいるとは思えませんし、申し込めば採用されるんじゃないかと思うんですが…。「口頭発表が廃止されて、事例検討の機会がなくなる!」って人は、そういう研修会でもガンガン発表とかしてる人なんでしょうか?

もし「日本心理臨床学会(以下、日心臨)の事例研究の口頭発表は初心者でもエントリーしやすい」なんてことを言ってるのであれば、それは明らかに「研究としての質の低下」に繋がるでしょうね。

ここまで書いてふと思い出しました。先日、仙台にて今年の年次大会が開催された日本精神分析学会(以下、分析学会)のことを。

分析学会での事例提示は「研修症例」と「一般演題」に分かれてるんですよね。「研修症例」の会場には事例提供者(発表者)と司会者の他、「助言者」がいます。それで助言者は文字通り「助言をする人」であって、「研究」目的ではなく「研修」目的でなされるわけです。

それに対して「一般演題」では当然、普通の学会同様に発表者の他には司会者しかいません。そこでは「研究発表」がなされるわけですから。

いつの大会だったか失念しましたが、ある一般演題を聴いていた時のこと。発表者による考察が薄い…というかほとんど考察がなされていないような発表がありました。それに対して、その会場で司会をしていたある大御所の先生が「この学会には研修症例という場があるのだから、研究として成立していないような事例はそちらで出すように」という主旨のことを厳しい口調でおっしゃっておりました。

さて、昨年までの日心臨を思い出してみましょうか。事例「研究」と言えるだけの発表はどれだけありましたか?日心臨で発表されたことのある皆様。皆様の発表は「研究」と言うに足る内容のものでしたか?

・・・・・・・・・・・・

ここまで書いて気づいたんですが、Togetterのタイトルは「事例研究(口頭)が無くなることへの様々な意見」とあります。確かにそれは間違っていないのですが、実は基礎研究の口頭発表もなくなっちゃうんですよね。

ワタクシ、来年も基礎研究で発表しようかと思ってたんです。でもポスターはなぁ…って感じで今迷ってるところです。

Twitterでの発言を見ると、学会で事例研究の口頭発表がなくなるのは事例研究の軽視だ!的な内容のものがあったりするんですが、じゃあ基礎研究の口頭発表がなくなることを問題にしてない皆様というのは、基礎研究を軽視していることになるんじゃないでしょうか?

なんかどんどん連想は進んでいくわけなんですが、実は根源的な問題として「臨床心理系大学院における研究の軽視」ってのがあるんじゃないかって気がしてきました。

そりゃあ、皆さん修論は書いたんでしょうし(そういう意味では専門職大学院は完全にアレなわけですが、それはまた別のお話)、臨床実践に関するトレーニングは受けたんでしょうけれども、例えば現場に出てしまうと研究のことは意識に登らなくなってしまうとか、あるいは大学院の段階でまともに事例「研究」の方法論は習得していないとか、そういう問題があったりするんじゃないでしょうか?

別に本が出てりゃあいいってわけじゃないですし、臨床心理学的研究法に関する本は色々出てはいますが、「事例研究」に特化した本ってこれ↓以来、ワタクシは寡聞にして知らないのですよね。

そしてあれだけの数の発表があったりすれば…そりゃあ研究としての質の低下ってのは必然なのではないかと思うのですよ。

皆様いかがでしょ?

いちいちTwitterでここの発言に対して反論するのはめんどくさいんで、できればこちらのコメント欄にご意見いただけるとありがたかったり。

もうちょっとこの件については言いたいことがあるのですが、また長くなってしまったので続きは次回。

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