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【保護】個人情報保護法のために本人の同意があっても情報の共有ができない?【過保護】

個人情報保護

いつも読ませていただいております、きょう こころのクリニック院長のきょうさんによる、きょうクリいんちょうブログ。毎日更新はすごいです。尊敬します…というのはおいといて、昨日のエントリがこちら。

個人情報保護法って何のためにあるのか、医療・福祉関係者は考えるべきではないでしょうか。きょうクリいんちょうブログ

個人情報保護法…我々の仕事においては意識せざるを得ないアレですが…。

ちょこっと引用しますよ(※読みやすいよう若干の改行の改変をしてあります)。

クリニック外でも、カウンセリングルームや、子ども家庭センター、発達障害支援センター、市役所、教育センター、療育センター、学校、などなど、たくさんの施設と連携していかねばなりません。

連携にあたり大切なこと。それは情報の共有です。

情報、たとえば心理検査や、相談の経過や、診療の経過や、見立てなど、しっかり共有することは当たり前なのです。

ところが、個人情報保護法があるから、伝えることができませんとか言われることがあります。患者さんや保護者さんの了解をとっていても、医療機関からの求めに応じてもらえないことも多々あります。

えーと…きょうさんは

言い過ぎたかな、でも後悔はしていない(キリッ

とかおっしゃってますが全く言い過ぎじゃないと思いますよ(いや、冗談なのはわかっておりますよ。一応)。「個人情報保護法があるために」「本人の同意があっても情報提供できない」というのは大問題なのではないでしょうか?


とりあえず条文見てみましょうか。

個人情報の保護に関する法律法令データ提供システム

今回の問題に該当するのはこの辺りですかね。

(第三者提供の制限)
第二十三条  個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

ktkr!

いきなり来ました。これつまり、本人の同意があれば情報提供は可ということではないですか?

関係機関との連携および情報共有において問題になるのは、むしろ「本人の同意をとることができない」ケースなのではないかと思います。その辺に関しては色々言及もあるんですけどね。

個人情報のトリセツ ―― 震災から見守り活動まで、個人情報「過保護」を乗り越えるSYNODOS -シノドス

神奈川県個人情報保護条例に記載されている第三者提供・目的外利用が可能な場合
目的外利用の制限の例外事由の代表例
(1)法令等の規定に基づき利用し、又は提供するとき。
(2)本人の同意に基づき利用し、若しくは提供するとき、又は本人に提供するとき。

条例から明らかですが、(2)にあるように、「本人の同意」があれば、取得した情報を目的外で利用したり、第三者に提供できることがわかります。

これは条例ですが、条文の基本的な部分は一緒であり、やっぱそういうことになるますわな。

ちなみにきょうさんが挙げられたケースで、相手が公的機関だった場合は

また、たんに「個人情報保護」といっても、民間と行政では適用される法令が違います。民間機関が保有する情報は「個人情報保護法」という「法律」や業界ごとのガイドラインによって規律され、地方公共団体が保有する情報は「条例」によって規律されます。

民間が保有する情報 ⇒ 原則として個人情報保護法が規律(具体的には各所管省庁作成のガイドラインによる)
地方公共団体が保有する情報(障害者・高齢者の情報) ⇒ 個人情報保護条例が規律

この辺りに基づいて「え?個人情報保護法?条例じゃないんですか?」的なネチネチしたツッコミも可能かもしれません。

以下は平成19年度に三重県で行われた個人情報保護法説明会・相談会の資料からの引用。作成したのは行政法学を専門とされている南山大学の豊島明子氏。これは結構わかりやすい資料です。

個人情報保護法の理念と課題平成19年度 説明会・相談会 – 消費者庁

法目的は、あくまでも個人の権利利益の保護であって、個人情報の保護ではない

個人情報保護法は、他者に取得・利用させる自己の個人情報について、自己決定できる権利を保障しようとする制度である(自己のどのような個人情報がどのように利用されているかを知ることができ、特定の目的実現のために取得された個人情報を、本人の同意なしに他目的に利用したり第三者に提供してはならないことを定めた制度)。

以上を踏まえて考えると、きょう先生が挙げた「断られた」事例に関しては、明らかに「個人の権利利益の保護」が出来ていない上に「自己の個人情報について、自己決定できる権利」も侵害されていると言えるでしょう。

んなわけで「個人情報保護法があるから、伝えることができません」と言われたら「個人情報保護法では、本人の同意があれば情報提供は可能なはずですが?」と返せばいいってことになるのではないかと思います。

いかがでしょ?法律に詳しい人からの解説もいただきたいところだったり。

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