集団精神療法関連本の刊行ラッシュ、そして3年前の集団精神療法学会を思い出す

春の学会シーズンです。

心理学徒の皆様におかれましては、今週末に京都で開催される日本発達心理学会第25回大会に参加される方が多いのではないかと思われますが、ワタクシは22日(土)・23日(日)に日本赤十字看護大学広尾キャンパスで開催される日本集団精神療法学会第31回大会に参加する予定です。

日本集団精神療法学会第31回大会
日本集団精神療法学会第31回大会

正確には21日(金)はプレコングレス研修会ということで、体験グループに参加するのですが(事前申し込みのみで今からの参加は不可です)。

日本集団精神療法学会 研修会

そんなこんなで、恐らく学会開催に合わせたであろう集団精神療法関連本の刊行ラッシュとなっております。

人の絆を最大の治療要因とする集団精神療法は,医療,教育にとどまらず,組織力,ハイパフォーマーの実力向上に至るまで,その効用を活用する領域が多様にある創造的処方である。

本書では,精神分析に由来する集団精神療法の理論的基礎と,引きこもり,いじめ,発達障害からパーソナリティ障害,ハイパフォーマーへの臨床実践に基づいた適応の実際を詳説する。

第I部「基礎理論」で集団精神療法の成り立ちから,社会情勢の変遷にともなう技法の発展と,日本人固有の人格構造論,個人精神療法と集団精神療法の交差点について述べ,自我同一性の確立と自己の成熟を追求する第II部の「アイデンティティ・グループ」では,青年期のみならず,プロスポーツ選手やトップリーダーへのアプローチが示される。

第III部では,個人精神療法と集団精神療法を組み合わせたコンバインド・セラピィ,治療への導入と動機を促進するためのプレセラピィなどの各種技法が解説され,最終章の第IV章では,統合失調症や境界性パーソナリティ障害をもったクライエントとの仔細な逐語録による介入の実際が示され,筆者が東日本大震災の発災以来取り組んできたPTSDへの集団精神療法によるアプローチが紹介される。

「誰もが元気になる集団精神療法」を標榜する著者の姿勢から,理論だけでは学べない体験して面白い活力に満ちた集団精神療法に触れることができるであろう。

精神病院をよくするのにはどうしたらよいか、患者の声を治療に反映させるにはどのようにしたらよいのか、と悩み、痛みを体験しながら、一精神科医として出来ることは何かと自問して来て、著者がたどり着いた集団精神療法についての論集である。

集団精神療法の基礎から治療共同体の成り立ち、臨床場面への応用までをわかりやすく説く。 また、著者とMaxwell Jones, David Clark, 土居健郎とのつながりを通して、より深く“グループ”というものを理解することが出来るだろう。

グループを毛嫌いする人もいるかもしれないが、誰しも必ず何かのグループに属している。本書を通して読者の間でグループついての議論があちこちで行われ、新たなグループが生まれることが著者の希望でもある。

読み進めると著者の体験が不思議な世界へと誘い、グループ体験の意味について考えさせられるだろう。

精神療法には、一対一で行う個人療法のほかに、グループで行う集団精神療法がある。適切なグループで運営される集団療法は、個人療法に勝るとも劣らない効果を発揮すると言われる。本書は、そうした治療グループを立ち上げてゆく際に必要な事項や問題点を丁寧に解説し、グループセラピストの技法についても述べた極めて実践的なガイドラインである。

グループづくりを始めようとしている人たちの指南書となるばかりではなく、理論学習のテキストや研究資料としても活用できる。

学会参加予定の皆様は、会場での書籍販売でお安く購入できるでしょうから、そちらで購入するのが吉ですね。

学会参加されない方で集団精神療法に興味がある方は是非ともどーぞ。

…で、ワタクシ的には集団精神療法学会に参加するたびに3年前のことを思い出すのです。

3年前、京都で開催された学会のプレコングレス研修会での体験グループ。開催日は2011年3月11日。そう。東日本大震災の日です。

私は京都で被災しました…というか、被災しなかったんですよね。被災者の皆様に対して大変失礼な発言かもしれないことを承知で言えば、私にとっては「被災しなかったこと」がちょっとしたトラウマになってしまっている気がします。

体験グループ参加中になんだか長い揺れを感じ…グループ内での動きが身体の揺れとして感じられた?とも思ったのですが、実際、物理的に揺れていたのです。そして休憩時間にケータイで確認したところ、どうやらものすごく大きな地震が起こったらしいということまではわかりましたが、詳しいことはわからず。

体験グループが終了して、ホテルに戻ってからようやく事態の深刻さが判明しました。家族とは比較的早く連絡がとれたのですが、交通機関は混乱しているようでとりあえずその日は京都で宿泊し、まんじりともせずに一夜を過ごしました。

本当はすぐにでも帰りたかったのですが、交通機関の混乱のため帰宅は断念。翌12日は学会に参加。研究発表の座長の先生や発表者、あるいはワークショップの講師の先生など多くの方々が来られなくなったため、大幅なプログラム変更があったのを覚えています。

私は13日の早朝の新幹線の予約がとれたので、予定を早めて帰路につきました。そして奇跡的に交通機関の接続もよく、帰宅難民になることもありませんでした。

北関東の自宅にて妻や子ども達が不安な夜を過ごしてる中、自分だけ遠く離れた(安全な)京都にいたということはとても不安な体験だったのですが、その一方で一緒に「被災できなかったこと」に未だに罪悪感を感じている自分が未だにいます。

そして今年もまた集団精神療法学会が開催されます。

昨年、一昨年とプレコングレス研修会に出られなかったのは、(金銭的な理由がなかったわけではありませんが)やはり私の震災体験の影響が大きかったと思います。

今年はようやくプレコングレスに参加する気になれました。

今週の金曜日、何か良い体験が出来ればいいなあと思っております。

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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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