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提出された公認心理師法案の詳細が公開される─「医師の指示」条項に関連して考えたこと

逆光の国会議事堂

法案の内容が公開されました

昨日のエントリ、公認心理師法案が衆議院事務総長に提出される─衆議院議員河村建夫氏のFacebookページよりの続きです。

昨日の最後の一文。

そして、提出された法案の具体的な内容が早く知りたいと思う次第であります。

この点に関して、TwitterにてΤακäħjrö Ιŋøüé(@inotti_ele)さんから情報いただきました。いつも情報提供ありがとうございます。

もう公開されていたのですね。ちゃんと見ておりませんでした。

では、中身を見てみましょうか。一番問題のあの部分を。

「医師の指示」関連条項は…

やはり最大の問題は「第四章 義務等 (連携等) 第四十二条」ですね。

第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が綿密な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

これはいいですね。

そして、問題は次。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

はい。この条項については細かい表現の差はあれ、基本的にこれまで公開されている情報のままです。

何か細則がつくのかなあと思っていたんですが、少なくとも法案のこの段階では運用に関わる細則などは記載されないのですね。いやー、色々勉強になります。

運用上の問題があるならば、その都度対応でいいのでは?

この条項について、大学で教員をされているNobu 田代(@R103103)さんがTwitter上でこうつぶやいております。

実際その通りで、運用上の問題があれば改善することは十分可能だと思うのです。

当然、実際の法施行以前にそうした運用上の問題点は見越した上で細則等が作られるのではないかと思うのですが…違うのですかね?

起こり得る問題を具体的に提示するということ

その辺を踏まえた上で、この点に関して危惧されている方々は「どんな問題が起こり得るか」「具体的に」提示していただければいいのではないかと思うのです。

「心理職の専門性ガー」とか「医療団体の陰謀ガー」とか、そういう漠然とした表現ではなく、あくまでも「具体的に」です。

官僚の方々はそのためのスペシャリストでしょうから、現実的な運用上の問題についてはある程度考えられるでしょうけれども、我々、実践する立場から具体的に起こり得る問題を提示出来れば、それはこの法律の今後にとって有用な知見となるのではないかと思うのです。

そして、もしも現実的に細則や省令?通達?で対応できないような問題が起こりうるならば、それはこの法案に反対する理由としては十分なものだとも思います。

是非とも反対派(慎重派?)の皆様にはその辺り頑張っていただければと。

資格認定協会の言い分はやはり「無理筋」では?

ちなみに、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会業務執行理事会が、6月10日付けで衆議院議員各位に宛てた「公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会からの要望」(※pdf注意)にはこう書かれております。

(危惧の理由)臨床心理士を求めてくるクライエントが、そのことを主治医に内緒にしてほしいと言うことが多々あります。そのような場合、依頼された秘密を保持することが、我々とクライエントとの信頼関係を築く第一歩であり、これが禁止されることはユーザーの不利益となるばかりでなく、我々の業務に著しい困難をもたらす怖れがあります。このように、個々の事例において業務が円滑に行えなくなることが予想されます。

「そのことを主治医に内緒にしてほしい」の「そのこと」や、「依頼された秘密を保持すること」の「依頼された秘密」が、「臨床心理士を求めて」きたことを指すのならば、これは「医師との連携」を拒否というか否定していることになりませんか?

守秘義務の遵守と徹底することは当然必要なのですが、例えば精神科で薬物療法を並行して行っている場合には連携を図ることが必須であり、それをクライエントが拒むのであれば治療関係を築くことも出来ないわけで「我々とクライエントとの信頼関係」も築くことは不可能なのではないでしょうか?

私、何か間違ったこと言ってますか?

臨床心理士会の倫理綱領から

一般社団法人日本臨床心理士会倫理綱領(※pdf注意)の「第2条 秘密保持」「2 情報開示」にはこう書かれております。

2 情報開示
 個人情報及び相談内容は対象者の同意なしで他者に開示してはならないが,開示せざるを得ない場合については,その条件等を事前に対象者と話し合うよう努めなければならない。

クライエントが臨床心理士に相談を求めてきて「主治医にはここに来たことを内緒にして欲しい」と言っている場合、もし面接を継続する可能性があるのならば、当然その先には連携が必要になる場合、つまり「開示えざるを得ない場合」になる可能性もあります。

面接開始前に「主治医と連携を取らなければならない場合もあるので、内緒には出来ない」ということをきちんと説明できないというのは、上記の倫理綱領の記載に反することになるのではないでしょうか?

皆様からのご意見をお待ちしております

そんなこんなで、とりあえず法案を読んで思ったことを書いてみました。

私の認識で誤っている部分も多々あると思いますし、その辺りは自分でも修正していきたいと思いますので(間違いっぱなしは恥ずかしいですからね)、是非ともご意見・ご指摘等いただければと思う次第であります。

ちょっと追記

Τακäħjrö Ιŋøüé(@inotti_ele)さんからまた情報提供が!情報収集能力には感服いたしますです。

ほんっとに縦書きは使いづらいので、これはありがたい(この記事書く前に知りたかった…)。

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コメント/トラックバック (1件)

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  1. お久しぶりです。あららです。

    資格認定協会の言い分について、
    「主治医に内緒にしてほしいと言うことが多々あります」とありますが、
    ほんとに「多々」あるんでしょうか?(私は経験ありません)

    おそらく主治医の意見に反して心理療法を受けようとしている、という設定なんだと思いますが、現在は薬物療法中心でインテンシブな心理療法は刺激が強すぎるという判断で心理は必要ないと言われることはあるでしょう。そしてこの場合の主治医の判断はおおむね正しいのではないかと思われますし、心理療法が役に立つ部分もあると思いますが、主治医との連携が必須となると思いますので、「内緒ではできない」と言うのが臨床心理士としての正しい判断なのではないでしょうか?

    また主治医の見立て違い、あるいは臨床心理士嫌いで心理療法に反対しているという場合なら、患者がよく主治医と話し合うべきで、臨床心理士としてはそういう話し合いをするよう励ますことは必要だと思いますが、主治医に内緒でセラピーを始めてしまうのはよけいに主治医からの不信感をあおるだけというように思います。患者が話し合いをした上でやはり心理療法を求めたいならば転院という手段をとることも可能ですし、私ならまず、他の精神科を受診しセカンドオピニオンを聞くことを提案するように思います。

    内緒で事を進めることが「信頼関係を築く第一歩」となるような状況が私には想像できないですし、「主治医に内緒」を言う人なら「カウンセラーに内緒」も言う人だろうと、信頼の前に「警戒」してしまいますけどね。
    「業務に著しい困難」というのも、よくわかりません。内緒でやっていて、問題が起こったときの方がよほど恐ろしいです。

    「心理の常識は世間の非常識」とよく言われますが、その良い例なのでしょうか。


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