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公認心理師の受験資格が学部卒者にも与えられることに対して自分なりに批判してみる

新・臨床心理士になるために 平成26年版

そもそも、公認心理師の受験資格が学部卒者にも与えられるというのはオプション的なものであり、基本は修士修了が条件だという説明はなされているわけですが、反対派の先生方はそれを「欺瞞だ」とおっしゃっているのですよね。ざっくりとまとめると。

それが本当に欺瞞なのか否か、そして「欺瞞だ」と批判している先生方が本当にそう思っているのか否かはとりあえず置いといて、私自身も修士課程修了が条件になるべきだとは思っています。

昨日のエントリ、公認心理師の受験資格が学部卒者にも与えられることに対する批判があんまりイケてない件では、例の意見広告に対して批判をしたわけなんですが「お前は自分の意見もなく批判してるだけなのか?」と言われるのもアレなので、自分なりの意見を述べてみたいと思います。

ブログやtwitterにいただいたコメントなども参考にしつつ、まとめていきますよ。

理由1 大学入学後の進路変更が困難になる

専門性云々の議論からはいきなり離れてしまいますが、現実的に大きな問題だと思います。

学部4年間の目的が「公認心理師を取得する」ことになってしまうと、入学後の進路変更は難しいです。大学というよりは「資格取得のための専門学校化」してしまうと言ってもいいかもしれません。

はっきり言ってしまえば、医学部だって「医師養成専門学校」なのですよね。医学部の場合も入学後の進路変更は結構困難ですが、それほど変更する必要はなかったりします。主に金銭的な意味で。

そして医学生の場合、臨床がどうしても向いていないならば病理医という選択肢もありますし、最近では医療関係に向かないけれども高い知的能力を生かして全く関係ない分野で就職する医学部卒業生もいます。

公認心理師の学部における養成課程でも、同じことが出来そうですかね?多分、出来なさそうな気がします。

現行の臨床心理士制度の場合、大学院入試の段階である程度選別が行われますし、大学入学時に臨床心理士志望だったとしても院試の段階で進路変更する人も多いでしょう。向いてないと思った人が向いてないと思った時点で(なってしまう前に)やめることが出来るってのも大事だと思うのですよね。

理由2 カリキュラム的に余裕がない

そういえば、今年の4月に日本心理臨床学会が作成したカリキュラム案が公開されてましたよね。

「公認心理師」(仮称)受験資格教育カリキュラム案(※PDF注意)

この件については当ブログでも取り上げていました。

日心臨の「公認心理師」(仮称)受験資格教育カリキュラム案と臨大協の抗議文書(14/05/09)

このカリキュラム案は、基本的に学部と大学院の6年間の課程を前提としております。その内容を4年間でこなすのは可能なんでしょうか?…あれ?6年間の課程が前提のはずなのに、なんで学部卒での資格取得を批判している人がいるんでしょうか?…というのはまた別のお話。

とにかく4年間でこなすには困難な内容だと思います。

でも、臨床心理士の養成課程と同等の2年分を学部の3〜4年次に組み込み、基礎心理学系を学部1〜2年次で…とすれば出来ないこともないかもしれません。

ただそうなると、本当に「公認心理師養成専門学校」になってしまい、理由1=進路変更の困難さに繋がるわけです。

Twitterではこんなご意見もいただいております。

上で挙げたカリキュラム案は、少なくとも学部教育に限定して言えば基礎心理学重視なんですよね。やっぱり4年間だと基礎も臨床もとなると厳しいのかなあと思います。

理由3 研究はどうなるの?

これはあくまで個人的な意見ですが、私は心理臨床家が研究することは臨床実践の質と高めると思っています。これまで散々このブログでも書いてきました。

臨床心理士が研究するということ(1)──研究と臨床実践はどう繋がるのか?(13/06/07)
臨床心理士が研究するということ(2)──臨床実践における科学的思考(13/10/10)
心理臨床家も研究すべき…ではなく心理臨床家「こそ」研究すべきたった一つの理由(13/09/07)

学部4年間の「公認心理師養成専門学校」であれば、卒論も必要ないでしょう。実際、医学部は基本的に卒論不要です。

基礎+臨床のカリキュラムを4年間に詰めこんでしまった場合、卒論なんかやってる余裕もないかもしれません。

でも…やっぱり個人的にそれじゃあいけないと思うんですよねえ。理由は今さら説明するのも面倒くさいので、上記過去ログ参照のこと。

で、反対派の人は何で学部卒での資格取得を批判してるの?

よくわかんないんですよねえ。

カリキュラム案は学部+修士課程の6年間を前提としているし、公認心理師資格を推進している偉い先生方はあくまでも学部卒は特例的な感じで捉えているはずです。

なんで反対派の人は、それを欺瞞だというのでしょうかね?

ホント…よくわかんないんですよねえ。

誰の何が「欺瞞」なんでしょうかね?わっかんないですねえ。

うまくまとまりませんがそんな感じです。

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