ネットや電話を介した健康な人向けのカウンセリング・ライトなサービスを真に有益なものとして成立させるのは不可能だと思います

ラポール

14/11/07のエントリ、リクルートホールディングスが、健康な人のためのメンタルヘルスケアサービス『RAPPORT(ラポール)』(β版)をリリースのコメント欄に「通りすがり」さんからこんなコメントいただきました。

ちょっとコメントさせていただきます。

私はこの『RAPPORT(ラポール)』とは何の関係もありませんが、このようなビジネスにはとても興味があります。

極論ですが、このサービス提供者側が、「通院していないこと」の証明をそもそもする必要はないと思います。心理療法という言葉は使っていないようですが、セラピーという言葉にロテ職人さんは引っかかっていると思います。セラピーではなく、コーチングという言葉を使えば解決するものと思いますか?

ライトなサービスですので、しっかりしたアセスメントができないのは仕方ないと思います。ですが、その欠点以上に、このようなサービスのニーズがあり、役に立つ可能性を感じます。セラピーと謳うからには相応の責任を負わなければならないというのももっともですが、終始臨床面からの批判をされておられ、専門家の目から見てどうすればこのような主旨のサービス(健康な人向けのカウンセリング、ライトなサービス)を、専門家から見てもよいサービスといえるものにできるかというところも聞いてみたかったです。

※改行については、読みやすいように改変させていただきました。

通りすがりさん、コメントありがとうございました。

さて、通りすがりさんは一つ誤解されているようです。

私は「健康な人向けのカウンセリング・ライトなサービス」に意義を唱えているわけではないのです。私が意義を唱えたいのは「ネットや電話を介したカウンセリング」に対してなのです。

電話カウンセリングではないですが、ネットカウンセリングに関しては、実はこのブログで既に9年以上前から触れているのです。非対面であるという意味ではネットも電話も共通していると思います。

本日の(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル (((( @mixi@050630(05/06/30)
メールカウンセリングやチャットカウンセリング(05/07/12)
ネットカウンセリングについて改めてまとめてみる(05/12/20)
そこが一番知りたいところなのですが…>日本オンラインカウンセリング協会様(06/02/17)
人の命を扱っているのだということに対する自覚を(06/12/13)

各エントリ本文中に記載されているリンク先については、リンク切れになっているものも多いので若干分かり辛いかと思いますが、是非ともコメント欄も含めてお読みいただけたらと。

さて、その上で通りすがりさんのコメントにある質問にお答えいたします。

心理療法という言葉は使っていないようですが、セラピーという言葉にロテ職人さんは引っかかっていると思います。セラピーではなく、コーチングという言葉を使えば解決するものと思いますか?

RAPPORT(ラポール)』というサービスについて私が引っかかっているのは、それが「電話による」カウンセリングサービスだからです。

対面であれば、セラピーであろうとカウンセリングであろうとコーチングであろうと、何でもいいです。

ですので…

ライトなサービスですので、しっかりしたアセスメントができないのは仕方ないと思います。

とのことですが、問題なのは「ライトなサービスだからしっかりしたアセスメントができない」ことではありません。「電話によるカウンセリングサービスだからしっかりしたアセスメントができない」のが問題なのです。

極論ですが、このサービス提供者側が、「通院していないこと」の証明をそもそもする必要はないと思います。

ちっとも極論ではないです。むしろこの点は最低限クリアしておかねばなりません。

RAPPORT(ラポール)』を運営されている方はわかっていると思います。彼らが対象として想定している以外のクライエント、具体的には精神科受診中の(あるいは受診する必要があるのだが受診していない)クライエントが来た場合には対応できないのだということを。

あくまでも対象は「健康な人」であり、それ以外の人が来た場合には悪影響を与えてしまう可能性はわかっているはずなのです。

だからこそわざわざ「※現在、精神科・心療内科に通院中の方、抗精神病薬・抗うつ薬などを服薬中の方はご利用いただけません」と断り書きをしているのだと思います。

それでもこうした「想定している以外のクライエント」がサービスを希望してくる可能性もあるわけですよ。精神科・心療内科に通院していることを「スティグマ」であると捉えるような患者が、こうしたサービスを受けることでそのスティグマから逃れられると思うということもあるかもしれません。

それでそのクライエントが悪影響を受けてしまった場合はどうするのでしょうか?

「運営側は最初にちゃんと断りを入れているでしょう?それを破ってきたんだから自己責任ですよね」という意味で免責事項として記載しているのだとしたら最低ですよね。

それも「ビジネス」としてはアリなのかもしれませんが、私の専門家としての倫理に照らし合わせればナシです。完全に。もしそれをアリだとする臨床家がいたとしたら、私はその臨床家を同業者とは認めたくないですし、間違いなくその臨床家はク○だと思います。

繰り返しますが「健康な人向けのカウンセリング・ライトなサービス」自体はアリだと思います。その前提として、その対象者が「健康な人である」というアセスメントがなされているのであれば。

そして「ネットや電話を介したカウンセリングサービス」も、対面でのカウンセリングサービスに繋げるためのものであるか、あるいは1回限定の単発のカウンセリングであるならばアリだと思います。でも電話やネットを使っているというお手軽さがなければビジネス的に大きなセールスポイントが損なわれるでしょうし、単発のカウンセリングではビジネスとして成立しないでしょう。

そんなわけで、ネットや電話を介した健康な人向けのカウンセリング・ライトなサービスを真に有益なものとして成立させるのは不可能だと私は思うのです。

そもそも、健康な人向けのカウンセリング・ライトなサービスというのはビジネスとして成立するのでしょうか?

健康な人がライトなサービスでするような内容の相談というのは、まずは家族や友人にするのではないでしょうか?それでも解決しない場合の最終手段として、こうしたサービスを利用するということになるのでしょうが…そんなに需要があるのでしょうかね?

RAPPORT(ラポール)』の運営者は、あまり需要がない可能性があるのをわかっているからこそ「2014年12月20日(土)までの期間限定サービスです」ということで実験的にやってるんじゃないでしょうか。

そんな感じです。

…あ、細かいことですが、『RAPPORT(ラポール)』についてとても気になることがあります。

RAPPORT(ラポール)』のサイトに掲載されている「カウンセラー」の紹介を見てください。…皆さん、なんで苗字だけなんでしょうか?フルネームでググられたりすると、なんか不都合でもあるんでしょうか?

信用を得たいのであれば、最低限、フルネームでカウンセラー名を公開するくらいのことはすべきではないでしょうか(もし、他の場所でフルネームを公開されているのであれば気づかない私の不注意です。その場合は謹んでお詫び申し上げます)。

カウンセラー自身の希望なのか、それとも運営側の何らかの意図があってのことなのかわかりませんが、信頼関係(そうラポール!)が重要なこの手のサービスでは、こうした情報公開の面での不備は致命的だと思いますよ。

さらに言えば、経験年数が長けりゃいいってもんでもないですが「全員経験豊富なカウンセラー」を謳っているわりに「カウンセリング歴2年」ってどうなんでしょ?

ということで、引き続き皆様からのご意見・ご感想をお待ちしております。

コメント欄でも構いませんし、TwitterFacebookなどでもお気軽にどーぞ。

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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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