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会話型見守りサービス“こころみ”を紹介するChikirinの日記の論調が次第に怪しい方向になってきている件

マーケット感覚を身につけよう

超有名ブログ、Chikirinの日記の15/05/02の記事、話し相手を雇う時代へで、こんなサービスが紹介されていました。

http://tsunagariplus.cocolomi.net/
【つながりプラス】一人暮らし高齢者向け会話型見守りサービス/株式会社こころみ

ブログ記事から引用します。

「こころみ」では、毎週 2回、契約者の自宅に電話をし、毎回 10分程度、何気ない会話をする(というか、話を聞いてくれる)というサービスを提供しています。

電話をかけてくるのは決まった担当者(二人一組のどちらか)で、しかも、初回契約時には自宅(もしくは自宅近くの指定の場所)まで訪れて、本人とリアルな面識を作ってからのサービス提供となるので、人見知りな性格の方でも安心というわけ。

といっても多くの場合、契約者は離れて住む子供(夫婦)で、つまりこれ、一種の見守りサービスでもあるわけです。

一瞬「ありがちな電話カウンセリングサービス?」と思ってしまったわけなのですが、「高齢者を対象とした見守りサービス」と考えれば、確かにこれは「アリ」なのかもしれないなあと思いました。

これが「アリ」なポイントは「何気ない会話をする」だけだというところです。

実際のところ「話を聴くだけ」「会話をするだけ」でも、それ相応の技術は必要だったりもするのですが、まあ「カウンセリング」とか「セラピー」とか言わなければ、それはそれでアリなのかなと思った次第であります。

それでも色々と気になる点はあって、例えば

すでに成人した子供にとって、自分の父親や母親に週2回、電話をかけて、話をきいてあげるって、案外難しいんです。

共通の話題もないし、価値観も違う、相手の人生や生活のこともよくわからない。忙しい中、週2回も電話して、前回と同じ話ばかり聞かされたりしたら、どう反応していいのか戸惑うばかり。

とはいえ、自分が親になればわかるけど、これまで自分をどれだけの愛情をもって育ててくれたかと考えれば、年に数度しか連絡しないまま放置するのも「ヒトとしてどーなのか?」とも思う・・・でしょ?

いやいや。ホントに“年に数度しか連絡しないまま放置するのも「ヒトとしてどーなのか?」”と思うなら、週2回(それが無理なら週1回)くらいの電話はすりゃあいいんじゃない?と思うわけなんですけれども。

単なる安否確認(=見守り)目的ならば

「もしもしー。私。げんきー?うん、こっちも元気。それなりに仕事してるよ。うん。わかった。そんじゃーねー」

…ってな感じのテンプレート的な会話だっていいわけじゃないですか。

その会話が面倒で、それを他人がやってくれること対して入会金10000円+月額8000円の価値があると考えるのならば、まあそれはそれでいいんじゃないかな、と。

それにどの程度の需要があるかは結構微妙なところだとは思いますが。

関連して、この仕事を担当する「コミュニケーター」なる方々が、どの程度の報酬を得ることが出来るのかは結構気になるところ。

こころみのコミュニケーターは、親御さんを訪ねて「顔見知り」になり、毎週2回のお電話を担当する、コミュニケーションの専門家です。

こころみのコミュニケータご紹介 | つながりプラスより

うーん。「コミュニケーションの専門家」ですか…。その「専門家」の専門性に見合った報酬は果たして得られるのだろうか?というのが気になります。

週2回。約10分で料金は8000円。さすがにその全部がコミュニケーターの報酬になるとは思えないので、仮に取り分を50%の4000円としましょうか。20分4000円で時給換算すると12000円!

わーお!

なかなかすごい数値が出てきました…とは言え、仮に50%としただけの話でもっと激しくピンハネされている可能性はあります。30%が報酬になるとしたら、20分2400円。時給換算すると7200円。これでも結構なお値段です。

さらに気になるのはこちら。

実はこの「こころみ」のサービスでは、週2回の電話の会話内容はすべて書き起こされ、その日のうちに依頼主の子供がネットで確認できるんです。だから、

「最近、腰が痛い」 「食欲がなくて」 「目の前がかすれてる」 ・・・みたいな、病気の前兆かもと疑われるような話も、子供側で瞬時に把握できる。

押し売りや押し買い、オレオレ詐欺的なアプローチがあった場合も気がつきやすくなるだろうし、数回かけ直しても電話がつながらなかった場合は、子供側にその情報が知らされるから万一の時も早期に対応がとりやすい。

この書き起こし作業は誰がするのか?ってところです。何となくですがこれ、コミュニケーターさんの仕事なんじゃないかと思ったり。そうなってくると、さらに時給は下がるわけですが…どうなんでしょうか。

あ、発見。

つながりプラスでは、担当コミュニケーターが親御さんとの毎週2回の電話での会話内容を「聞き書きレポート」としてすべて語り口調でご家族にお送りします。

「つながりプラス」聞き書きレポート | つながりプラス

だそうで。やっぱり書き起こしするのは担当コミュニケーターなんですね。10分間のやり取りを逐語で書き起こすのに、相当慣れていれば20分…で出来るかなあ。

顧客の都合に合わせて確実に電話をかけて会話をし、会話終了後速やかに書き起こしをする…実は結構手間がかかりそうな気がしてきました。

それでもただ「聴くだけ」ならいいんです。いいんですが…

第2、第3の紹介記事を読んでいくと、だんだん雲行きが怪しくなってきます。

例えば、15/05/08の赤の他人と話す価値を読んでみると…

「身内には言えないけれど、見知らぬ人にならポロリと漏らしてしまうかも」ってことは、高齢者じゃなくてもたくさんあるんです。

大学を出たばかりの若者が過酷な条件の職場で働くことになり、過労で“うつ”になったり、ひどい場合は自殺してしまったり、という事があります。

こういうケースでも、本人が素直に弱音を吐け、かつ、客観的にアドバイスできる人が近くにいたなら、難を逃れられた場合も多いはずです。

こういった若者に関しても、“こころみ”のコミュニケーターのように、「親でも子でも友達でもない」他人が、週に 2回、10分間、定期的に話をしてくれていたら、どうだったでしょう?

…えーと、ちきりんさんは「カウンセリング」とか「心理療法」とか「サイコセラピー」とか、そういう概念についてご存知ないのでしょうか?

彼女のプロフィールはブログでは公開されていませんが、27歳でカリフォルニア大学バークレー校に2年間のMBA留学をしている方であり、米国におけるカウンセリング文化については知らないはずはないと思うのです。

さらに第3回。15/05/12の“ちょっとしたバイト”から高スキル人材へでは…

“こころみ”のサービスで 鍵となるのが、“コミュニケーター”と呼ばれる人達です。

自宅で、しかも隙間時間にできる仕事なので、子育て中の主婦や、わざわざ外に働きに出たくない人向けの“ちょっとしたアルバイト”にも見えるこの仕事、

実は、高度なスキルをもつプロフェッショナル人材になれる可能性もある分野です。

あー、なんか怪しげな資格商法的な臭いがピンプンとしてきましたよ。

単身高齢者との会話であれば、

・認知症や“うつ”の症状が進んでいないか
・大病にもつながる体の不調を感じていないか
・きちんと栄養を取っているか
・オレオレ詐欺や押し買い、高額商品の訪問販売や不要なリフォーム業者などからのアプローチを受けていないか

などを、なにげない会話から巧く拾い上げられるコミュニケーターがいれば、その人を“指名”して自分の親への電話を担当して貰いたい(もちろん指名料金を払う!)と考える人や、そういう人を雇って、地域の高齢者の見守り事業を始めようと考える自治体も現れるからです

週2回、10分の会話で、果たして認知症や抑うつのアセスメントが可能なのか?素人に毛が生えた程度の人々に?

どんどん疑問は湧いてきます。

それで精度の高いアセスメントが出来るのであれば、それに超したことはないのですが、本当に可能なのですか?正直、信じられないです。

また、会社側が専門のコミュニケーターを雇い、その人が、うつ病で休職する社員に定期的に電話をし、いろんな話を聞きだして、

(今の“こころみ”のサービスで行われているように)その会話をすべて文章で保存するという制度を、企業が福利厚生策の一環として導入すれば?

産業医(会社の顧問医師)がその会話内容を見て、病気の素となった職場要因を見極めたり、復帰のベストタイミングを推し量ったりするのに役立つし、

さらには、復帰後も定期的に同じコミュニケーターと話すことで、再発の可能性を最小化できそうでしょ?

えーと…産業カウンセラーって資格もありますし、EAP(従業員支援プログラム)サービスも近年では色々とあったりしますが、そういうのご存知ない?個人的には「聞き出す」って表現も何だかなあとは思いますが。

ブログ記事後半の「マーケット感覚」の話になってくると、カウンンセリング業界に関する筆者の無知(あるいは意図的に無視している?それはそれでタチが悪い)が露呈します。

それを踏まえた上で

みんな(マジで)マーケット感覚を身につけよう!

と言われてもねえ…という感じです。

そして改めてつながりプラスのサイトを見てみると…

こころみのコミュニケーターは、高齢者との対話およびその報告に必要な独自の訓練を受けています。高齢者が安心して会話を楽しめるような受け答えだけではなく、ご家族への報告を目的とした情報収集の方法論、認知症発見のための会話術、レポーティング記述に関する訓練などを実施しています。

弊社ではこれらを体系化し、つながりプラスコミュニケーター1級から3級までの資格制度として、実技試験・筆記試験に合格した者のみをコミュニケーターとして採用しております。

こころみのコミュニケータご紹介 | つながりプラス

これ無料で訓練を受けられて、無料で資格取得が可能…なはずはないですよね。

結局、自前のカウンセラー養成プログラム&資格制度を作り、そして資格取得後は自分のところで安く雇う…というありがちなパターンである可能性が極めて高いということがわかりました。

関係者各位におかれましては色々と異論・反論・オブジェクションがあるかとは思います。この記事へのコメントだけでなく、TwitterやFacebookでのコメントもウェルカムでございます。

とりあえずワタクシ的には「期待して損した」ってところでしょうかね。

そんじゃーね!

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  1. 僕がこのサービスをやるとしたら、高齢者の交流会やイベント、出会い系も一緒にやる。収益は電話サービスだけにする必要ない。孤独な高齢者は増えていく。臨床心理の人達はどう働きかけていくのか、来訪者を待つだけなのか。


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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