メンタルヘルスケア事業者の集まりにお招きいただいて自分とネットとケアとの関わりについて改めて考えてみた(後編)
ドドドーン!
というわけで、ついにこのシリーズ最終回です。
未読の方はまずは過去ログをどーぞ。
・メンタルヘルスケア事業者の集まりにお招きいただいて自分とネットとケアとの関わりについて改めて考えてみた(前編)(15/10/16)
・メンタルヘルスケア事業者の集まりにお招きいただいて自分とネットとケアとの関わりについて改めて考えてみた(中編)(15/12/08)
…で、本題に入る前に告知というか宣伝的な感じで。このシリーズで書いております集まりにも参加されておりました、オンラインカウンセリングのcotree(コトリー)を運営されている櫻本さんが、つい先日ブログを開設されたそうで。
Twitterでもつぶやきましたが、お忙しいことと思いますので、無理せず続けていただければと思った次第。皆様もよろしければご覧くださいな。
・・・・・・・・・・・・・・・
さてさて、改めて本題です。前回、どこまでお話しましたっけ?えーと…そうそう。私の話が終わったというところまででした。
続いて、各事業者の皆様による提供されているサービスの説明タイムです。さすがに皆さん、ご自身のサービスについて自負を持ってらっしゃるのが伝わると同時に、大変わかりやすい説明でございました。
それでも私としては「やっぱり基本は対面で」ということなのです。その時も言ったのですが、その最大の理由は「オンラインではアセスメントが困難」であるためです。もちろんこの場合、「アセスメント」=「心理検査」ではありません。もっと広い意味での「見立て」のことです。
当たり前の話ですが、見立てができなければ方針も立てられません。方針が立てられなければ援助を開始することはできません。本来であれば「見立てなしでの援助」は「臨床心理学的介入」であるはずがありません…が、そういう介入をしてる心理職は少なからずいるよなあって辺りはまた別の(でも重要な)問題。
とにかくアセスメントが困難であるということは、臨床心理学的な介入を行う場合に致命的な問題となり得るわけです。その意味ではオンラインでの介入はそこらにいる経験の浅い臨床心理士にできるもんじゃないはずなのです。
ただ、この会合に出て思ったのです。
「いつまでも出来ない出来ないと言っているのは芸がないよなあ」
と。
どんなに頭に「自称」がついたとしても「自分は臨床心理学者だ」と思うのであれば、「出来ない出来ない」とバカみたいに連呼するのではなく、オンラインで「何が出来て何が出来ないのか」を明らかにするべきなのではないか、と。
そして、私は自分の研究テーマの柱は「心理アセスメント」だと思っております。ならば「オンラインでの心理アセスメントの可能性と限界」というのは重要な研究テーマになり得るのではないか、と。
あ、あと私はネット大好き人間ですからね。10年以上ブログを書いてきて、Twitterのフォロアーも9000人(スパム垢も多いですけどね〜)に届く勢いで、ネットのおかげでこのシリーズで取り上げた会合を含め多くの方と出会うこともできて。そんな私だからこそ、今改めてネットとケアとの関わりについて研究すべきなんじゃないかと。研究せねばならないんじゃないかと。
とにかくそんなことを考えたのです。
まずは目の前にある課題をとにかくクリアしていくことが必要なのですが、それでもいつの日か…と言ってもそれほど遠くない将来、オンラインでのメンタルヘルスケアについて自分なりに研究したいと思ったのでした。
この会合、最初は色々不安なところもありましたが、こんなことを考えられたというだけでもお招きいただいて、勇気を出して参加してみて良かったと思います。もちろん、多くの方とお会いできたことも私にとっては大きな収穫でした。
企画された方々、参加された方々には大変感謝いたしております。そして、またこのような機会がありましたら、ぜひお呼びいただければと思います…また何か話せと言われると、さすがにもうネタ切れかもしれませんけれども…。

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