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「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(中編)

さてさて、昨日のエントリ、「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(前編)の続きでございます。未読の方はまずはそちらからどーぞ。

本題に入る前にまずは前置きなのですが、これから書く内容はあくまでも「現在の」ワタクシの見解です。現在私が得られる情報を、私なりに客観的に判断した上で導き出した現時点での考え方であり、今後、信頼できる新たな情報が手に入った場合にはこの見解も変わってくる可能性は十分にありますし、新たな情報が入ってこなかったとしても考えを変えることはあるかもしれません。

その辺りを踏まえた上で、皆様からは様々なご意見をうかがいたいところでございます。ワタクシの見解を根こそぎ変えるようなご意見から、ご賛同の意見まで、何でもウェルカムですが、誹謗・中傷はご勘弁ということで。

そもそも「移行」は実現可能なの?

まず皆さんにうかがいたいのが「日本臨床心理士会を公認心理師の職能団体へ移行する」のは可能であるとお考えですか?ということであり。

普通に考えれば不可能ですよね。もしそれが可能であると本気で考えている人がいるとしたら、かなりおめでたいというか、正直、知的能力の問題かあるいは思考障害を疑うレベルだと思います。

それができないのは政治下手だからとか、交渉下手だからとか、そんな問題ではないですよ。

公認心理師法案の成立は、日本臨床心理士会単独での功績ではありません。様々な葛藤を抱えながらも心理職の国家資格化を推進する三団体が協力して、初めてなし得たことなわけです。

そんな中で、一民間資格の一職能団体に過ぎない日本臨床心理士会がそのまま国家資格保持者の職能団体にスライドするなんて、とんでもない抜け駆けであり他の資格団体、職能団体からすると許される行為ではないのですよ。

そう考えていくと、これがいかに非現実的なことであるかがわかるわけですよ。

単なる「名称変更」じゃなく、実質的な「臨床心理士の国家資格化」

既に述べたようにそんなことは絶対にありえないのですが、仮に日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体になったとしたら、どんなメリットがあるのか、どんな利益を享受できるのかを考えてみましょうか。

「考えてみましょうか」なんて言いましたが、この辺りは前回も取り上げた「公認心理師」成立を応援するブログの16/06/13のエントリ、公認心理師、職能団体のゆくえでガッツリ書かれておりますので、手っ取り早く引用しちゃいましょ。

・すでに心理専門職として全国に普及している臨床心理士の多くが公認心理師を経過措置で取得し、各現場で臨床心理士がそのまま公認心理師として働くという、もっとも混乱の少ない移行を、公認心理師協会(旧臨床心理士会)がリードしサポートして行うことができる。

・役員体制や事務局体制をそのままにして臨床心理士会が公認心理師協会に移行することによって、臨床心理士会の現体制がそのまま公認心理師協会のリーダーシップをとることができる可能性が高まる。

・臨床心理士会の組織力、役員体制、事務局体制などをそのまま公認心理師協会に引き継ぐことによって、公認心理師協会の立ち上げの資金力や労力を臨床心理士会が提供することができる。

…これってつまり小見出しにも書いちゃいましたが、実質的には「臨床心理士の国家資格化」ですよね。名前は変わってしまいますが「臨床心理士会=公認心理師協会」なわけで、国家資格として得られる利益をそのまま丸ごといただけるという。大変美味しいです。うまうまです。

余談ですが、割と最後まで「国家資格創設の流れの中で臨床心理士だけ優遇して欲しい!」「臨床心理士の国家資格を目指さないのはどういうことだ!」的な主張をしてた職能団体、ありましたよね…おヒマでしたら過去ログどーぞ。

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さらに、日本臨床心理士会が出した公式文書としての「資格問題の諸情報・電子版速報 No.24」にはこう書かれているわけですよ。

2)公認心理師の職能団体として当会が責任と役割を果たすための組織体制を検討すること。
 この項目は第4回理事会決議の実現に向けての課題となります。

3)新たな組織体制において、懸案であった公益法人化を図ること。
 当会が公益認定を受けることが困難であったのは、時期的に国家資格が検討されている状態であったことも関係しているようです。国家資格の職能団体であれば公益法人化の困難はクリアできるので、2)に引き続きこれに取り組むことになります。

この3)はまさに「国家資格の職能団体として得られるメリットを日本臨床心理会がゲット」=「実質的な臨床心理士の国家資格化」って話っすね。

ってなわけで、やっぱりどう考えても実現不可能なお話なのです。

あ、もちろんそのメリットを享受できるのは公認心理師資格を取得した人のみです。公認心理師資格を取らなかった臨床心理士資格保持者は当然のことながら利益は得られません。

その場合、取らなかった人はどうなるの?…って問題も新たに出てくるわけで、そんな問題に関わるめんどくささを考えても、「移行」はありえないことなのです。

で、誰がそれを言い出したの?

さて、ここに至って腑に落ちない点が出てきます。

この「移行」の話は誰が言い出したのか?ということです。

臨床心理士有志の会(@cpyuhshi2013)さんのツイートを引用します。

ここが本当に腑に落ちないのです。

他の職能団体、学術団体と慎重な交渉をし、協働してきた「村瀬-奥村体制」ってのが、実現不可能な「移行」を本当に言い出すか?ってことですよ。

一番わかってる人たちだと思うんですけどね。それが不可能だということを。

わかってないのだとしたら、相当「頭のおかしな人」だとワタクシなんかは思いますけど。

例えれば、みんなで苦心して世界記録を目指してドミノ倒しのドミノを並べていて、第三者がその制作過程を詳細に見てきている中で、突然、「これは俺が一人でやったんだ!」「俺一人の功績だ!」って言い出して、一人で最初のコマを倒す、と。んなもん、フルボッコじゃないですか。

これまで散々苦心して法案成立までこぎつけて、自らちゃぶ台返しをするのか?ってことですよ。

あるいは法案は通っちゃったんだから、あとはやったもん勝ちでOKってことですか?

そう簡単にはいかないですよね。

そもそも内部からすらこれだけ反対意見がでているわけで、それすら予想できなかった?

もしくは私が思いもつかないような、「移行」を成立させるウルトラC(C難度どころの話じゃない)があるんでしょうか?

ここから導き出される結論は…

と、ここまで考えた結果、ワタクシの中では一つの結論というか仮説が出てくるわけですが、またまた長くなってしまったので続きは月曜日の朝にでも。

皆様のご意見、お待ちしております。それ次第では月曜の内容も変わってくるかも、ですが。

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よろしくお願いいたします。

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