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「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(後編)

いつも怒っている父さん

このシリーズもついに完結…するのかどうか実は微妙です。書いてみて長くなりそうだったらまだ続くということで。

過去ログを未読の方はまずはそちらからどーぞ。

「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(前編)(16/06/16)
「日本臨床心理士会が公認心理師の職能団体へ移行する?」という問題に対する現在のワタクシの見解(中編)(16/06/17)

で、前回の更新が先週の金曜日。本日は16/06/20の月曜日。

正直、前回の更新の時点で「現在のワタクシの見解」というのはある程度固まっていたのですが、週末にネット上の皆様のご意見を拝見した上で色々と考えた結果、かなり見解は変わりました。

最初にその背景というか、今回のことに限らず私が「ネット上の情報から自分なりの見解を導き出すこと」について述べさせていただきたいと思います。

ネットの情報から判断するのは難しい

言うまでもなく、ネットの情報はその取り扱いが非常に難しいです。

ある程度「公式」な情報、つまり文責が誰にあるのかという辺りが明確な情報の場合はそれなりに信用できますが(それはネット上に限らずそうなんですけどね)、SNS等ではそうではない情報があふれかえっているわけですよ。

その情報の一つ一つの真偽をいちいち確認していたら、どんなに時間があっても足りません。

なので、ワタクシは基本的にその手のネット上での発言関しては、その全てが「物事を自分に都合の良いように進めることを目的とした発言」であると理解するようにしています。

ソースが明らかであれば、そのソースを見て判断しようとは思っているのですが、ソースが明らかでないものは全てその真偽を判断することは放棄してます。なぜならば時間がもったいないから。

とにかく、ネット上の情報から判断する際のワタクシの方法はこんな感じになっているのだ、という辺りが今回のお話の前提です。

「日本臨床心理士会を公認心理師の職能団体へ移行させようとする人」は「頭のおかしい人」なのか?

このシリーズの前編・中編で私が述べてきたのは、ざっくりまとめると「日本臨床心理士会を公認心理師の職能団体へ移行させるなんて、正気の沙汰ではない」ということでした。

なぜならば、それは公認心理師法案成立までの過程で他の心理職・資格関連団体や学術団体との間で築き上げてきた信頼関係を破壊するに等しい行為であり、そうした信頼関係を作るのに腐心してきた方々がそんなことをするとは到底考えられないからです。

さらに、おそらく多くの臨床心理士資格保持者はそれに反対するだろうと思ったのです。実際に、この動きに対してネット上の意見はその多くが「(移行に対して)反対」となっております。

論理的に考えていくと、どう考えてもいわゆる「村瀬-奥村体制」って人たちが「移行」を言い出すのはありえない。もし言い出すのだとしたら「頭がおかしくなった」としか思えない。

でも、そんなこともまたありえない話で、じゃあ何でこういう話が出てきたのか…と考えた時に「村瀬-奥村体制」を崩壊させたい勢力がそういうことを言い出したのだ、と考えるのが一番納得できる話だと考えておりました。

先週の金曜日までは。

多くの臨床心理士は「賛成」かも

確かにネット上での「世論」は、「日本臨床心理士会を公認心理師の職能団体に移行する」件について「反対」が大勢を占めております。

でも、この件に関してネット上で発言している人たちって、資格問題に対して関心が高く、情報もそれなりに集めていて、その上で自分自身で考えている人たちなわけですよね。

そういう臨床心理士資格保持者は、実は少数派なんじゃないでしょうか。

少なくとも自分の身の回り、半径50km圏内の話として考えると、ネット上で意見交換をしている人たちと同等の情報を持っていて、そして資格問題に関して自分自身で考えて発言できる人がどの程度いるかというと…正直なところ、片手で数えられるくらいの人数かもしれません。

で、おそらく多くの臨床心理士にとって、少なくとも自分達のことだけを考えた場合、この「移行」の件は実はマイナスにならないのですよね。

臨床心理士と公認心理師のダブルライセンスになった時、職能団体が別だと資格を維持するコストも、当然それぞれ一つだけ持っている倍近くになってしまうわけです。そして、臨床心理士の資格更新はただ「面倒なだけ」のものであると捉えている人も少なくないでしょう。その意義も考えず、ただただ「決められているから」という理由で更新している人は多いと思います。

そんな人たちにとって、職能団体の「移行」は「渡りに船」なわけですよ。「楽だから良い」のですよ。

…と考えていくと、私が述べた「多くの臨床心理士は移行に反対」というのは、あくまでも「ネット世論」でしかなく、実はリアル場面で多数決をとってみたら「賛成」が圧倒的多数で勝利しそうな気がしてきました。

いや、私個人は「断固反対」なんですけどね。

自分のことだけを考えれば、私も「移行」で損をするわけではないのです。少なくとも短期的な視点に立てば。

長期的、巨視的に考えると、やっぱり色々問題はありそうなので、私は「断固反対」です。

残る問題は「他の職能団体・学術団体のコンセンサスを得られるか」ですが…

きっと日本臨床心理士会の上層部は勝算があったわけですよね。臨床心理士内部での意見をまとめ上げ、コンセンサスを得ることに関しては。

そういう意味では「移行」を言い出したのは「頭がおかしくなった」からではないように思えてきます。

そして残る問題は「他団体のコンセンサスを得られるか」です。

全ての団体のコンセンサスを得ることはまず間違いなく不可能です。

その辺りをどうするかですよね。ある程度多数の団体からのコンセンサスを得て「移行」するのか、それとも全くそれなしで押し切るのか。

もしかしたらその辺りに関しての「密約」はあるのかもしれませんが、我々にはその辺りは全くわかりません。

でも少なくともこの「移行」話は、私としては最初の時点では「自爆テロ」みたいなものにしか思えなかったんですが、こうやって考えていくとそれなりに現実味を帯びてきました。

損をするのは…

この「移行」がなされた場合、一番損をするのは誰か?

それは「公認心理師を取得しない(したくない)臨床心理士」だと思います。

「移行」の話って、そういう人たちを切り捨てることに等しいですよね。

だって「臨床心理士」自体がなくなりかねない話なわけですから。少なくとも臨床心理士資格制度は、現在とは大幅に形を変えねばならなくなるでしょう。

ネット上で反対している中には、そういう人たちも多いかもしれません。

とにかく「現時点での」私の考えはこんな感じであり、今後また変わっていくかもしれません。

あんまりまとまっていませんが、今はそんな感じです。

引き続き、皆様のご意見、お待ちしております。

・Twitter ID:@rotemeister
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よろしくお願いいたします。

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コメント/トラックバック (1件)

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  1. あの・・・「村瀬ー奥村体制(?)」は、公認心理師を取らない臨床心理士も、新しく移行する団体に組み入れると言っているので、反対派の理由はそこではないのではないでしょうか。
    反対派の主張は、臨床心理士として培ってきたものが、他の人たちが入ってくると、崩れる=質が下がるということだと思います。要するに、臨床心理士以外の人たちは質が低い。そんな人たちと一緒にされたり、一緒に研修するのは嫌、ということなのでは?
    公認心理師が出来ることはもう仕方がないけど、元々の臨床心理士のコミュニティは死守したいという事でしょうね。


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  • 某総合病院精神科勤務の臨床心理士であり臨床心理学者(自称)。なんだかんだで2児の父。妻との仲もそれなりに良好
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