日本心理研修センター主催の #公認心理師 #現任者講習会 参加レポート その3
さて、2日目でございますよ。
過去記事未読の方はまずはそちらから。
・日本心理研修センター主催の #公認心理師 #現任者講習会 参加レポート その1(18/02/03)
・日本心理研修センター主催の #公認心理師 #現任者講習会 参加レポート その2(18/02/03)
いやいや、2日目もなかなかアレな感じではございましたが、なんとかクリアしました。
本日のご報告!…の前に、昨日の記事、その2の方の事例問題の記載についてTwitterにてコメントいただきましたので、補足説明したいと思います。
公認心理師資格試験における「事例問題」と現任者講習会における「事例検討について
元木敬太@SNSコーチングやってます(@KeitaMTK)さんからのこちらの指摘です。
そーゆー事例問題は出ないんだよな。残念ながら… https://t.co/IvNYNWWqBr
— 元木敬太@SNSコーチングやってます (@KeitaMTK) 2018年2月3日
これって、この部分に関するご指摘ですよね。
「事例検討」ってどうすんのかな?と思ったんですが、架空の事例の概要が提示されて、それを参加レポート その1でもおこなった「個別検討→小グループ討論→全体共有」の流れに基づいて討議します。
90分で3事例、つまり1事例30分程度で全体共有までいくので、事例提示もパワポスライドで4、5枚程度です。情報量は少ないし、その程度のことしかできません。
そして同時に資格試験で「事例問題」が本当に出るのだとしたら、やっぱりこの程度のことしかできないだろうなあとも思います。
サポーティブな討論が必要になる事例問題です。臨床心理士試験も確か、マークシートだったかと。マークシートかどうかは関係なく、国家試験の事例問題は知識を問う問題なので、「討論→答え合わせ」となるような問題しか出ません。「この程度」がこのようなことならば、そーゆー問題は出ますが。
— 元木敬太@SNSコーチングやってます (@KeitaMTK) 2018年2月4日
私の書いた「その程度」「この程度」というのは悪い意味で書いてます。端的に言えば「そんな事例検討(事例問題)には意味がない」ということなのですが、最初に「そーゆー事例問題は出ないんだよな。残念ながら…」とおっしゃられたので、元木敬太@SNSコーチングやってます(@KeitaMTK)さんにとっては意味のあることなのだなと思われたので、そこで私の側に混乱が生じてしまったのですよね。
この現任者講習会の事例検討において、なぜ「サポーティブな討論」がルールとして決められなければならないのかというと、単純に時間がないからです。
既に述べたように30分で「個別検討→小グループ討論→全体共有」まで行うということで「小グループ討論」の時間は多くて10分程度です。10分で討論を終わらせなければならないので、「一人の発言時間は1分」やら「一巡法」やら「サポーティブな議論」やら、これは書かなかったかもしれませんが「自分が体験した事例については話さない」というルールが必要になるのですよね。
さらにこの事例検討、「全体共有」の最後は答え合わせではないですけど、講師の先生が「模範解答」的なコメントをします。
こんな事例検討なんて、ただただ「やりました」というアリバイ作りというか、自己欺瞞というか…その程度のものでしかないですし、さらに同じような問題が国家試験で出されるのだとしたら、やはり単に「臨床っぽい問題出してます」ってだけのことでしかなく。
そもそも答えが一つしかない問題を作成するのに、事例問題なんて全く馴染まないわけですよ。
そんなこんなで、とにかく「その程度」「この程度」の事例検討も事例問題も全く意味がないっすよね、という話でございました。
そしてようやく2日目の内容に入ります。
I 精神医学を含む医学に関する知識1・II 精神医学を含む医学に関する知識2
1コマ目(9:00〜10:30)・2コマ目(10:40〜12:10)は現任者講習会テキストのp.142の「III-精神医学を含む医学 3. 精神疾患総論」と「4. 向精神薬をはじめとする薬剤による心身の変化」の内容です。
昨日が全てDVD講義であったのに対し、1コマ目〜4コマ目は生身の講師による講義となります。この時間の講師は某私大附属病院所属の精神科医だったわけですが、その教室のサイトを見ても紹介がない所を見ると、そんなに偉い人ではないかもです。
ボソボソーっとしゃべる感じは「こういう精神科医っているよねー」的な感じでした。
そして恐らく「全ての会場で同じ内容でなければならない」という原則を遵守するためか、パワポのスライドを提示しつつ、それに対応するテキストのページをボソボソと読んでいくのがメインでした。一応途中にその講師なりの見解みたいなものは挟みつつですけど。
で、精神疾患の総論と精神薬理の基本を2コマ、180分でやろうってのがそもそも無理な話なのですが、無理矢理終わらせるのでした。
「あー、なかなかわかりづらい講義だったなあ」とその時は思いました。
まさかその10数分後、それをはるかに凌駕するレベル(悪い意味で)の講義を体験しようとは夢にも思っておりませんでした。
III 精神医学を含む医学に関する知識3・IV 精神医学を含む医学に関する知識4
前半が精神医学に関する講義であったのに対し、3コマ目(13:10〜14:40)・4コマ目(14:50〜16:20)は医学全般に関わる内容でございました。
1コマ目・2コマ目とはまた違う講師の先生です。最初に軽く紹介があり、某有名私大附属病院所属の精神科医だとのことですが、第一印象は「とにかく若い」ということでした。
で、講義が始まったわけですが…これがとにかくひどかった。今まで色んな研修を受けましたが、その中でも群を抜いて、ぶっちぎりでひどい内容でした。
パワポのスライドを提示しつつの講義なのですが、現在提示されているスライドとテキストのどの部分が対応するのか、講師自身がわかってないのです。
そして、これは恐らく前半の講師にも伝えられていたオーダーだと思いますし、この講習会全体を通して「全ての会場で同じ内容の講義が行われること」を遵守するというのが重要だったはずです。だからこそ討論の時間も厳密にコントロールされなければならないし、DVDではなく生身の講師は「同じ内容で講義を行うこと」を求められ、極力自分自身の経験などの話はしないようにというオーダーがなされていたと思うのですよね。
そこでその講師が始めたのは、「ただただ提示されているスライドに対応するテキストの文章を読んでいく」ということでした。そんなことやってたら、絶対に時間は余るじゃないですか。案の定、90分でやるはずの内容を30分ほどで終わってしまい講師自身が途方に暮れるという体たらく。
結局、時間稼ぎの休憩を入れて、その間スタッフと講師での緊急会議ですよ。その結果、また始めから、今度は講師のコメントを入れつつの話となりました。
でも、そのコメントも事前に用意されているものではなく(なんで準備しないかなあ?)グダグダの内容で、挙げ句の果てに「学生時代も成績は下の方だった」とか「国試もギリギリで通った」とかそんなどーでもいい自己開示などもし始めて…聞いている方としては関西人じゃなくとも「知らんがな!」しか言えないですよ。
なんとか時間稼ぎをしながら3コマ目・4コマ目は終了。そしてこのツイートに繋がるわけです。
16:20終了のはずの4コマ目が16:00に終わった。2日目の1・2コマ目、3・4コマ目はDVDではなく講師(どちらも精神科医)による講義だったわけですが、内容、時間管理も含めて色々マズイのではないかと思われる #公認心理師 #現任者講習会
— ロテ職人 (@rotemeister) 2018年2月4日
なんでこんなことになっちゃったんでしょうか?
どうしてこうなった?
2日目の1コマ目〜4コマ目まで、スライド見ててずーっと気になってたのですが、全てのスライドの右下にこのような記載がありました。
“Copyright ©︎ Japan Psychiatric Hospitals Association, All Rights Reserved”と。
そう。この時間の講義は日本精神科病院協会様の提供でお送りしていたわけですよ。
DVD講義の作成は日本心理研修センターであり、フォーマットが全く異なっているのです。どれだけ話のすり合わせができていないかってところでございますよ。
恐らくですが、ただ一つ共通しているのは「全ての会場で同じ内容の講義がなされること」というオーダーだったのだと思いますが、生身の講師を使っている時点でそれは土台無理な話です。
さらに「いくら何でももう少しマシな講師はいなかったのか?」と思います。
今回講師を担当した方を所属先のWebページで探してみましたが見つかりませんでした。ただ、Facebookは発見したので、間違いなくそちらに所属しているのだとは思います。ただ年齢と経歴を考慮すると、多分、後期研修中の研修医だと思うのですよね。
研修医でもそれなりに能力がある人であればこなせる内容なのかもしれませんが、そのレベルの講師を送り込まれるって、公認心理師という資格はどんだけバカにされてんの?と思わざるを得ないのです。
ある意味でその講師自身も被害者みたいなものなのかもしれないので、ここで実名をさらすようなことはしません。この話を昨日ワタクシの妻にしたら「元々講師の予定だった人がインフルエンザに罹ったんじゃない?」「きっと何か弱みを握られて、やらなきゃいけなかったんだよ」と言われましたが、仮にそうだったとしても天下の某有名私大精神神経科学教室ですよ。もっとマシな人材(で時間が取れる人)はいるでしょう。
そもそもあの講義って、テキスト書いた本人じゃないとなかなか難しいと思うのです。それなりの意図があってチョイスされている内容であり、それを汲み取って話さなきゃいけないって実は相当なスキルが必要だと思います。
そんなこんなで、医学領域に力を入れなければいけないはずの公認心理師現任者講習会で、それをプロデュースする日本精神科病院協会様の認識というか意識の低さ(言っちゃった)が、あんな結果を招いてしまったのではないかと思う次第であります。
まだまだ続くよ2日目の講義
思わず熱くなってしまったわけなのですが、でもあの講義を体験した人ならわかってもらえるはず。あそこまでひどい研修はなかなかないです。ある意味、良い体験ができた…とはやっぱり思えません。
長くなってしまったので2日目参加レポートの続きはまた今度。
とにかく全体に漂っている「全ての会場で同じ内容を」というのがそもそも不可能な話で、本気でそれを目指すならオールDVD講義にしろよと思った次第でありましたとさ。

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初めてコメントします。
大阪の臨床心理士です。職歴32年、現任者講習会を受けています。大阪の2月11・12・16・17日(土日祝コース)です。
ブログの内容を読み、期待せずに2日目の講義に今日出席しました。予想に反して、素晴らしい先生お二人(国立H大学精神科)に素晴らしい講義をしていただけました。お二人の講義が終わると当然お礼の拍手が起きました。
講師の先生方が、「講義内容で説明するように」と言われていた項目が、テキストにない部分が複数あったのは、講習会の運営方の問題だと思います。そこは不満の残るところです。テキスト通りの順番でないので、何度もページ確認をしながら進みました。そんなことがあっても、参加者も協力してよい勉強をさせてもらいました。
会場により、講師により格差があるのは、やはりどうなのかと思います。
私は以前、2002年に精神保健福祉士の受験に際して、やはり現任者講習を受けましたが、今回のような混乱(席取り合戦、席が足りない)などは全くなく、テキスト6~7冊で、そこをしっかり勉強して、テキストが出題分野を網羅していたかと記憶しています。(思い込みかもしれませんが)
今回は人数の多さが、混乱に拍車をかけたのかなと思います。
2002年の精神保健福祉士の登録者数は調べると、9332名です。
2016年は78200人なので、公認心理師ももっと増えていくのかなと感じました。
ともあれ、公認心理師国家試験に関しては、もっと情報がほしいなあと思います。
ロテ職人さんが受けた講習の講師の先生とあまりに違うので、びっくりして投稿させていただきました。
こんにちは
何年も前からブログを拝読させていただいています。
このブログに書かれていることは、臨床心理士にとってとても勉強になります。
これから現任者講習会を受けるので参考にさせていただこうと思っていますが、今後も現任者講習会の続きは載せていただけるのですか?
Dルートで受験予定のものです
講習を受けた上司も、微妙な評価を下していました
生身の人間を使う以上、せめて一定水準の講習はお願いしたいものですね。それとも、医学会からするとその程度のものなのでしょうか