資格問題

日本臨床心理士会の「国家資格化をめぐるQ&A」の矛盾?…ではなく…

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矛盾

現在も議論の続いている、13/08/03のエントリ、「臨床心理士の職業的専門性と資格を考える有志の会」要望書に関する疑問ですが、このコメント欄は私と「有志の会」の平井正三氏とのやりとりが発端となっておりました。

私は色々思うところがあり、とりあえず議論からは降りたのですが、ずっと気になっていたことが一点あるのです。

それは「国資格である心理師(仮称)が出来たら、現行の臨床心理士資格はどうなるの?」ということです。

これについて、平井氏はコメントでこう述べております。

「国家資格の「心理師(仮称)」ができた場合、職能団体としての「日本臨床心理士会」はどうなるのでしょうか?」というQ5に対しては、「この(経過措置の)6年の間に、「日本臨床心理士会」は国家資格保持者を主とした職業団体に移行するか、あるいは新たに国家資格団体を立ち上げることも考えられます」(A5:カッコ内平井)とあります。臨床心理士資格制度が残るのであれば、臨床心理士会もそのまま存続すると言えるわけですから、この記述を読む限り、すでに、心理師国家資格創設を推進している日本臨床心理士会幹部は、臨床心理士資格制度はなくなると想定していると考えてよいように思います。


このQ5というのは、一般社団法人 日本臨床心理士会のサイトにある、国家資格化をめぐるQ&A(※pdf注意)という書類に書かれております。

ただ同じく、国家資格化をめぐるQ&AのQ7には、こんな記述もあるのですよね。

Q7:「心理師(仮称)」は<臨床心理士>とは別個の資格なのでしょうか?

A7:「心理師(仮称)」は<臨床心理士>とは別個の資格です。しかし、これまで臨床心理士が 20 年以上蓄積してきたシステムを反映していますので、まったく別個と言うよりきわめて類似性の高い資格と言うこともできます。また、この2つの資格の関係がどうなるかは、<臨床心理士>の資格認定協会がどのようなスタンスをとるかが鍵です。当会としては、前者はベーシックな資格、後者はより高度の専門資格となってほしいと考えています。

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日本臨床心理士会としては、「心理師(仮称)」がベーシックな資格、(現行の)<臨床心理士>はより高度の専門資格となるのが望ましい…ということです。

一瞬、このQ&A内部で矛盾が生じているのかと思ったのですが…

もう一度、平井氏のコメントを見てみましょう。

この記述を読む限り、すでに、心理師国家資格創設を推進している日本臨床心理士会幹部は、臨床心理士資格制度はなくなると想定していると考えてよいように思います。

「臨床心理士資格制度がなくなると想定していると考えてよいように」思っているのは、平井氏なんですよね。

でも、平井氏のコメント内で問題になっているQ5は「職能団体としての「日本臨床心理士会」はどうなるのでしょうか?」という質問であり、「<臨床心理士>資格がどうなるか?」という質問ではないのです。

そして、日本臨床心理士会としては「日本臨床心理士資格認定協会次第」という条件つきで「臨床心理士資格の存続を希望している」というわけです。

ここ、かなり大事なところだと思ったので、取り上げてみました。

そもそも、国資格が創設されたからと言って、関連する民間資格がなくなるというのもおかしな話です。

もしそういうことがあり得るのだとしたら、それはどんな論理でそういうことになるのでしょうか?考えてみるとわかりません。

それなら、臨床心理士以外の全ての関連資格も同様になくならないとおかしいですよね?

そんなわけで、日本臨床心理士会のQ&A内で矛盾が生じているのではなく、平井氏が(意図的になのか、それとも意図せずになのかはわかりませんが、少なくともあのコメント時点では)読み誤ったということでよろしいのでしょうか?

それとも現時点で私の理解が間違っているのでしょうか?私の理解力の低さを考えると、それも十分にあり得る話です。

教えて!偉い人!(←自分で考えるのを放棄した)

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