臨床心理学

「『自分の担当カウンセラー』を誰もが持つ時代」は誰にとっての理想郷なのか?

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基本的に我々の職業ってのは利用しないに超したことはないと思うのですよ。
そりゃそうですよね。自分で解決できることであれば自分で解決した方がいいでしょうし、家族や友人の手助けがあれば解決できることならそれはそれでいいでしょう。
もうどうしようもなくなった時に(あるいはそうなりそうな時に)、専門家を頼ればそれでいいんじゃないかと思うですよ。
もちろん予防的な関わりってのは大事ですが、予防のためにクライエントがカウンセラーのところを訪れる…ってのは何か違うんじゃないかと思うですよ。
その辺を踏まえた上で、当ブログでも何度か「果たして需要はあるのか?」という話題を出しております。
【市場調査】本当に医療系心理職の需要は高いのか?【してる?】(05/03/02)
恐るべき「医療心理師10万人(5万人?)計画」(05/07/02)
改めて医療系心理職の国家資格…というか医療心理師(仮)について考えてみる(05/11/22)
上記は主に「医療」の現場における心理職の需要に関するエントリなのですが、それを超えて果たして「市井のカウンセラー」に対しての需要ってのはどこまで高いものなのかと思うのです。
…ってのは次のブログのエントリを見てそう考えましたよ。
~心理カウンセラーのホントのトコロ~
カウンセラーの選び方(06/08/01)


引用します。

これからの社会は、「自分の担当美容師」や「かかりつけのお医者さん」と同じように、「自分の担当カウンセラー」を誰もが持つ時代になってくると思います。

それは、誰もが心の問題を持っていて、向き合わなければいけないという意味ではなく、問題が起こる前に「心のお手入れ」としてカウンセリングを受けたり、気になったことがあれば気軽にカウンセリングを活用し、上手に心の整理整頓ができるようになっていくと思うのです。

また、その必要性を感じています。

(※読みやすいように改行を変更させていただきました)
「『自分の担当カウンセラー』を誰もが持つ時代」ってのは、ぶっちゃけて言ってしまえばカウンセラーにとっては良い社会であるかもしれません。食いぶちの確保ができますから。でも、それって少なくとも万人にとって望ましい社会ではありませんよね。
「心のお手入れ」レベルのことであれば、家族だったり友人だったり恋人だったりをまずは頼るべきなのではないかと思いますですよ。で、その選択肢の中に「カウンセラー」があるのはまあいいかもしません。で、そんなレベルで「カウンセラー」は食っていけるのでしょうか?
精神科・神経科・心療内科を受診したり、カウンセリングを受けたりすることに対する偏見を低減し、それらにまつわるスティグマを克服していく必要はあります。そして、予防的な教育活動・啓蒙活動も重要だと思います。
でもそれは「『自分の担当カウンセラー』を誰もが持つ」とは別のことなのではないでしょうか?
皆様のご意見もおうかがいしたいところです。

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