臨床心理学

「妊婦の拒食症患者」が増加…ってホント?

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こんな記事を発見。
「妊婦の拒食症患者」が増加、母体や胎児への悪影響に医師らが警鐘。Narinari.com
引用してみますよ。

妊娠による体重増加を気にするあまり、妊娠中にも関わらず神経性無食欲症(拒食症)を患ってしまう女性たちが近年増えており、これを懸念する医師らが警鐘を鳴らしています。

拒食症のことを、英語ではアノレキシア(正式病名は「Anorexia Nervosa」)と言いますが、この言葉と妊娠を意味する「Pregnancy」を組み合わせて、妊娠時の拒食症のことを「Pregorexia」(プレゴレキシア)と呼ぶそう。妊娠中の体重増加は当たり前なのに、その体の変化に耐えきれず、過度の運動を続けたり、ほとんど食べるのを止めてしまったり、食べても嘔吐をくり返したり……、といった行為に走るのがこの症状の大きな特徴です。


…そういう症例が増えてんの?
個人的にはあんま聞いたことないですし、国内の摂食障害関連の文献はそれなりにフォローしてるつもりなんですが、関連しそうなのはあんま見たことないですよ。
ひょっとして精神科領域よりも産科領域で問題になってる?と思い、論文検索してみましたが、それっぽいのは出てきませんでした。
というわけで、原文を読んでみた。
S'pore docs warn of the dangers of PREGOREXIAThe Electric New Paper, Singapore
…斜め読みした限りでは、「増加している」とは言っていないような気が…

Dr Chen said those with underlying eating disorders, particularly anorexia nervosa, are most at risk.

These are women who have recovered from anorexia, and regained their fertility - those in the most acute phase are severely underweight, stop menstruating and are not fertile.

But, they continue to struggle with weight and body-image issues.

ざっと訳してみます。えーと…
・・・・・・・・・・
Dr Chenいわく、潜在的な摂食障害、特に神経性無食欲症(拒食症)の場合、最もリスクが高い。
急性期には深刻な体重低下、月経停止、そして生殖能力もなかったよな拒食症から回復した女性もおり、その場合、生殖能力も元に戻る。
しかし、彼女らは体重やボディイメージの問題と戦い続けるのです。
・・・・・・・・・・
訳が下手ですまんです。
…ってことで、「妊娠中にも関わらず神経性無食欲症(拒食症)を患ってしまう」というよりは、「拒食症から回復し、生殖能力を取り戻し妊娠した際に体重のコントロールするように言われ、結果としてコントロールを失ってしまう」みたいな感じなんじゃないすかね。
潜在的な危険因子を持つ層は多いだろうけど、それがPregorexiaとやらの増加には直結してはいないと思うのですが。
どうなんでしょう。
単に私が読み間違えているだけかもしれないので、そんな場合はご指摘くださいませ>偉い人。
・・・・・・・・・・
そして直接は関係ないっすけど、摂食障害関連でおすすめ本ですよ↓

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こっちは教科書っぽい感じ。

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