臨床心理学

「食育」が気になる その7-朝日新聞にも朝ごはん実行委員会の調査結果が-

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過去ログを未読の方はまずそちらから↓
「食育」が気になる その4-朝ごはん実行委員会って何?-(06/07/12)
「食育」が気になる その5-朝ごはん実行委員会へのツッコミ-(06/07/13)
「食育」が気になる その6-描画の解釈について思う-(06/07/20)
と一連の「食育」シリーズで扱った「朝ごはん実行委員会」の調査。22日の朝日新聞の生活欄でも取り上げられていたようです(コメント欄でお知らせくださった方ありがとうございました)。
新聞からちょっと引用してみますよ。

 家族の結びつきを絵から分析する「動的家族画」という調査方法を使い、95年から一般の7千人以上の子どもたちの絵を見てきた。絵のテーマは「家族がごはんを食べている様子」で、対象は4~6年生。ものを客観的に見る力が育ち、描く思いに偽りが少ない年齢だという。

とありますが…最終的な作品の出来に影響を与える要因として「描画能力」だったり、あるいは「やる気」だったりの影響を完全に無視してないですかね?

 室田さんは、笑顔で話すなど人物の表情が豊かな「コミュニケーション充実型」、人物がマークや文字で簡略化された「人間関係貧困型」、人物に手が描かれずに食べようとしていない「意欲希薄型」など、絵を表現の特徴から八つに分類した。

これらの分類を見ても、やっぱり「描画能力」とか「やる気」とか関係してきそうじゃないですか?1対1で描いてもらい、さらにその他の情報も加味して解釈するのであれば、「コミュニケーションが充実している」「人間関係が貧困」という可能性を示唆することはひょっとしたら可能かもしれませんが、集団で施行している描画だけでどうこう言えませんわな。

調査した地域や人数が違うため単純比較はできないが、「コミュニケーション充実型」は95年の47%から年々減り続け、05年は20%、「人間関係貧困型」は20%から40%に倍増している。
 「意欲希薄型」の絵も減っている。「このタイプは親の管理が厳しい家庭の子どもなどに多い(※ロテ職人注:これってこの室田さんの経験則から言ってることですよね。調査内容に家庭状況は入ってなかったはずなので)。良くも悪くも、家族が食卓でかかわり合うことが減っている表れでは」と室田さん。

いや~。年々子ども達がすれてきて、「なんでこんなの描かなきゃいけないの?かったりー」って思ってたのかもしれませんよ。
「調査した地域や人数が違うため単純比較はできない」と言っていることから、描く環境だったり教示だったりの統制もなされていない可能性もありますわな(これはあくまでも可能性ですが)。

 「食べ物を分けたり、話し出すタイミングを待ったり、食卓は人への配慮を学ぶ場でもある。コミュニケーションが苦手な若者を生み出す原因のひとつには、食卓の機能低下があると思う」

「(実際の)食卓の様子が家族の機能を反映している」というのであれば、私もそう思います。ただ、食卓を変えれば家族が変わるわけではなく、むしろ「家族の機能が変われば食卓の機能も変わる」と考える方が自然では?
てか、思いこみに基づいた描画の解釈から得られるものは何もないと思うのですがね。
今回、生活欄で結構大きくとりあげられていますが、こういう記事がまた臨床心理士・臨床心理学に対する世間の誤解を助長するんじゃないかと思うと、やはり怖いですなぁ。
誰か周りの人が本人(この調査をやってる人)に言ってやってくださいよ。それとも周りもみんなこんな感じ?それだとしたら、ちょっとしたホラーですね。

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