研究と臨床

【「論博」は】個人的には笑いごとじゃない【ナシの方向で!?】

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これは絶対に取り上げねばと思っていた話題。
心理系ブログでもここここでは既に扱われていますが、こんなニュースがありました。


論文だけで博士、駄目 大学院重視で一致、中教審部会(Yahoo!ニュース - 共同通信 - )

 中央教育審議会の大学院部会は14日までに、企業や公的な研究所で業績を挙げた社会人が、論文などの審査を基に博士の学位を得る「論文博士」制度を廃止し、大学院のカリキュラム修了者を対象に与える「課程博士」制度に一本化する方向で一致した。
 論文博士については「学位のため研究を狭い分野に限定してしまう恐れがある」「日本独自の制度で国際的な通用性に欠ける」などの批判があった。
 文部科学省は論文博士を認めている省令を改正、博士号取得を目指す社会人に対しては大学院に短期間在学する「博士課程短期在学コース」の創設なども検討している。
 文科省によると、論文博士は、2001年度の調査で博士号の授与数のうち36%を占めており、大学院を辞めた人が社会人になってから博士の学位を取る手段になっていた。
 しかし、同部会は、大学院改革の一環として、学位の国際的信頼性を確保し高めるため、制度見直しを検討。
(共同通信) - 4月14日6時8分更新

え~と…私にとっては非常に深刻な問題です。将来設計を考えるとある意味では死活問題です。
思えば大学院を辞める時、師匠や他の分野の先生方から「論博(=論文博士)があるから、外に出ても研究を続けるように」と言われました。私もそのつもりでやってきました(てか何とかやってます)。何度かこのブログで書いていることですが、私は自分が知りたいことがあるから心理学をやってます。それがたまたま臨床心理学という分野であったというだけであり、だからこそこうやって現場で臨床実践に携わりつつ研究もやっているわけです(ヘボい研究だけどね)。それが…

制度見直しってどういうことですか~

臨床心理学に限らず、例えば病院の他のコメディカルの職種なんて、それこそ臨床実践の中に研究のネタはゴロゴロ転がっているし、(もちろん患者さんの同意は必須だったり、プライバシーなどは最大限に考慮する必要があったりということはあるけれども)日々の臨床実践が貴重なデータ収集に直結しているはずなのですが…なのに…なんで…
「日本独自の制度で国際的な通用性に欠ける」ってのはまあわかりますよ。それは仕方がないかもしれません。でも「学位のため研究を狭い分野に限定してしまう恐れがある」ってどういうことですか?マジわかりません。現場の人が研究しにくくなる方が「狭い分野に限定してしまう」ことになるんじゃないですか?
別に学位のために研究しているわけでもありませんし、優れた研究をしているのであれば学位なんて必要ないという意見もあると思います。でも、やっぱり自分の研究を何らかの形にまとめたという証としての学位ってのはそれなりに意味があると思うし、少なくとも私は欲しいと思ってます。
「博士課程短期在学コース」って…また学生やりなさいということですか?そんなに経済的に余裕があるわけでもないんですがね。個人的にはあと○年後の学位論文提出を目指してって、逆算しながら研究計画を立てているんですが…その計画も大幅に変更しなければならない可能性が出てきました。
この動きは今後も追っていきたいと思います。

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