現場でSSTを使っている人は少なくないと思いますが、「ベラック方式」ってご存じですか?通称ベラック方式と呼ばれている方法は、通常のSSTの基本訓練モデルに基づいて、それを「うれしい気持ちを伝える」「頼み事をする」などの基本スキルを細かいステップに分けて構造化し、参加者の共通課題として練習するものです。
今回ご紹介するのはこのベラック方式のテキストです。
わかりやすいSSTステップガイド―分裂病をもつ人の援助に生かす〈上巻〉基礎・技法編 アラン・S. ベラック スーザン ギンガリッチ キム・T. ミューザー ジュリー アグレスタ 星和書店 2000-07 |
わかりやすいSSTステップガイド―分裂病をもつ人の援助に生かす〈下巻〉実用付録編 アラン・S. ベラック スーザン ギンガリッチ キム・T. ミューザー ジュリー アグレスタ 星和書店 2000-07 |
ロテ的お薦め対象:大学院生~現場の人;現場でSSTを使うなら是非!
このテキストはベラック方式を使う人にはもちろん役に立つのですが、この中の「技能のステップ」を覚えておくのは基本訓練モデルを用いたSSTの中でも十分役に立ちます。
例えば不愉快な気持ちを伝えるという課題では
技能のステップ:
1. 相手を見る。落ち着いてはっきりと話す。
2. 相手のどの行動によって気持ちが動揺したかを、正確に話す。
3. 自分がどんな気持ちになったか、相手の人に伝える。
4. こうしたことが今後起きないようにするにはどうしてほしいか、提案する。
というステップそれぞれをチェックしながら丁寧にトレーニングするわけです。
さらに「この技能を教えるときに注意すること」として
ステップ3では、不愉快な気持ちを見きわめることが求められます。参加者のすべてが見きわめる力をもっているとは限りません。この技能をはじめて教える時に、「不愉快な気持ちのリスト」を作るのがよいでしょう。その一覧表を模造紙などに書いておいて、ロールプレイで練習するときに見えるように貼りだしておくとよいでしょう。
と実践上、参考になるようなことも細かく書かれています。
ということで、この下巻の実用付録編はベラック方式を使わない人にとってもお薦めだったりします。
下巻の「友だち付き合いとデートの技能群」で訓練するスキルとしては「適切な人をデートに誘う」から「望まない性的関係の誘いを断る」「パートナーにコンドームを使うように頼む」「危険な性行為を迫られたときに断る」などの技能も書かれており、この辺は米国チックなんですが、これもまた重要な技能ですよね。「適切な相手」をちゃんとデートに誘えたりしますか?皆さん?
興味のある方、特にSSTに関わっている方にはお薦めです。
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