雑記

【ロテ職人】臨床心理士の怖い話【完全創作】

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※「臨床心理士の怖い話」作ってみました。ということで以下はフィクションであり、実在の人物・団体・事件等とは一切関係ありません
※怖い話が苦手な人は読まない方がいいかもしれませんが、そもそもそんなに怖くない可能性も否定できません
・・・・・・・・・お話ここから・・・・・・・・・
これは知り合いの心理士から聴いた話なんですが…守秘義務もありますので、絶対に他の人には言わないでくださいね。
若い女性心理士、仮に山本さんとしましょうか。山本さんは元々病院臨床、特に精神科・神経科や心療内科クリニックでの勤務を希望していたのですが、大学院修了当時はなかなか希望する職場は見つけられず…山本さんだけに限らず、同学年でもなかなか自分が希望するような職場に就職できた人はなかなかいませんが…スクールカウンセラーや精神科デイケアでの非常勤で何とか食いつないでいたそうです。
そんな山本さんが念願の常勤職、しかもこれまた念願の心療内科の心理職に就いたのは大学院を修了して3年目の春でした。


憧れの職場での勤務。山本さんはやる気に満ちあふれていました。そんな山本さんが働き初めてから3日目、その職場でのイニシャルケースの予約が入りました。
クライエントは29歳の女性。予約の際、事前に聴いていた主訴は「眠れない」「気分が落ち込む」とのことでした。
まだ慣れない職場での初回面接の当日、予約の時間ちょうどにそのクライエントが来談しました。クライエントは同じ年代の同性である山本さんから見ても、ハッとするような美しい人だったそうです。彼女が着ていたシンプルなデザインの白いワンピースはなんだか少し時代がかっていて、お世辞にも流行の最先端とは言えませんでしたが、それを差し引いても、恐らく街ですれ違う人の10人中9人は思わず振り返ると思われるくらいの美人でした。
簡単な挨拶のあと面接は始まりました。
クライエントの女性はややうつむき加減に淡々と、しかし理路整然と話していたそうです。そんなクライエントの話を山本さんは熱心にうなづきつつ、ほぼ逐語に近いメモを取りながら聴いていました。
初回面接はこれまでの経過を中心に、そして2回目は生活史や家族歴、対人関係やその他細々とした情報の聴き取りが中心となりました。
そんな風に1回目、2回目の面接が終了し、そして3度目の面接日。
これまで時間通りに来ていたクライエントですが、時間を過ぎても現れません。キャンセルの際にはその直前でもいいのでクリニックに連絡するよう事前に伝えていたにも関わらず、結局その日は連絡がなかったそうです。
無断キャンセルから1週間。その間、やはりクライエントからの連絡はありませんでした。
心配した山本さんがカルテに書かれているクライエントの自宅の電話番号に電話してみたところ…
「おかけになった電話番号は…」
のメッセージ。
携帯電話の番号についても同様で、連絡がつきません。
…ここで山本さんは気づきました。
そのクライエントの女性。ものすごく美人だったことは覚えています。それだけは覚えているのですが、記憶の糸をどれだけたどってもどんな顔だったのかが全く思い出せません。
面接中、いくら終始うつむき加減だったとは言え、一度もその顔を見ていないはずはありません。にも関わらず、そのクライエントがどんな目、鼻、口をしていたのか、全く思い出すことができないのです。
そしてその時、もう一つ大切なことに気づきました。
そのクライエントが話した内容、山本さんは全く覚えていないのです。
あれだけ熱心に聴いていたはずなのに、どんな内容だったのか全く思い出せません。
元々山本さんは記憶力が悪い方でないのです。むしろ一度会ったことのある人の顔を忘れたことはないですし、友人との間で起こった数年前の出来事など、相手が忘れているような場合にしっかりそのディテールまで思い出せるくらいの記憶力の持ち主です。
そんな山本さんが全く思い出せないのです。
…そう。面接記録はほぼ逐語に近い形で熱心にメモしていたはずです。ここで山本さんは面接記録を書いたカルテ用紙を見返してみました。
そこには

明らかに山本さんの筆跡で、カルテ用紙数ページに渡って
タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ…
と延々と書かれているのみでした。
・・・・・・・・・お話ここまで・・・・・・・・
書いてみての感想…というか、言い訳。
何か色々どこかで聞いたような、読んだような話になってしまいましたが、そもそも怖い話のプロットというのは完成され尽くしており、そのプロットはいくつかのパターンに収束してしまうのではないかと思われ。
…にしても最後の「タスケテタスケテ…」は昨日のエントリで取りあげた「赤いクレヨン」の影響をあからさまに受けているな、と。
この「タスケテタスケテ…」、「シネシネシネ…」のどちらにするか迷ったのですが、「シネシネシネ…」だとちょっとあからさまかと思い、「タスケテ…」にした次第。完全に白紙だったというアイディアもあるのですが、どれが一番怖いですかね。あるいはもっと怖くするアイディアはあるでしょうか?
プロットがいくつかのパターンに収束してしまうという件に関して、あとはディテールに凝るって手もあったりしますが、長文を読むにはこのブログの形式はあんまり向いていないってのがネックであり。
最後の「タスケテ…」の部分以外でも色々と改善点はありそうです。もっと怖くなりそうなアイディアがあったら教えてくださいな。
…つか、心理臨床の現場においてはそもそも現実の方がもっと怖いというか、現実だからこそ怖いって話も山のようにあるので、わざわざ怖い作り話なんて必要ないんじゃないかという気もしないでもない。
ともあれ、感想とかありましたらよろしくです>皆様

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