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【不登校】評価基準ってのはすごく大事よね…って話。多分 その1【学校基本調査】

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「お盆?それ何?美味いの?」ってなわけで、今日も明日も通常営業なワタクシの職場。ええ。私も仕事がんばりますよ~(空元気)。
さて、先日のエントリ
SCが「臨床心理士の週一回の率の良いバイト」になってしまうことを回避するために(08/08/08)
で取り上げたこちらのニュース
不登校2年連続増 文科省調査、中学生は34人に1人asahi.com
に関連した記事を2つ発見したのでご紹介。
まずはこちら。
不登校2年連続増加 原因は「つじつま合わせ」の破たん?J-CASTニュース

「不登校」の問題がクローズアップされるなか、2007年度の「不登校」の小中学生の数が2年連続で増加したことがわかった。文部科学省は「親の意識が『無理に学校に行かせなくても良い』と変化しているのでは」と見るが、専門家からは「これまでは無理に数字だけを小さく見せようとしてきたが、その『ゆり戻し』が来ているだけだ」と懐疑的な声があがっている。

文部科学省は2008年8月7日、全国の国公私立の小中学生1075万698人を対象に調査した「学校基本調査(速報)」の結果を発表した。それによると、病気などの理由がないのに1年間で学校を30日以上欠席した「不登校」の小中学生の数は、07年度が12万9254人で、2年連続で増加した。そのうち中学生は10万5197人で、中学生全体に占める不登校の割合は2.91%(34人に1人)。こちらは過去最高を更新している。

不登校の理由を複数回答で聞くと、「いじめを除く友人関係」が18.4%、「親子関係」が11.1%、「学業の不振」が9.6%、「いじめ」が3.5%などだった。

実は、不登校の小中学生数は、05年度まで4年連続で減少を続けていたのだが、今になって増加に転じつつあるのは何故なのだろうか。

文部科学省では

「自殺などへの懸念から、親の意識が『無理に学校に行かせなくても良い』と変化しているのでは」

とみているが、専門家からは「親だけが原因なのではない」と懐疑的な声もあがっている。

なんか「不登校の生徒数」って数値だけで見ていくことの限界もあるんじゃないかと思うのですよね。前のエントリで挙げた井上氏の記事の中に

長期欠席と不登校の定義の曖昧さもあり、統計の読み方には注意が必要です。発達障害のある子どもの場合は、長期欠席にカウントされている場合があったりします。また特別支援学校でもかなりの不登校の子がいますが実際には長欠カウントされていたりします。

とありましたが、まさにその通りだと思います。
ついでに「不登校の生徒数」の増減になんだか価値的なものを見いだすのも止めた方がいいんじゃないかとも思います。登校させることは全てのケースでベストであるとは言えないでしょうし、その辺はもう個々の事例のアセスメント次第であり。
もちろん現状の把握という意味で調査自体は意味がないわけではないと思うし、数値も大事なのだとは思いますがね。少なくとも数値の増減を見て、単純に良い悪いを論じるのは意味がないだろうってことで。
さてJ-CASTの記事の続き。

法政大学教授で教育評論家の尾木直樹さんは、増加の原因を(1)06年に自殺予告が相次いだこと(2)不登校が減少した4年間は「数合わせ」に過ぎず現場がその間違いに気づいた、という2点を挙げる。自殺予告については

「06年頃は、いじめ自殺が連鎖し、文部科学省にも自殺予告が届くなどしていたことから、『いじめで死ぬ位なら、やり直せる可能性がある不登校の方がましだ』という考えが広がったのは事実です」

と話すが、「05年度までの、不登校が減少したとされる4年間が『曲者』なんです」と指摘する。

「この4年間は、不登校を減らすにあたって、文部科学省が数値目標を掲げるなど、成果主義が大流行したんです。文科省が『いじめによる自殺が7年連続ゼロだった』と発表したのも、その一環です」

と、成果主義が元凶だと話す。さらに、この成果主義は、単なるつじつま合わせしかもたらさなかった、というのだ。

「内実はというと、本来ならば不登校の生徒を無理やり保健室に登校させたり、(不登校にはカウントされない)『病欠』扱いにしたりと、つじつまを合わせていただけです。現場が『このやり方は間違っていた』と気づいた結果が、今回の調査結果に表れている、ということです」

そうそう。問題はその「数値目標」とか「成果主義」ってことだと思うのですよね。
評価基準が曖昧であり、そして数値の減少が個々のケースを考えると必ずしも肯定的に捉えられるものでもないっていうような状況だとしたら、「数値目標」の達成を目指す「成果主義」ってのはいかんですよなあ。
で、保健室登校が有効なケースも結構あると思うですよ。「不登校にカウントされないから」という理由だけではなく。もちろん「無理やり」はいかんですが。
…ふと思ったんですが、尾木氏のコメント「現場が『このやり方は間違っていた』と気づいた結果が、今回の調査結果に表れている、ということです」の根拠はどこにあるですか?例えば「保健室登校が減って不登校が増えてる」というデータがあればこういう考察も可能なんでしょうけれども…尾木氏の主観?
そしてこれ

さらに、「不登校を改善するためには、スクールカウンセラーを導入するよりも、現場の教師に役に立つようなことをするべきだ」と提言する。

「スクールカウンセラーは週2回しか出勤せず、相談相手としてはハードルが高すぎる。不登校が解消されたケースの多くは、生徒の自宅に電話をかけたり、家庭訪問をするなど、現場の先生の努力によるもの。スクールカウンセラーを整備するよりも、25人学級などの政策を進める方が先なのでは」

どっちが大事ってよりも、どっちも必要なんじゃないですか?んで、出来るところからやっていけばいいんじゃね?って感じがするんですが。
井上氏も

学校の先生方が対応の主役にならざるを得ない現状では、特に中学の先生方の業務負担を軽減する事が必要なのではないかと感じています。

とおっしゃっていますし、私も色んな人の話を聞いた結果やっぱり「教員は忙しすぎる」と思います。
不登校対策(単に数値を減らすってことではなく…ですよ)ってことに関しては、スクールカウンセラーでもスクールソーシャルワーカーでもどっちでもいいんですが、教員の負担を軽減させる方向で、自身の専門性を活かすことができるような対応ができりゃいいってことでしょうし、「スクールカウンセラーを整備するよりも」みたいな感じで「どっちか」ってことで出来る話じゃないと思うのですがね。
なーんてことを言うと「(同じ臨床心理士として)身内びいきなんじゃねーか」なんてことを言う人もいるかもしれませんが、個人的にはスクールカウンセラーやってる同業者がどうなろうと知ったこっちゃないです。ただ、生徒・児童なり教員なりのために心理職が効果的に働くことができる可能性もあるんじゃないか…というだけのことであり。
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ってな感じでなんかやたらと長々しくなってしまったので、また続きを書きます。
ちなみにもう一つ取り上げよう思っていた記事がこちら。
不登校率3年連続「全国1」 島根県の特別な「事情」J-CASTニュース
J-CASTってこういう記事が面白いよね。
ついでに今回のエントリの関連リンク
平成20年度学校基本調査速報文部科学省
尾木直樹公式ホームページ
尾木直樹氏ってフジテレビ系ドラマ『モンスターペアレント』(ちなみにワタクシ一度も観ていない)の資料協力をしてる人なのね。知らんかった。

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気が向いたら続き書くんで、その時は読んでやってくだせい。

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