研究と臨床

【修論で】臨床心理士が研究するということ(7)【症例研究】

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このシリーズの4回目、【これまでの】臨床心理士が研究するということ(4)【まとめとか】でsimoseさんからいただいていた質問にまだ答えていなかったので、こちらの記事で回答したいと思います。

 


当該記事のコメント欄をみていただければわかると思いますが、ここまでの議論の流れは以下のようになっています。

ロテ職人:「科学的思考」に基づく研究とは「実証性」「再現性」「論理性」が保証されている。臨床でもそれらが重要である。修論レベルで「症例研究がしたい」という学生がいるが、そういう学生は調査や実験に比べて症例研究で論理の破綻なく論を展開するのがいかに困難かわかっていないアフォである。

simose:ユングやウィニコットと精神分析よりのテーマを扱おうと考えている人は、科学的にはかなり研究しづらいテーマを持っているのではないか?そのため「修論で症例研究をやりたい」になりがちなのではないか?

そもそも精神分析よりのテーマを扱おうというのは、修論レベルではかなり無理があると思うんですよ。なぜなら論理を構築することが困難ですから。

ただ、例えば「対象関係」ってのを扱うのは非常に難しいかもしれませんが「親子関係」だったら扱いやすいですよね。そうやって科学的研究(に近い形)に乗りやすくするという方法はあると思います。それをせずに「症例研究で」というのは安直というか、単に考えてない(あるいは考える能力がない)だけだと思うんですね。

あとsimoseさんは

「やりたいテーマが、どうしても科学的に研究しづらい」
→「(症例研究がいかに難しいか分からないではないけれど)症例研究など、質的な手段を取らざるを得ない」
→「修論では症例研究がしたい」

と書かれていましたが、質的研究ならば質的研究でいいと思うんです。(カタカナの)サトウ氏や(ひらがなの)やまだ氏の例を挙げるまでもなく、近年質的研究は心理学の新たな形として市民権を得つつありますよね

サトウタツヤ氏は昨年の心理臨床学会で質的研究のワークショップを担当していました。そこでおそらく叩き台にするために質的研究の実例を募集していたんですが、その留意点として「症例研究ではなく質的研究です」と書かれていました。やっぱり質的研究ってのは症例研究とは異なるんですよ(これもいずれネタとして書こうかなぁ)。

修論レベルで症例研究をするのが難しいのは、そもそも修士レベルでまともな心理療法だったりカウンセリングだったりはできないということが前提としてあります。まともに面接できてないのにそれを研究レベルにまで乗せるのはまず不可能です。

修士レベルでなければ、それも扱うことはできるのかもしれません。以前、私は

精神分析は科学的思考に基づく研究ベースには乗らないと私は考えています

と述べましたが、これは今の私の能力では扱うことができない、という意味に変えておいていただけたらと…。能力のある人であれば、それも可能なのかなとこの記事を書きながら思い始めています。

これで回答になっているでしょうか?

simoseさんはもちろんのこと、他の方からもコメントいただけたらと思います。それによって私も思考を整理することができますので。

#やっぱり自分は考えるのが苦手なんだなぁと思います。だからこそなおさら「科学的思考」ってことにこだわるのかもしれません。

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