心理・精神医学本

【当事者の】統合失調症/分裂病とつき合う【視点から】

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今、熱い議論が交わされているエントリー、【市場調査】本当に医療系心理職の需要は高いのか?【してる?】ですが、医療心理師の国家資格化を推し進める全心協がその公式サイト

「ACT(包括型地域生活支援プログラム)は医師、看護師、精神保健福祉士等の多職種チームで、生活を中心に医療も提供する医療・保健・福祉サービスを重症精神障害者に提供するプログラムである。このプログラムの遂行には医療的援助と福祉的支援の両面からのアプローチが必要であり、その有効性を高めるための触媒や潤滑剤としても臨床心理技術者の役割は重要であると考える。しかし、資格のない現状のままでは、日本でのACT専門家チームの一員として、臨床心理技術者が参加することは非常にむずかしいことが予想される。」

と主張しているそうです。
この「触媒や潤滑油」という役割、はっきり言ってかなり難しいですし、そうした役割だったらむしろワーカーの方が専門だと思うんですが、まあそれは置いといて…ACTのような精神科リハビリテーションの試みの中での心理職ができる仕事の一つとしては「心理教育」(Psycho-Education)ということが挙げられるのではないかと思います。
ご存じの方も多いと思いますが心理教育とは何かと言いますと…

心理教育とは、精神障害やエイズなど、受容しにくい問題を持つ人たちに、適切な知識や情報を的確に伝え、また、病気や障害にまつわる諸問題・諸困難に対する対処方法を、考え修得する機会を提供することによって、彼らが主体的な療養生活を営めるよう援助する方法です。

全国精神障害者家族会連合会(ぜんかれん)公式サイトより)
で心理教育を行うためには、精神疾患やその治療、薬物に対する知識が豊富であることは当然前提となりますが、それらを踏まえた上で「家族や患者本人がわかりやすいように」伝えることが必要となってきます。そこで今日、ご紹介するこの本です。

統合失調症/分裂病とつき合う―治療・リハビリ・対処の仕方
伊藤 順一郎

保健同人社 2002-10
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ロテ的お薦め対象:統合失調症に関わる全ての人に;精神科リハビリテーションに役立つ本
アマゾンのレビューを見ていただければわかると思いますが、この本は統合失調症の患者やその家族のための本です。ですからもちろん内容はそれほど深くはありませんが、とにかく分かりやすいです。学部生(あるいはまだ精神科臨床に関わっていない院生)にとっては統合失調症に関する入門書として読めるでしょうし、既に現場で働いている人もどのようにして分かりやすい心理教育を行うか、その参考になると思います。
もちろん、心理教育で伝える内容というのは医師の専門分野であり、専門知識は医師の方が豊富なのは当然ですが、逆に心理職としては専門分野ではない分(と言いながら実は専門分野として知っておかねばならないんですが)、当事者の方々に近い立場で上から教えるのではなく「一緒に学んでいく・知っていく」という立場が取れるのが強みなのではないかと個人的には思います。
その辺りに精神科リハビリテーションにおける心理職の専門性のヒント(関連エントリー参照のこと)があるのかも。
よかったら読んでみてください。

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