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【日心臨2012】いまさらだけど書籍展示で気になった本を取り上げてみるよ その1 #ajcp2012

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「9月半ばの学会でのことをまだ引っ張るのか?」と言われたら「そうですが、何か?」としか回答できない今日この頃、皆様いかがおすごしですか?

ずいぶん前から「書かねば」と思っていたこちらの記事、ようやくアップできました。

紹介のコンセプトとしては「自分が気になる本」かつ「自分が(あまり)知らなかった本」って感じになります。ですので、基本的には新刊をご紹介したいと思いつつ必ずしもそうとは限らなかったりしますし、皆様にとって役に立つかどうかは甚だ疑問が残る部分ではありますが、何か参考になれば幸い。

あと、当然のことながらほとんど読んでないので、あくまでもサラッとした紹介になってしまうことをお詫び申し上げます。

一応、会場をぐるりと回りながらチェックはしたんですが、あとからカタログ(学会会場で配布されてたやつ。以下の画像が表紙)を見て確認したのもあるので、ひょっとしたら当日展示されてなかったものもあるかも。

2012 最新心理学書カタログ

んではカタログに書かれている出版社名50音順で行ってみましょう。

明石書店

公式サイトはこちら。
株式会社 明石書店
http://www.akashi.co.jp/

発達障害系に強い明石書店さんですが、基本的に子どものケースを扱うことのないワタクシですので、むしろ親に対する支援の方に興味があったりします。

アメリカで作られたコモンセンス・ペアレンティングを日本流にアレンジ、育てにくい子を上手に育てるための効果的な方法を具体的に紹介。著者が児童養護施設「神戸少年の町」で実際に行ってみて効果を実感したものだけを集めた。内容に即したイラストも満載。

子育て中につい怒鳴ったり、叩いたりしていませんか。コモンセンス・ペアレンティングは、子どもとのコミュニケーションを円滑にすることで、具体的なしつけの方法を身に付けることができます。親子関係を改善し、子どものやる気を引き出すためのワークブック。

ADHDのある子どもの親が家庭で無理なく取り組めるペアレントトレーニングの本。障害の原因の理解と薬物療法、食生活改善を下地に、子どもの生活スキルを向上させてよりよい親子関係を築くための効果的なペアレンティングプログラムのアイデアを提供する。

あとは「子どもが絵本として楽しみながら実行できるセルフヘルプ用ワークブックであるこちらのシリーズとか。

Amazon.co.jpの検索結果 : イラスト版 子どもの認知行動療法

岩崎学術出版社

公式サイトはこちら。
岩崎学術出版社
http://www.iwasaki-ap.co.jp/

岩崎さんと言えばワタクシ的には「硬派な精神分析本」なイメージです。しかし敢えて今回はガチガチの精神分析本以外のもので。

第1部は「心」です。心はどこにあるのでしょうか?心を見つめることは私たちにとって、どのような意味があるのでしょうか?臨床心理学の礎となる理論をもとに学んでいきましょう。第2部では「身体」の側面から、自分という存在について考えてみましょう。はじめに「心」と「身体」のつながりについて学びます。そしてその後は、私たちにとって自分の身体性がとくに強く感じられる「性」にも目を向けて見ましょう。第3部は、「心の病と健康」です。心身のバランスが崩れるとき、私たちにどのような変化が生じるのか、またそれを予防するためのちょっとしたコツも学んでいただけたら良いと思います。

実は「身体と精神」みたいなのが研究テーマの一つだったりするワタクシ。最近はあまりその方面の研究はさぼり気味なのですが、改めて概念整理のために読んでみたいっす。

そしてもう一冊。

エビデンスに基づく心理療法としてその適用範囲を広げ,注目の高まる動機づけ面接の本邦初の解説書。豊富な日本語逐語録を収録し,具体性を持って,そのスピリットを学べる好著である。

ぶっちゃけ「動機づけ面接」についてあまりに何も知らないので、ちょっと勉強してみたいのです。

金子書房

公式サイトはこちら。
心理・教育の専門出版社 金子書房
http://www.kanekoshobo.co.jp/

ワタクシ的なイメージでは心理アセスメントと教育・産業よりのカウンセリング系に強いイメージのこちらの出版社。

青年と家族にかかわる心理アセスメントにとどまらず,フィードバックを心理療法いかすためのコンセンサス ロールシャッハ法の理論と実践を,豊富な事例を用いて詳解する。

なんつっても私、「ロ(ロールシャッハ)テ(テスト)職人」ですから、ロールシャッハ関連本はやはり気になります。

そして、数年前の臨床心理士資格試験にて突然出題された「コンセンサスロールシャッハ」。私も当時は何のことやらさっぱりわかりませんでしたが、ようやく本邦初の関連書籍が出たようです。要チェックです。

家族法、少年法、児童虐待防止法など、カウンセラーが知っておきたい法律と法の枠をふまえた心理臨床の実際を提示。少子化を反映した離婚に伴う子どもの諸問題、社会問題になって久しい児童虐待、少年非行など、法に関わる問題を抱えた家族や子どもたちへの適切な援助を具体的に解説する。学校臨床、家族臨床、非行臨床に携わるカウンセラー必読の書。

「学校臨床、家族臨床、非行臨床」がストライクゾーンな私ではないんですが、やっぱり臨床に関わる上で法律の問題というのは無視できないです。そんなわけで読んでみたい一冊です。

川島書店

公式サイトはこちら。
図書出版 川島書店
http://kawashima-pb.kazekusa.co.jp/

川島書店さんのイメージって…歴史があって…幅広い分野を扱ってる…みたいな?多分そんな感じ。

家庭・近隣地域・学校・職場などで、さまざまな社会活動が営まれています。しかし、それらの一つ一つの活動が私たちの暮らしを豊かなものに変えていくためには、それが人によって営まれていることに注目する必要があります。
人間理解を極める心理学の基礎的理論と方法は、社会活動の多様な領域で応用され、逆にそこから新しい理論と方法を生み出しています。『心理学Ⅰ・その理論と方法』とあわせて読んでいただきたい。

最近、教科書的な本が気になるのですよね。臨床以外の分野も含めて。そんなわけでこちらをピックアップ。

残念なのは、姉妹編である『心理学 I―自分を知り他者を知るために その理論と方法』が、Amazonさんでの在庫がなくマーケットプレイスのみの取り扱いであること。よかったら在庫補充してください>川島書店さん

金剛出版

公式サイトはこちら。
金剛出版ホームページ
http://kongoshuppan.co.jp/

今や「心理学系書籍出版社の雄」と言ってもいいのではないかと思われる(というか私が勝手に思ってるだけですが)金剛出版さんです。

臨床心理学という学問,臨床心理士という仕事は,「臨床心理学的に配慮されたアプローチ」による心理面接にこそ,またそれに支えられた心理療法の実践にこそ,その基本モデルがあるといえるだろう。開業心理臨床の場は,そのモデルをもっともシンプルに具現している。シンプルであるがゆえに助けを求める者(クライエント)と手助けしようとする者(セラピスト)はより緊密性を帯び,根源的な関係を希求し切り結ぶ。

第一章から第十二章までの十二人の開業臨床心理士の仕事場からの報告は、クライエントに対する個人心理療法を揺るぎない中心軸に据えて、あるときは我が身をさらけ出し、あるときは思索の井戸を深く掘り下げながら、自立した専門的職業人としての「臨床心理士」のモデルをそれぞれに提示しています。

正直、自分は「臨床」と「経営」を両立させるだけの能力は持っていないと思うので、自分が開業する気は全くないのですが、「開業臨床心理士」というのが職業としてどう成り立ち得るのかということには興味があるので読んでみたいっす。

開業したい人は必読かと。

本書は,特定の理論や技法を越え,スーパーヴァイザー訓練のあり方と展望について検討した「精神療法」誌の連載をまとめたものである。すべての訓練生に適用できる,汎用性のあるスーパーヴィジョン・モデルの確立を追求してきた著者による試みの一端を紹介していく。そのようなモデルを追求することにより,指導者も訓練生も,各自が支持する心理療法モデルを中核におきながら,他のモデルを統合することができ,現場に適した臨床活動が可能となるであろう。

これ、あんまり類書はないと思うんですよね。SVって色んな問題をはらんでますし、海外で用いられているモデルをそのまま適用できない日本独自の事情ってのも色々あると思うので、大変興味があります。ヴァイザーとヴァイジー、どちら側にもおすすめできるのではないでしょうか。

「うつ病=セロトニン不足」「統合失調症=ドーパミン過剰」
このような単純な図式は真実であろうか。本書の結論から言えば,「脳科学」「神経科学」だけで精神疾患を捉えることは,事実上不可能である。脳はあまりにも複雑であり,精神疾患を要素還元主義で説明し尽くすことはできない。
それでは,精神疾患を脳科学で捉えることが無意味かというと,そんなことはない。近年の脳科学や神経科学には長足の進歩があり,精神疾患についてもずいぶんと「部分的」に明らかになっている。「部分的」ではあっても,精神疾患の本質を捉えるヒントや新しい診断法や治療法に結びつく知見が次々に見つかっている。
本書では,代表的な精神疾患である統合失調症と気分障害をとりあげ,統合失調症には,その認知機能から広範にわたる非特異的な高次脳機能障害があると捉え,その遺伝的そして環境的要因を述べる。また,「金閣寺炎上僧」を通じて,その発病過程に迫る。
気分障害では単極性うつ病を中心に,その病因において重要な役割を果たす環境要因,とくに「ストレス」の脳科学的側面を解説する。ストレスに対する人体の反応から,うつ病はそのホルモン異常であるとし,その病的過程・治癒過程のモデルを提示する。
近年では,予防・再発防止にクライエントの生活習慣への介入が重視されている。そこで生活のなかでもとくに食事に焦点をあて,「精神栄養学」と呼べる知見からの介入を紹介する。
医学・脳科学“非”専門家のための全12回脳科学講義。

生物学的精神医学全盛の昨今、病院臨床に携わるのであれば必要不可欠な知識の整理にいいんじゃないかと思いますです。読んでみたいです。特に、一見科学的な記述の中に「トンデモ」が紛れ込みやすい分野でもあると思うので、そういったところの確認の意味でも。

……人間の心の深みに届く精神療法を志しながら,しかしそれに畏れを抱き浅くとどまろうともしてきた。そういう姿勢がその論文だけでなく本書全体の基調になっている……「まえがき」より

本書には,文句なしに面白い良質の臨床論文13篇が精選されている。精神科診断面接における留意点,面接を構造化するポイント,臨床現場の実感,全編に達人の臨床記録がちりばめられている。多くの人に「成田善弘の精神療法」の全体像と本質を理解してもらいたい。
後半部には〈成田善弘精読〉とも言うべき秀抜な「解説」(原田誠一氏による書き下ろし150枚)を収載した。

ファンならば!…ってファンだったら既に読んでるんでしょうけれども、私は知らなかったので取り上げてみた。

臨床心理アセスメントは,予定調和ではないクライエントとの偶発的・即興的な関係のなかで進み,同時にそれ自体が対人援助活動となる心理支援究極の「技」である。

『臨床心理学』増刊第4号「臨床心理アセスメント」特集は,3人の心理臨床家によるアセスメント試論が交わされる第1部「座談会・今求められる臨床心理アセスメント」にひきつづき,第2部「総論・臨床心理アセスメントを学ぶ」では,アセスメントの要諦となる項目を主軸として「アセスメントの私的方法論」が展開される。そして第3~5部「事例で学ぶ臨床心理アセスメント」では,主訴が必ずしも明確ではないところから始まるアセスメントとはどのようなものなのか,その具体的な実像が示されていく。とりわけ第3~5部では,冒頭に「概論」としてライフステージに沿ったアセスメントの要点を解説したうえで,以下,個別具体的な事例を通じて解説を進めていく形式を採っている。つづく第6部「臨床心理アセスメントと新たな課題」は,ライフステージに一対一対応するものではなく,むしろ今日のアセスメントを考える上で欠かせない普遍的な論点を解説する最終部となる。

ベテラン臨床家の経験と知識の結晶ともいえるケーススタディを通じて,クライエントの「主訴」の背景にある課題が明らかになる臨場感を体感しながら,心理アセスメントを理解するためのヒントを初学者からベテラン臨床家までの幅広い読者に提供する一冊。

これは読んでみたい。というか欲しい。買います。必要です。

第14版翻訳刊行から約7年。ついに15版の翻訳完成!
本書は,半世紀前に初版が出版されて以来,8カ国語に翻訳され,いまでも改訂を重ねる心理学領域随一の世界的なベストセラーである。
ただ「わかりやすい」ということに留まらず,写真や図表もふんだんに使われているので,楽しく読み進めていくことができる。研究範囲も広く,読後は,心理学はもちろんのこと,近接領域の知識まで獲得することができる。
各章ごとのコラムにおいては、興味深い研究がいくつも紹介され,知識を発展させるには恰好の材料となるだろう。
心理学の知識を幅広く知りたいと思っている方,大学院入試を目指している方,読み物としてもお勧めできる1冊である。

第15版の訳、出てたんですね。知らなかった。

読み物として…というよりは、大学院入試の英語対策に!という感じでしょうか。私は買いませんが、必要な人は是非とも。

個人的なおすすめの勉強法としては、原書を訳してそれを翻訳版で確認&修正。さらに修正した日本語を英訳し、原書で確認…これをある程度の量やれば、どこの大学院でも英語対策はほぼ完璧なのではないかと。学部3年の今くらいから始めるのが吉ってことで、一緒に原書もどうぞ。

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以上、今回は5社のみ。長くなりますので続きます。明日続きはアップする予定。…多分。

続きはこちら→
【日心臨2012】いまさらだけど書籍展示で気になった本を取り上げてみるよ その2 #ajcp2012

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