研究と臨床

【独創性よりは】臨床心理学徒にとって必要な「研究能力」とは その2【創造性?】

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06/11/03のエントリ、臨床心理学徒にとって必要な「研究能力」とは?のコメント欄でデスマさんからこんなコメントいただきましたよ。

問題は、その「独創性」の程度というか、
中身の問題のような気がします。
修士レベルでは、それほど「独創的」ではなくとも、
まだ誰も手がけていない内容であって、
論理的に破綻が無く、
心理学研究の作法が守れて、論文の呈をなしていれば、
一応OKなのではないかと。


衝動的にアップしてしまったエントリだったので、かなり説明不足な点があったことをおわびいたします。私が想定していた「独創性」ってのはまさに「まだ誰も手がけていない内容」程度のもんです。
あえて「独創性」って言葉を入れたかったのは、与えられたテーマではなく自ら問題意識を持ってテーマを決定する…ってことが大事なんじゃないかなと思ったからであります。
大規模調査研究だったり、あるいは非常にコスト(人的にも金銭的にも)がかかる研究なんかは、ボスが修士の学生のテーマを決めて…ってことがあるのはわかります。そしてそれがやりがいのある研究だったりするであろうことも私なりにわかるつもりです。
そういう研究の方が学問的には意義があるってことも多々あるでしょう…けれども、私としてはそういう研究じゃない研究ができるのも心理学という学問の面白さだと思うのです。
そう考えると、他分野(というのはもちろん「心理学」以外の学問も含みます)の研究と臨床心理学の研究を比べても仕方がないとも思うのですよね。

その人は、人から受け取るだけで、
他の仲間に自分の知見を提供するだけの能力もなければ、
他の仲間から受け取る能力すらも怪しい、という、
そういう人になってしまい、
それでは、「現場的」な臨床心理職としてすら、
勤まらない人になってしまいます。

こういう辺りをカバーできるような「独創性」ってのが必要なのではないかと…ってことは「独創性」ってよりは「創造性」の方が適切かもしれないです

リンク先の廣中氏は、
暗にそういう博士レベル以上の
独創的「研究」のみを研究と考えているから、
臨床心理士の多くは研究能力を備えていないし、
臨床系の大学院教育はまともではない、
そして臨床職にはそもそも大学院教育は不要というような、
そういう意見になるのではないでしょうか。
カットオフポイントが高すぎるように思います。
その結果、
博士課程以上レベル以上ではない研究能力は、
糞も味噌も一緒にされているように、私には見受けられます。

ですね。つか、彼が言っているのは「独創性」というよりは単に研究のレベル(これも「彼の考える」…という限定つきですが)の問題なんじゃないかと思ったり。わたしゃ賢くないので難しいことはよくわからんのですが、わざわざ複雑なことをしなくともシンプルな研究デザインでもいい研究ってのはたくさんあり得るだろうし、それを認めないってのはいささか狭量なんじゃねーかとも思うわけで。
そんなわけで、基本的にデスマさんのおっしゃっていることに激しく同意です…ってことを言いたいだけのエントリになってしまったのでしたorz

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