※本日22:00追記あり。本文末
セーイチさんのブログ、発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版の昨日のエントリ、使えない図書館を読んで思ったこと。
セーイチさんは
今年度から大学に勤め始めたんですが、そもそも大学に籍を置きたいと思っていたのは、図書館が自由に使えるようになるからなんです。
とおっしゃっていますが、確かにこれ、大きな問題だったりします。
当ブログでは何度も何度も何度も何度も現場の心理職が研究活動を行う必要性を主張してきました(参考:研究と臨床カテゴリ過去ログ)。
そんなわけで研究活動が非常に大切なものであるのは明らかなのですが、臨床現場で働く人間が研究を行おうと思った場合、研究のためのインフラが乏しいことは大きな壁となります。
ちょっと最寄りの大学図書館などいくつか調べてみましたよ。その結果…
予想通り、大学の図書館は学外者に関しては「館内資料の閲覧」「館内複写」のみ可というところが多かったです。んで、大学関係者ではないけれども研究したい(or しなきゃいけない)臨床家にとって「文献取り寄せ」ができないのは大変痛いことだと思うですよ。
あと最近はネットで利用可能な文献データベースも多いのですが、これも使用料が結構高かったりします。
で、ここから提案なんですが…
臨床心理士の職能団体の皆様。もし臨床心理士の業務としての「臨床心理学的調査・研究」が必要だと本気で考えてらっしゃるのであれば、研究のためのインフラ整備をするか、あるいはインフラ整備のための資金を出すかしていただけないでしょうか?
現場の臨床家は「極貧」ではないにせよ、金銭的に余裕のある人というのはそんなに多くないと思います。研究の必要性を感じている人は色々やっているのでしょうが、安直な事例研究(とも呼べないような事例報告レベルのもの)が量産されてしまう背景には「そうではない研究」を行うための環境が決定的に足りないということがあると思うのですよ。
少なくとも低価格・高機能の文献検索データベースの利用と文献取り寄せサービスを組み合わせれば、結構需要はあると思うんですが…どうなんでしょうか?臨床心理士会だったり資格認定協会だったり心理臨床学会だったりではなく、民間企業がやったとしてもある意味ビジネスチャンスなのではないかとも思うのですよ。臨床心理学・カウンセリングブームを食い物にしたようなあんなビジネスやこんなビジネスと比べても格段にまともな商売であり、個人的には大歓迎なのですがね。
…ひょっとして私が知らないだけで、既にそういうビジネスは展開されている?
まあ、こんなサービスもあって、実は私も利用してたりするんですが…
医学文献検索サービス -メディカルオンライン
結構高いし(ご利用方法参照)、心理学の文献は少なかったりするのですよね。採算ベースはこんなもんなのでしょうか?
広告収入なんかもプラスすれば、個人のビジネスとしてもアリだったりするのではないかと思ったり。
マジで誰かやりませんか?このビジネス。
………………
で、真面目に研究している&したいと思っている大学関係者以外の臨床家の方々は皆さんどうされているのでしょうか?欲しい文献があってもあきらめる…ってことはできないと思うんですが…
え?お前はどうしているのかって?
いや、それはねぇ。まあ所属とか色々と…ごにょごにょ…
ということでご意見お待ちしております(そもそも職能団体・学会とかに期待するんじゃねーというご意見もいただきそうな悪寒)。
最後に臨床心理学研究関連の売れ筋書籍を貼っておきますよ。
初心者のための臨床心理学研究実践マニュアル 津川 律子 遠藤 裕乃 金剛出版 2004-07 |
臨床心理学研究の技法 下山 晴彦 福村出版 2000-04 |
心理臨床家のための「事例研究」の進め方 山本 力 鶴田 和美 北大路書房 2001-09 |
臨床心理・精神医学のためのSPSSによる統計処理 | |
加藤 千恵子 石村 貞夫
東京図書 2005-04 おすすめ平均 |
講座 臨床心理学〈2〉臨床心理学研究 下山 晴彦 丹野 義彦 東京大学出版会 2001-11 |
※22:00追記:
初心者のための臨床心理学研究実践マニュアルに「公立図書館(市立図書館とか)でも文献取り寄せ可能である」ということが書かれているとmixiでセーイチさんからご指摘いただきました。確かにその通りです。紹介しておいて忘れてる俺って…○| ̄|_
…いやいや。それでも研究インフラの整備は是非ともして欲しいわけで。
大学人よりも市井の臨床家の方が良いデータを持っていたりすることは往々にしてあるわけで、それを活かしていくためにもそうしたインフラ整備は必要だと思います。やっぱり!是非とも!
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