臨床心理学

もしもの話ですけど…あなたならどうします?

投稿日:

もしも、もしもですよ。
「臨床心理士」を名乗る人がブログを書いていて、そのブログの中でこんな話を展開していたとします。
さあ、あなたならどうしますか?


その話というのは…
・元クライエントと性的接触をもっている
・その子は「セクフレにはなってあげられる」
・その子は「自殺願望がとても強」く、一時期「一緒に住んでいた」
…これって臨床心理士うんぬん以前に「人として」どうかって感じではあるんですが…
「元」だからいいのか?
そんなわけでまずはこれ見てみました。
日本臨床心理士会倫理綱領(PDFファイル)
http://www.jsccp.jp/soshiki/pdf/5-rinrikoryo20050401.pdf

第3条 対象者との関係

会員は、原則として、対象者との間で、「対象者-専門家」という専門的契約関係以外の関係を持ってはならない。そのために、対象者との関係については以下のことに留意しなければならない。

1 対象者等に対して、個人的関係に発展する期待を抱かせるような言動(個人的会食、業務以外の金品の授受、贈答及び交換並びに自らの個人的情報についての過度の開示等)を慎むこと。

「元」「対象者」の場合は…どうなんでしょ?でもブログの記述からすると、「対象者-専門家」関係が解消された数年後に「久しぶりに会いたいと電話がかかって」きて、「久し振りだしいろいろ話を聞きたいと思い会った」そうなのですよ。
…完全アウトじゃね?
ついでにこちらも見てみましたよ。
アメリカ心理学会 サイコロジストのための倫理綱領および行動規範
http://www.psych.or.jp/publication/us.html

4. セラピー

4. 07 かつての患者との間の親密な性的関係
(a) サイコロジストは、かつてセラピーの患者またはクライエントであった人とは職業上の関係が中止ないしは完結して以降、少なくとも二年間は性的に親密な関係はもたない。

そうなんですよね。ここでは「二年間は」なんですよね…。

(b) かつてのセラピーの患者、クライエントとの間の性的に親密な関係は、患者・クライエントにとってしばしば有害であり、こうした親密さが心理学関連の職業に対する一般大衆の信頼を損ねやすく、一般人が必要な場合でも心理サービスを受けるのを躊躇する理由になる。したがって、セラピー終結後二年を経ても、きわめて特殊な場合以外は、サイコロジストが以前の患者・クライエントと性的関係を結ぶのは好ましくない。治療の中止・終結二年を経てこうした行動を取るサイコロジストは、次のような要因や状況を含めて、搾取や悪用が行われなかったことを行動で示す不可を負う。
(1) セラピーが終結してからどのくらいの年月が経過しているか、(2) そのセラピーの種類・性格と継続期間、(3) 終結をめぐる状況、(4) 患者・クライエントの個人的な生育歴、(5) 患者・クライエントの現在の精神的な状態、(6) 患者・クライエント、その他の人たちへの悪いインパクトのあった可能性、(7) セラピーの経過のなかで、患者・クライエントに対して、治療が終結したら、性的またはロマンティックな関係を結ぶ可能性があることをセラピストが発言や行動を通じて示唆したり、誘惑したか。

ブログの記述にあるところの「セクフレ」発言からすると、もうこの時点で「搾取」や「悪用」が行われているような気がするわけですが。
前述の日本臨床心理士会倫理綱領にはこういう条項もあります。

第8条 相互啓発及び倫理違反への対応

会員は、同じ専門家集団として資質の向上や倫理問題について相互啓発に努め、倫理違反に対しては、以下のとおりの対応をするとともに、各都道府県臨床心理士会の倫理担当役員及び日本臨床心理会倫理委員会の調査等に積極的に協力しなければならない。
1 臨床心理士として不適当と考えられるような臨床活動や言動に接した時には、当該会員の自覚を促すこと。
2 知識、技術、倫理観及び言動等において臨床心理士としての資質に欠ける場合又は資質向上の努力が認められない場合、同様に注意を促すこと。
3 上記1及び2を実行しても当該会員に改善が見られない場合、又は上記1及び2の実行が困難な場合には、客観的な事実等を明確にして各都道府県臨床心理士会又は日本臨床心理士会倫理委員会あてに記名にて申し出ること。

えーと、この第8条1から、ブログ主に対して「そういうことをしてはいけませんよ」とか「そういうことを書いてはいけませんよ」ってまず言わなきゃいけないわけですよね。で、恐らくそうなったらブログ主はブログの記述を削除するか、あるいはブログそのものを削除するでしょう。
そうなった場合、3の「改善が見られない場合」ってのは確認不可能ですわな。「反省しました」って言えばそれで終わりかってーとそういうわけでもないでしょうし。
となると「1及び2の実行が困難な場合」ってことになるんでしょうか。
「客観的な事実」としては、一応現段階でブログのキャッシュは全て保存してあるので、まあ提示は可能なんですが…「記名にて申し出ること」はなぁ…。
そもそもブログの記述自体が真実かどうか確かめる術は今のところ私にはないわけなんですが…ただ、ブログには現在もスクールカウンセラーをしていることが書かれていたりするんですよ。
てか、そもそもブログには現在の居住地や以前の居住地(いずれも市町村名まで)、前の職場がどこだったかまで具体的に書かれており、その気になれば個人の特定も容易なんですが…
あまりにアレな感じなんで「これって釣りじゃね?」とも思ったりするくらいでして。
やっぱ問答無用で心理士会に通告ですかね。
皆さんだったらどうします?…って聞くまでもないことですかね。

ついでに1日1回クリックして、順位確認後戻ってきていただけると大変うれしゅうございます学問・科学ランキング

-臨床心理学

Copyright© ロテ職人の臨床心理学的Blog , 2024 All Rights Reserved.