
編集協力をされたライターのオバタカズユキさんが、以前『資格図鑑! 2007』に掲載された私のインタビューをしてくださった(06/04/27のエントリ資格図鑑インタビュー秘話(というほどのものでもない)参照)という縁もあったりでご恵送いただきました。
こちら。
人気絶頂の最中、突然芸能界から姿を消した一人の芸人--。「タモリのボキャブラ天国」「進め! 電波少年インターナショナル」など人気番組にレギュラー出演していたお笑いコンビ「松本ハウス」は、ハウス加賀谷の統合失調症悪化により、1999年活動休止。その後入院生活を経て症状を劇的に改善させた加賀谷は、10年ぶりの芸人復帰を決意する。相方・松本キックの視点を交えながらコンビ復活までの軌跡が綴られる、感動の一冊。
リリー・フランキー推薦!
「馬鹿は死ななきゃ治らない。でも、生きてりゃ治る馬鹿もある。夢あるねぇ」
こちらの紹介ページでは本文の一部抜粋が掲載されております。
・統合失調症がやってきた(Matogrosso モトグロッソ)
こちらは出版記念イベントの際の記者会見の記事です。
・ハウス加賀谷、統合失調症による苦労語る「こらえるの大変でした」(Yahoo!ニュース)
一気に読ませていただきました!
お笑い方面にはあまり明るくない私ではありますが、『ボキャ天』は好きでよく見ていたので松本ハウスというコンビについては知ってましたし、後にハウス加賀谷氏が統合失調症患者であること、そして病状悪化のために活動休止となっていたことなど、ネット上の情報で知りました。
その加賀谷氏が、そして松本ハウスというお笑いコンビが復活ということで、その話自体はとても素晴らしいことだと思いました。その復活は同じく統合失調症を始めとする精神疾患に苦しむ人たちの希望になるだろう、ということで。
ただ、実際に読んでみるまでは「それでもタレント本でしょ?」と侮っていたことは否定できません。
お送りいただいた本を読んで…打ちのめされました!
侮ってしまってごめんなさい!
面白いです!そして最後は泣けました!
まず、当事者である加賀谷氏の病的体験、そしてそこから来るものすごい苦しみが、本当にリアルに描かれています。抜粋して精神医学の教科書に載せてもいいんじゃないか?というくらい鮮明に。
加賀谷氏の家族の問題も色々あったようで、それが赤裸裸に描かれていると同時に、それだけではなく彼を心配し懸命に支えようとした両親(特に母親)の愛情もしっかり描かれています。
そして何より、加賀谷氏の相方である松本キック氏の…何と言うんでしょうか…友情とか愛情とか、そういう物を超えた彼の姿勢、態度、考え方があったからこそ、松本ハウスというコンビが復活できたのだということが、非常によく伝わってきました。
あと、現在も精神科領域で働いていて、過去には単科精神科病院でも働いたことがあるワタクシとしましては、保護室のリアルな描写や、「食べること」だけが楽しみになりがちな閉鎖病棟における「あるあるネタ」的な部分なんか、非常に面白く読む事ができました。
とにかく、色んな人に読んでもらいたい一冊だと思います。
当事者とその家族はもちろん、将来、精神科臨床(だけでなく、その他の臨床心理学的援助が必要な)領域に関わりたいと思っている学生さん、現役の精神科スタッフの方々、そしてお笑い好きの人もそうでない人も、どんな人でも何かしら考えさせられるところ、得られるところがある一冊であることは間違いありません。
残念なことに、8月13日午後6時現在、Amazonさんでは在庫切れとなっておりますが、既に重版がかかったそうでじきに品薄状態も解消されることでしょう。
興味がある方は是非ともポチっとどうぞ。
最後に、この本をお送りくださったオバタカズユキさん、イースト・プレスの担当の方、そして何より素晴らしい本を書いてくださった松本ハウスのお二人に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。