臨床心理学

ロールシャッハ(つーか心理アセスメント)に対するわたくしのスタンス

投稿日:

さて、今日もこの本のレビュー、いってみましょうかね~

ロールシャッハテストはまちがっている―科学からの異議 ロールシャッハテストはまちがっている―科学からの異議
ジェームズ・M. ウッド スコット・O. リリエンフェルド M.テレサ ネゾースキ

北大路書房 2006-02
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る by G-Tools

…と思ったんですが、ちょっと思うところあって違う内容で…心理アセスメントに対する私の基本的スタンス・考え方について述べたいと思いますよ。
私の仕事における心理面接:心理アセスメントの比率は、おそらく3:7…いや2:8くらいだと思います。その上で以下をお読みくださいませ。


私の師匠はロールシャッハ法のそこそこ…かなり著名な専門家です。で、私自身もロールシャッハは好きですし、研究テーマの一つでもありますし、ロールシャッハは仕事の中で重要な位置を占めていたりします。
ただですね「面白いから」「やりたいから」って理由だけで臨床場面でロールシャッハを用いるのは、何よりクライエント・患者に対してこの上なく失礼なことだと思います。そう思っていますので、これまでそういう理由でロールシャッハをやったことはないつもりですし、恐らくこれからもそういうことはないと思います。
そもそも、ロールシャッハはテスター側の負担もそうですが、テスティー側の負担もかなりのものになります。(ケースバイケースではありますが)施行には時間がかかりますし、そうなると身体的・精神的にも疲れます。受けるためにはお金もかかります(保険点数は450点で自費だと4,500円也)。
なーんてことを思ったのは、ナルホドさんのブログ、心の専門家のこころの06/05/13のエントリ、好きじゃないことを読んだからなのでした。
ナルホドさんは以下のように書かれています。

ロールシャッハテストにうんちくを語る臨床心理士って結構いますが、私はロールシャッハは好きじゃありません。あのテストの何が良くないって、費用対効果が最悪です。テスト取って、尺度化して、計算して、まとめて、報告書書いてたら、1人につき計2~3時間はかかる。でも10000円も取れません。
まぁ、医療にいる心理に必要なのは分かります。でも、やっぱり自分には向いてないなぁ。ロールシャッハによって、どれだけの投資効果(症状改善と医療費削減)が生まれるものか。別に大したことないような気がする。。。

私も述べたように、確かにコストは高いです。色んな意味で。さらに患者への侵襲性も高いです…ということはつまり、下手に使うとそれが症状を悪化させる要因にもなりかねません。
ただ、これは先行研究等を踏まえた上での個人的考えになりますが、やはりそれなりのことはわかると思うのですよ。ロールシャッハは基本的には半構造化面接の一つであり、そこで見出されるものは時間をかけてじっくり丁寧に面接をしていけば、最終的にはロールシャッハを使わなくても分かるようなことなのだと思います。テスト取って、尺度化して、計算して、まとめて、報告書書いて、せいぜい1ケースにつき計2~3時間で色んなことがわかるなら、それはそれで楽なんじゃないかと思うんですが、どうでしょ?
で、ロールシャッハやその他の心理アセスメント技法に限らず、これは各種心理療法・カウンセリングの技法についても言えることなのですが、その効果がある程度実証されない限り、私は使おうとは思わないし、そもそも使ってはいけないと思います。
そして、自分の使っている技法だったりその理論だったりに対して批判や反論がなされた場合には、それまでの自説を擁護する・自説に固執するのではなく、批判・反論を理解した上で、それが妥当なものであるなら受け入れる、妥当でないとしたら反論するという過程が必要だろうと思うのですよ。患者・クライエントに対して誠実であろうとするのであれば、それは必須の態度だと思うのですよ。
少なくとも自分があまり知らないことについて、検証することなく

どれだけの投資効果(症状改善と医療費削減)が生まれるものか。別に大したことないような気がする。。。

と言ってしまうのは(いくら「気がする」レベルの話だといっても)科学的な態度とは言えないし、臨床家としていかがなものかと思うのですよね>ナルホドさん
…ということで、一連の『ロールシャッハテストはまちがっている―科学からの異議』に対する反論的レビューも、その本に認められる部分・妥当な部分があれば認めていきたいと思っていますし、単なる「反論のための反論」をしているつもりもないです。
反論のための反論の中からは何も生まれてこないですから。
そんなわけで、もしもロールシャッハを捨てるだけの妥当な理由があるのであれば、私はロールシャッハを使わなくなるでしょう。それはその他の心理アセスメント技法に関しても同様です。そんな感じのスタンスでこれまでも、これからもやっていく所存であります。
そういえば、Decoさんがコメント欄でこんなことを書かれていました。

こないだ包括的システムの4th editionを購入しました。意外と新しい知見が足されてました。ちょっと軽率でした。

基準値も改訂されてました。反応スタイルごとの基準値が示されてたり,僕の注目してる「あの指標」の平均値が他の国の数値に近づいてたりと,そこだけ見ても結構面白かったです。

あとはロールシャッハ法に関する批判・議論に関する章が設けてあったり。僕辺りの思いつきそうな反論のほとんどが,とうにそこに書かれていました。

The Rorschach: A Comprehensive System : Basic Foundations and Principles of Interpretation (Wiley Series on Personality Processes) The Rorschach: A Comprehensive System : Basic Foundations and Principles of Interpretation (Wiley Series on Personality Processes)
John E. Exner

John Wiley & Sons Inc 2002-10-25
売り上げランキング : 387,265

Amazonで詳しく見る by G-Tools

ここですな。

A chapter on recent controversies surrounding the test

(Amazonの紹介より)
私も買ってみましょうかね…てか、前の版しか持っていないのでまずここからかな。

ロールシャッハ・テストワークブック ロールシャッハ・テストワークブック
ジョン・E. エクスナー John E.(Jr.) Exner 中村 紀子

金剛出版 2003-05
売り上げランキング : 28,007
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る by G-Tools

がんがりましょう。この仕事をしている限り一生勉強も研究も続いていくのだから。その上で無責任な発言はしないよう気をつけましょう。自戒を込めて…

1日1回クリックしてくれるとうれしいです。→人気Blogランキング

-臨床心理学

Copyright© ロテ職人の臨床心理学的Blog , 2024 All Rights Reserved.