心理・精神医学本

下坂幸三著『心理療法のひろがり』そして『アノレクシア・ネルヴォーザ論考』復刊

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そうかぁ…もう1年になるのですね…
【訃報】下坂幸三氏逝去(06/03/30)
前にも書きましたが、一度直接ご指導いただきたかった方です。常に地に足のついた臨床をされていた方…という印象を勝手に抱いております。
出版社の紹介文より。

著者は,個人療法から発展した精神療法だけでは境界例や摂食障害の患者の治療には限界があることを,世界に先駆けていち早く見抜き,家族を交えた心理療法にさまざまな工夫を凝らしてきた。40年以上にわたり多大な実績を残してきた著者が,最後に企画していた二冊の論文集。その第一冊目が本書である。

3月に出たばかりのこの本です。

心理療法のひろがり 心理療法のひろがり
下坂 幸三 中村 伸一 黒田 章史

金剛出版 2007-03
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目次はこちら

はじめに―「聴き入る」ことをめぐって―

第一部 心理面接の原則
第一章 家族を含めた心理療法の基本
第二章 我観ブリーフ・セラピー
第三章 精神病理学的接近と心理療法的接近の協働
エッセイ 親のメンタルヘルス以前―青年期患者の場合―
第四章 私の家族面接―フロイト思想の一展開―
第五章 家族療法における私の技法の基本
第六章 現代における家族療法の意義
第七章 心理療法中におこる身体病罹患と怪我の意義
第八章 摂食障害治療への入り口
第九章 道元の思想と心理療法
エッセイ 父親面接雑感

第二部 心理療法の経験
第一章 思春期の危機
エッセイ 親不孝通り
第二章 強迫神経症
第三章 強迫神経症の臨床―精神分析的心理療法の立場から―
第四章 不安神経症の特徴と短期心理療法
エッセイ 「地道」ということ
第五章 心身症と家族
第六章 「家庭内暴力」に対する応急の対応について
第七章 「少年事件」の前段階
第八章 摂食障害者の描画と自己認識
エッセイ 散歩のできない人たち/本との出会い 「誰が風をみたか」

紹介文にもありますが、摂食障害や境界例のケースに関わる人にとっては多くの示唆に富んだ内容であると言えるでしょう。
…で、出版社のサイトを見ていて気づいたのですが…あの本の新装版が出ているですよ。

アノレクシア・ネルヴォーザ論考 アノレクシア・ネルヴォーザ論考
下坂 幸三

金剛出版 1988-09
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Amazonでは新装版はまだ購入できないようですが、出版社のサイトには詳しい紹介が載っております。
下坂幸三著:アノレクシア・ネルヴォーザ論考
中村伸一氏による「本書復刊にあたって」よりでは、下坂氏自身によって付箋が貼られ、傍線が引かれ、マーカーされた本書の画像が目を引きます。
摂食障害研究に関わる人にとっては必須の一冊だと思いますし(これから摂食障害がらみで卒論・修論書く人なんかも参考になる部分は多々あるはず)、後世「古典的名著」と呼ばれるであろうことは確実であると個人的には思いますので(だからこそ復刊したのでは?)、心理臨床に関わる多くの人にとってこれは要ゲットかと。
昔、古本屋で見かけてゲットしなかったことを悔やんでいた私は確実に購入いたします。
…なんだか金剛出版さん、大攻勢かけてきてませんか?と思うほど欲しい本が多いです。それともたまたま私の興味・関心にヒットする本の出版が重なっているだけ?
その辺はまた近々紹介いたします…って別に私は金剛出版の回し者とかじゃないんですけどね。

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